BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。地元九州への隠居を細々と構想中。書評?感想?読書日記をロジカルに書いていきます。

【1枚でわかる】『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』北野 唯我

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この本で解ける疑問は?

  • ウチの会社は何がおかしい…でもその「違和感」の正体って?
  • 「職場の空気」は本当に業績に関係する?
  • 「風通しの良さ」の正体とは?


https://www.amazon.co.jp/dp/4478108811

 

『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』って?

前回の記事に引き続き、北野 唯我さんの本をご紹介します。

なんと、同時に2冊に出版されていたようです。

しかも表紙は「赤」と「青」。

何か意図があるのでしょうか・・・

「赤」の『分断を生むエジソン』は、本のストーリーから北野さんの情熱が滲み出ていました。

定量データを使うことなく(いや、頼ることなく)、定性的な独自のフレームやモノの見方を物語に乗せて届ける。

その裏側には、「才能を持つ人が思うように活躍できないことへの歯痒さと、その状況を何が何でも変えたい」という強い想いが込められていました。

何か内から込み上げてくる想いを起点とした「アート」を感じた本でした。

 

一方「青」の『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』はどうかというと・・・

これは、「これでもか」というくらい、徹底して定量的に論が展開されています。

情熱な『分断を生むエジソン』と打って変わって、「冷静に客観的」な様相を装っています。

しかし、深層の部分では、やはり「職場のオープネスの低さが、1人ひとりの才能を潰し、日本の国力低下をも招いていることへの憤り。その状況を打破したい想い」が込められています。

こちらの本は、表面的には「サイエンス」、深層的には「アート」が感じ取れる。

そんな不思議さを醸し出す、何度も読みたくなる本でした。

 

だいぶ前置きが長くなりましたが、今回は後者『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』の魅力を余すことなくお伝えします。

まずは本書を要約した「ペライチ」を見ていきます。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

本書の内容を要約すると、次のことが書かれていました。

  • なぜ「オープネス」に注目するのか?

    その背景には、近年、財務データと同様「職場環境のデータ」が可視化されたことが大きく影響している。これまでブラックボックスだった「職場の空気」が定量的に見えるようになる。さらに、この「職場の空気」は業績と強い相関がある。さらに、変化の激しいVUCAの時代には、相対的に「事業戦略」よりも「組織戦略」が重要になってきている。つまり、戦略として「職場の空気」に手を打つことが求められるようになっている。

  • では、職場の空気を決める因子「オープネス」とは、一体何なのか?

    「オープネス」は3つの因子で構成されている。

    第一に「経営開放性」である。これは「経営と現場で、どれだけ関係がオープンになっているか?」を表す。

    第二に「情報開放性」である。これは「社内の情報にアクセスしやすいか?」を意味する。

    第三に「自己開示性」である。これは「従業員のうち、どれだけの人が、ありのままの自分の才能を表現しても、他者から意図的な攻撃を受けないと信じれるか?」を示したものである。

  • これらの「オープネス」を高めて行くためには、何が必要なのか?

    まず「経営開放性」を担保するためには、1)「失敗が起きたときにどう対応するか」を開示、2)「なぜ経営者をやっているのか」を開示することが求められる。

    次に「情報開放性」を担保するためには、1)戦略を「印象に残る形」で発信、2)情報は「網羅性<アクセス性」で展開、3)「公開された場」で質疑応答の3つが求めらえる。

    最後に「自己開示性」を担保するためには、1)プロセス業務を気持ちよくやってもらう、2)プロセス業務を改善する仕組みがある、3)「つくる仕事」には適切な報酬と裁量を与えることが求められる。

  • また、この「オープネス」を使った組織戦略も考えておく必要がある。

    まず、日々の【予防】として、勝っているときも自分たちの「機会損失」を発見する習慣を組織として持っておくべきである。例えば「市場成長で30%、自社努力で10%儲けることができたが、実はもっと"成長余地"があったのではないか?」と貪欲に考え抜くイメージである。

    次に、症状が軽いときの【早期治療】として、「結論」だけでなく「プロセス」も話すことが求められる。人は「腹落ち感」が無いと動かないので、目指すゴールと、そこに至るためのストーリーを「頭に風景が浮かぶレベル」で伝えるべきである。

    最後に、症状が悪化したときの【手術】の方法としては、事業再生は「士気の高い部署」から着手することを定石としておいたほうがよい。士気が高い部署のトップは人望が厚く、苦境に対して一致団結しやすい。その士気をうまく活用する必要がある。

いかがでしたでしょうか。

分断を生むエジソン』とかなりテイストが異なる本ですね。

 

本書を読んでみて、改めて筆者の凄さを感じたのが「何となくの違和感」の正体を看破し、「見えない状態から見える状態」に変えたことです。

おそらく、『分断を生むエジソン』で述べた「世界観=仮説」が頭の中にあって、その世界観の一部をデータで検証したのが『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』なのでしょう。

この2冊は「両方読んでみてこそ得られる気付き」があります。

このことを意図して、2冊同時に出版されたのかもしれませんね。

学び

「人間の弱さ」を前提とした設計

個人的に一番響いたのは「人間の弱さ」の話でした。

 

以前、森岡さんの著書『マーケティングとは「組織革命」である。』で読んで、人間の本質は「自己保存」であると学びました。

だからこそ、「人間が"自己保存"で保守的な行動を取る前提=性悪説」を前提に、組織を設計する必要があると。

これはある種「厳しい」考え方といえるでしょう。しかし、絶対に外せないポイントです。

 

そこに加えて、今回の「オープネス」を高める組織設計は、「人間の弱さ」を前提としています。

人間の心は弱いからこそ、善良な心を保つためには知恵がいる。

これは「性悪説」ともとれるし、「性善説」ともとれる、非常に深い一文だと感じました。

ただ一ついえるのは、北野さんの考え方の根底には「優しさ」がある、ということです。この「優しさ」も絶対に外せないポイントでしょう。

 

まだ半分も言語化できていませんが、森岡さんの「自己保存に対する厳しさ」と北野さんの「人間の弱さに対する優しさ」の2つの観点が、組織を語る上で重要な視点なのだと・・・そんな気付きを得られたのが最大の収穫でした。

明日から取れるアクション1つ

  • 自分が働く職場の「オープネス」について、まずは分析してみる


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