スキルセット 番外編

「仕事を頼むときに期限を書かない人」がいるのはなぜか?

(画像出典:https://unsplash.com/photos/xfNeB1stZ_0)

「人に仕事を頼むときは、期限を設定しましょう」

こんなことを書くと、「何を当たり前のことを。食後に歯を磨くのと同じくらい当たり前じゃないか」とツッコミを受けるでしょう。

それくらい、「期限を設定する」のは、社会人にとって当たり前のことです。

というか、小学校のころから当たり前のように接しているルールのはずです。

宿題には必ず期限が設定されていますよね。まあ、その期限を守るのが至難の業なわけですが。


しかし、社会に出てみると、「期限を設定しない人」がたくさんいます。

もはや「期限を丁寧に設定してくれる人のほうが少数派なんじゃないか」と疑いたくなるくらい、本当に多い。

しかも、みんな「期限を設定するのがマナー」だとわかっているのにも関わらず・・・

地味に、社会人七不思議くらい気になっている謎です。

謎すぎて理解不能なのですが、わからないなりに「期限を設定しない人の心境」を考察してみようと思った次第です。

そもそも「仕事を頼むときは期限を設定しましょう」と教わったことがないから?

「仕事を頼むときに納期をクリアにする?そんなん聞いたことないよ」

もしかすると、そういう方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、いろいろとググってみたのですが、「期限を設定する、というルールを知っている人」みたいなデータはどこにも転がっていませんでした。

そこで、しょうがなく周囲の友人や同僚に「仕事を頼むときに納期を設定する。これ当たり前よね?」と聞いてみました。

10人くらいにしか聞けなかったんですが、10人とも「何言ってんの、当たり前でしょ」とのこと。

サンプルの10人に偏りがあったのでは?という可能性も残ってますが・・・ここを深掘るのも本論とずれるので、このくらいにしておきます。

納期を設定するのはマナーである。と、みんな知っている。

そんな前提をおいて、次に進みましょう。

「期限を切るのはマナー」だと知っているのに、期限を設定しないのはなぜなのか?

ここからは、他の人から聞いた話や私の仮説をバラバラと綴っていこうかと思います。

「期限を切るのはマナーなのに、なぜ期限を設定しないのか?」

「なぜ期限を設定しなければならないのか」を知らないから?

もしかすると、「そもそも、なんで期限を設定しないといけないの?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

前例や常識に囚われない、ゼロベース思考の持ち主なのかもしれませんね。


こんなときは、「期限を設定しないと、どうなるのか?」と考えてみましょう。

無駄なやりとりが一往復増える

期限を設定しないと、無駄なやりとりが一往復増えます。

「いつまでに対応すればいいですか?」

「4/15までにお願いします」

この一往復が増えるんです。

想いを寄せる人とのやりとりであれば、何往復でもメールやチャットを続けたいものです。

「このやりとり、終わってほしくない。早く返信こないかな」と、メールやチャットを数分おきに覗きに行きたくなるような。

そんな甘い青春時代の感覚に浸ることができるのであれば、何の問題もありません。


・・・でも、そんなことはほぼないですよね。

仕事の話なので、99.9999%のやりとりは「なるべく最小限の手間で終わらせたい」はず。

であれば、さっきの一往復分は無駄です。

仕事の優先順位づけを相手に委ねてしまっている

「いつを期限にするか」は、その仕事の優先度によって決まってきます。

重要かつ緊急の仕事であれば、いち早く処理したほうがいいでしょうし、

重要でも緊急でもない仕事は、後回しにすべきでしょう。

期限とは「優先度」を示しているわけです。


その期限を設定せずに、相手に仕事を依頼する。

これは、「仕事の優先順位づけを、相手に委ねている」のと同義です。

「この仕事、重要なのかも緊急なのかもわからんけど、とりあえず良しなに対応よろしく!」と解釈されても、文句は言えません。

それくらい、「期限を設定する」のは重要な仕事なわけです。

「期限を設定するのは、おこがましい」と思っているから?

これは知人に聞いて「なるほど」と思ったのですが、期限を設定しない人の中には

「納期を指定するなんておこがましい。逆に失礼にあたるんじゃないか」と思っている人もいるそうです。

この視点はなかった・・・たしかに、普段から丁寧に人に接しているからこその感覚なのかもしれません。


でも、そういう方に思い切ってこう伝えたい。

「それでも期限を設定してください。期限を設定しないのは、気遣いでも何でもありません」と。


先述のように、期限を設定しないと、無駄なやりとりを発生させ、優先順位づけを相手に押し付けることになります。

「気を遣ったつもりが、かえって不都合を招いてしまうパターン」ですね。

せっかく「気遣いできるスキル」をお持ちなのですから、その使いどころを間違えるのは勿体ない。

何でもかんでも気遣いすればいいわけじゃなく、気遣いの方向性が大事です。

期限を設定しようにも、工数の見積ができないから?

お願いしている作業が複雑で専門的な場合は、期限の設定が難しいこともあります。

「システムの調査・改修依頼」なんかは、依頼者と作業者の間で、情報ギャップが大きいですよね。

期限を適切に見積もることが難しい。だから、期限を設定しない。


・・・確かに、その難しさはよくわかります。

私もエンジニアの方とやりとりするシーンがあるので、「ぶっちゃけこの作業、工数が読めない」と思うことは多々あります。

でも、思い出しましょう。

期限を設定する。それは、優先度を決めること。

優先度を決める作業は、依頼者側がハンドルを握るべきです。

例えば、

「できれば4月中に対応いただけますでしょうか。ただし、私が想定できていない作業もあるかと思いますので、納期が厳しい場合は遠慮なくお申し付けください」

これくらいは、頑張れば書けるはずです。

依頼者と作業者の両方にとって、ベストな納期を設定する。

そのための努力は、惜しまずにやっておきたいものです。

「私が頼む仕事はすべて優先度最高である。つべこべ言わずに、なるはやで動きなさい」と思っているから?

次に思いつく理由はこれですね。

「あなたの時間より、私の時間のほうが大事である。だから、私が頼んだ仕事はすべて最優先でこなしなさい」と心のどこかで思っているから。

そんなわけないだろ!とツッコミを食らいそうですね。


でも、よくあるんですよ。

期限も書かずに依頼してきたわりに、その仕事を1日放置していると「見落としてない?早くやってよ」と催促がくるパターン。

よく「経営者目線で仕事をしましょう」と言いますが、

「おいおい、あんた経営者かよ」と言いたくなるくらい、

なるはやで!的な感じで、期限を書かずに仕事を投げてくる人がいらっしゃいます。

そういう依頼が飛んできたときは「おお!経営者目線で視座が高いぜ、この野郎!」と思いながら対応するわけですが(笑)


特に、自分が休みの日とか、業務時間外なんかに「期限が書かれていない依頼」が飛んでくると、ドキドキしますよね。

刺激的な毎日を送りたい人にとっては、刺激的でいいのでしょうが、

私みたいに平穏な日々を過ごしたい小心ゆとり野郎からすると、毎回心がチクチクします。

期限を設定するのが面倒くさいから?

一番多い理由はこれじゃないでしょうか。

期限を設定するのが面倒くさい。

考えるのが面倒くさい。

だから期限を書かない。それ以上でも以下でもない。

・・・このケースがほとんどな気がします。

いやいや、仕事なんだから「面倒くさい」で片づけんなよ。と言ってやりたいです。


以上、「期限を"あえて"設定しないのは、なぜなのか?」を考察してみました。

ただ、私にとっては本当に理解不能なことなので、もし「実はこういう観点もある!」みたいなものがあれば、こっそり教えてもらえると嬉しいです。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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