番外編 読む

【コラム】ビジネス書の「読んで満足病」に効く処方箋

(出典:http://nextglobaljungle.com/2008/12/post_373.php

A「最近読んだ本で、何かオススメある?」

B「〇〇がすごくよかったよ」

A「そうなんだ。どんな内容だったの?」

B「えーっと。〇〇について書いてあったよ」

A「そうなんだ、ありがとう(いや、本のタイトル見ればわかるって…)」

 

こんなやりとりに、身に覚えはありませんか?

正直、恥ずかしいですよね。
「読んだこと自体に満足してやがる」と思われそうで、嫌です。

しかし、冒頭に示した忘却曲線のように、時間の経過とともに、ビジネス書の内容を思い出すことが難しくなります。

 

しかしですよ。せっかくなら、次のようなカッコいいやりとりを繰り広げたいですよね。

A「最近読んだ本で、何かオススメある?」

B「〇〇がすごくよかったよ」

A「そうなんだ。どんな内容だったの?」

B「一言でいうと、XXという主張をしている。一見変わった見解だけど、この主張は3つのロジックで支えられてるんだ。1つ目は◆◆、2つ目は△△、3つ目は●●。だから、この本を読むと、~ができるようになるんだ!」

A「そうなんだ、ありがとう(こいつすげーな。おれも読まなきゃ)」

 

そこで、本記事では、「読んで満足病」の原因

  1. 自分に合わない本
  2. 自分に合わない読み方
  3. 自分に合わないまとめ方

…の3つに対して、処方箋を用意しました。

1.「自分に合わない本」への処方箋

処方箋①「鍛えたいビジネススキル」をクリアにして本を選ぶ

何のためにビジネス書を読むか?
それは、自分が伸ばしたいと思うビジネススキルを鍛えるため、でしょう。

ただ、そのためには、「ビジネススキルには、どういったものがあるか?」を明確に知っておくことが大事です。

例えば、私は図1のように、ビジネススキル(正確には、ビジネスの基礎体力)を分解して捉えています。

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図1

ここまで分解しておくと、「どこを鍛えるために、どんな本を読めばいいか」がわかりやすくなります。

そうすると、必然的に、「目的に沿った読書」ができるようになり、自然と「読みっぱなし」も少なくなってきます。

処方箋②読書を習慣づけるためにも「新書」を読んでみる

一方で、「読む量を増やすと、覚えている本の数も増えてくるのでは?」という議論もあります。

人によっては、「量は質に転化する」という方もいらっしゃるでしょう。

そんな方にオススメしたいのが、「新書」です。

なぜならば、新書には次の利点があるからです。

  • 本を読むことが強みになる境目「1,000冊」を超えやすい
  • 携帯や管理が便利で、いつでも、どこでも読める
  • 仮にダメ本に出会っても、ダメージが少ない

そんな利点から、「量を質に転化する作戦」がとりやすくなります。

まずは「新書」に手を出してみてはいかがでしょうか?

2.「自分に合わない読み方」への処方箋

処方箋③自分に合った読書術を選ぶ

私自身、「自分に合った読書術」を見つけるのにすごく苦労しました。

10冊は「読書術」と名の付く本を読み漁りました。

そうやって読んでいくうちに、「この本は自分には合っていないけど、〇〇タイプの人にはオススメかも」といったパターンが見えてきました。

そのパターンを整理したものが、図2です。

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図2

読書が苦手な人や得意な人

読書はサクサク進めたい人やじっくり進めたい人

それぞれに合った読書術があります。

自分に合った読書術を会得できると、本の内容の理解度が上がり、「読みっぱなし」ではなく、「本を理解し、実践できる状態」にグッと近づくことができます。

3.「自分に合わないまとめ方」への処方箋

処方箋④学びを1行でまとめる

本で読んだ内容を全部覚えておくのは無理に等しいです。

それよりも、「1つでいいから、自分の資産になるような学び」を残すことに集中したほうがいいです。

その「1つの学び」を習慣づけるだけで、業績が上がり、給料が上がり、周りからの信頼を勝ち取れるようになるかもしれません。

そんなときにオススメなのが『初速思考』で紹介されている「1行日記」です。

図3で示しているように、本ブログの「明日から取れるアクション1つ」が、まさにそれです。

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図3

実際に、ここに書いた「アクション1つ」を実践していますが、「昨日より今日、今日より明日良くなっている」と強く実感しています。

嘘だと思う方、1週間でいいんで、続けてみてください。
嘘だと思っていた時間が勿体ない、と思えるようになります。

処方箋⑤イラストでまとめる

これは『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』でおなじみの荒木博行氏の技法です。

例えば『選択の科学』に「多すぎる学びはノイズである」というメッセージがあります。

荒木氏はこのメッセージと、論拠となる「ジャム実験」について、図5のようなイラストでまとめています。

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(引用元:https://twitter.com/hiroyuki_araki/status/1046655161127432194

ホップでわかりやすく、記憶にも残りやすいですよね。

こうして、図解やイラストでまとめておくと、他人にも伝達しやすく、自分への定着率もグッと上がります。

処方箋⑥「ペライチ」にまとめる

最後に、本ブログの目玉でもある「ペライチ」もご紹介します。

一応曲がりなりにも、「ビジネス書の学びを血肉化するために編み出した方法」ですので。

「ペライチ」にまとめておくメリット。それは、ビジネスの学びを「全体観」を持って会得できることです。

物事の理解は、「全体と部分の関係」「部分と部分の関係」によって促進されます。
そうすると、「全体観をおさえること」が肝になります。

例えば、先ほどと同様の『選択の科学』をペライチに整理すると、図6のように表すことができます。

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図6

少々ごちゃついていますが、こうやって全体観を押さえておくと、ビジネス書の内容をスラスラ思い出せて、実践に移すことができます。

「ペライチ」の作り方を3パターンほどご紹介しておりますので、興味を持たれた方は、こちらの記事も読んでみてください。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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