書評

【圧倒的オススメ】北野唯我氏の「ロジエモ5冊」完全解説

はじめに

毎年300冊読んで、実にたくさんの著者から感銘を受けているわけですが…

その中でも「断トツで好きな著者を一人選べ」と言われたら、間違いなく私は「北野唯我氏」を挙げます。

 

もう繰り返し何度も述べてきましたが、北野さんの持つ「深層心理の洞察力」「圧倒的な論理思考」「組織力学を見抜く力」に何度も魅了されてきました。

  • 「天才」「秀才」「凡人」という極めてシンプルな登場人物を使いながら、世の中の集団力学を紐解く
  • 誰もが読みやすいように、物語形式やマンガで表現している(得てして、物語形式のビジネス書は薄っぺらくなりやすいのですが、北野氏の本はとにかく深い)
  • 物語形式だけでなく、豊富なデータを用いてロジカルな論を展開する

…こんな様々な顔を持つのが、北野氏の著書です。

少し前置きが長くなりましたが、今回はそんな北野氏が執筆されたビジネス書5冊の魅力を解説していきます。

『転職の思考法』

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この本では、自分にとって「一生食える」会社や仕事を確保するための判断基準が、4つのSTEPに分けて紹介されています。

  • STEP1:自分の「マーケットバリュー」を測る
  • STEP2:今の仕事の「寿命」を知る
  • STEP3:強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットする
  • STEP4:伸びる市場の中で、ベストな会社を見極める

この1つ1つのSTEPが、とにかく深い洞察で語られています。

言語化が難しいのですが、他のキャリア本とは一線を画しているんですよね。

おそらく「物語形式である点」と「独自のフレームワーク」が、他のキャリア本と大きく異なる付加価値を生んでいるのでしょう。

転職するしないに関わらず、自分のキャリアを振り返るにはもってこいの本です。

是非、年末の振り返り用に、読んでみてはいかがでしょうか。

(この記事を執筆した当時は、まだ「ペライチ」を書いていませんでした。いつか書きます)

『天才を殺す凡人』

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本書は、一言でいうと「才能を持った人が、社会で追い込まれてしまう理由は何か?」に答えた本です。

世の中の組織力学を「天才」「秀才」「凡人」の3人の登場人物を用いて、シンプルに解き明かしています。

中でも一番秀逸な論点が「なぜ天才は、凡人に殺されることがあるのか?」です。

この論点への答えが、まさに「なぜ大企業でイノベーションが起きないのか?」の答えにもなっている点は驚きです。

そんな本書の「ペライチ」はこちらです。

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この本も物語形式で書かれていて、1周2周とスラスラ読むことができます。

そして、読むたびに新たな発見がある。

  • 天才視点での学び
  • 秀才視点での学び
  • 凡人視点での学び
  • 組織の力学全体を俯瞰したときに見えてくる学び
  • …etc

こんな風に、色々な学びを得ることができます。

個人的には、今年読んだ本の中でTOP5に入るくらい、感動した本でもあります。

『分断を生むエジソン』

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本書は「天才」「秀才」「凡人」とは異なる枠組みで、世の中の構図を描いた本です。

出てくる登場人物は「分断を生むエジソン」「魂なきバンカー」「夢を忘れたピーターパン」「才能を殺す巨大なスイミー」など、またまた面白い個性派が出てきます。

これらの登場人物を使いながら、世の中にどんな志向性を持った人がいて、それぞれどのように影響を及ぼし合っているかを描いたものです。

そこで描いた世界観の中で、どのようにリーダーシップを発揮していくかを学べる本です。

そんな本書の「ペライチ」はこちらです。

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更に面白いのが、『天才を殺す凡人』で登場した上納 アンナや、『転職の思考法』で登場した黒岩 仁が出てくるので、思わず嬉しくなっちゃいます。

『OPENNESS(オープネス)』

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本書は、日々職場で抱いている「何となくの違和感」の正体を見破った本です。

職場の「空気」を可視化したわけです。

そんな本、見たことありませんよね。

職場の「空気」を形作っている「風通しの良さ≒オープネス」を、1)経営開放性、2)情報開放性、3)自己開示性の3つに分解して語っています。

そんな本書の「ペライチ」はこちらです。

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驚くべき点は、徹頭徹尾「職場の空気」を、確固たるデータを使って解説し切っている点です。

他の北野氏の著書が物語形式なのもあって、読んでいてすごく新鮮でした。

同時に、北野氏は物語形式の「アート」でも語れて、データを使って「サイエンス」でも語れる。この思考力には脱帽です。

『これからの生き方。』

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キャリアを語るうえで必ず登場するフレームワーク「Will・Can・Must」。

転職の思考法』がCanについて語っている本だとすると、『これからの生き方。』はWillを徹底的に追求した本です。

しかも、描き方がすごいんです。

  • 導入は漫画で、価値観の衝突やキャリアの迷い、コミュニケーションの断絶を泥臭く乗り越えていくプロセスが生々しく表現されています。
  • そのあとの章では、ワークシートつきの解説が待ち構えています。漫画で抱いた「言葉に出来ないモヤモヤやスッキリ感」をピシッと言語化してくれます。

感情を揺さぶったあとで、ロジカルに私たちの思考を整理してくれる…まさに「ロジエモ」という表現がふさわしい一冊です。

そんな本書の「ペライチ」はこちらです。

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  • やりたいことを無理に見つける必要はない
  • それよりも、己が大事にしたい価値観を自覚し、その価値観を満たせるように、やりがいを分散して満たせるようにするとよい
  • こうした「価値観の洗い出し」や「分散」を繰り返しながら、究極的には「己の感性=自分と周りの違いに気づく力=自分だけの大切な武器」を磨き続けることが重要である

…こうした、等身大の「生き方」を後押ししてくれる一冊です。

コロナでふさぎ込みがちな今だからこそ、全員にオススメしたい一冊です。

これら5冊から透けて見える「北野唯我さんの世界観マップ」

以上を踏まえて、僭越ながら北野唯我さんのこれら5冊を「世界観マップ」と表して整理すると、次の図のような構図が見えてきます。

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まず横軸について。

北野唯我さんがそもそもラジオでも語っていた「システムと愛」を引用してみました。

「システム」とは、1人ひとりが活躍する・稼ぐ仕組みのことです。

「愛」は、1人ひとりの感性・アートを意味しています。

 

一方の縦軸は、個人の話なのか組織の話なのかを意味しています。

 

この2軸を補助線として引いてみると、5冊はそれぞれ次の役割分担を担っていることがわかります。

  • 個人が資本市場で稼いで生き残るための思考法を授けてくれるのが『転職の思考法
  • 社員の活躍を決定づける要素を紐解き、組織戦略の大筋を描いているのが『OPENNESS(オープネス)
  • 1人ひとりが己の価値観を満たしながら、感性を磨く術を教えてくれるのが『これからの生き方。
  • 個の感性が押しつぶされないように、組織の中に生じる「分断」を解消するヒントを示してくれるのが『分断を生むエジソン
  • 「個人と組織」「システムと愛」の観点を網羅し、以上の4冊を繋げてくれる汎用的なフレームワークを導き出した『天才を殺す凡人

この仮説を実際に北野さんにぶつけてみましたので、よければ聴いてみてもらえると嬉しいです。

 

北野さんとお話する中で、改めて、5冊それぞれに対する強い想いを知ることができました。

どの本も本当に本当にオススメです。

まずは是非、どれか一冊でも読んでいただけますと、とても嬉しく思います。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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