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【要約・書評】『OODAループ思考[入門]』入江 仁之

この本で解ける疑問は?

  • 最近流行りの「OODAループ思考」とは?
  • 他の思考法とどう違うの?
  • 「OODAループ思考」を身につけるためのポイントは?


https://www.amazon.co.jp/dp/4478106622

『OODAループ思考[入門]』って?

「半信半疑」

正直、本書を手に取る前までは、このような感情を抱いていました。

というのも、もう「〇〇思考」みたいなものはウンザリだったんですね。

世の中には「〇〇思考」が出回りすぎです。

なので「今回もまた、既存の思考法をちょっと言い換えただけの本だろうな」と思って手に取ってみました。

 

ところが・・・

上述の「半信半疑」は見事に払拭されました。

一言でいうなれば、本書は「直観力のメカニズムを解き明かした本」です。

これまでブラックボックスとされていた「直観力」の正体を見事に解き明かした、良本だったのです。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • OODAループ思考とは、「どんな状況下でも的確な判断・実行により確実に目的を達成できる一般理論」である。
  • まず、OODAループ思考が「最速」と評される理由は6つある。
    1)「フレームワーク」だから、やるべきことが明快
    2)「直観」で行動するから、不要なプロセスを端折れる
    3)「気づける」から、ピンチやチャンスを見逃さない
    4)「意味づける」から、行動する理由を探す必要がない
    5)「効果起点」だから、役に立たないことは一切しない
    6)「主体的」だから、誰かではなく自分の最善策になる
  • 次に、OODAループ思考の方法について。この思考法では、「みる」「わかる」「きめる」「うごく」のプロセスを行き来する。
    みる:意識してありのままに「みる」。鉄道マンの指差し呼称と同様。
    わかる:自分が持っている世界観(VSAM)に照らして理解する。
    きめる:できるだけ直観をもとに判断する。
    うごく:うごくと決めたら、徹底的に実行する。
    みなおす:OODAの4つのプロセスの結果を検証する。
  • 「日常的な状況で、結果が予測できる場合」は、 「わかる→うごく」のショートカットを使う。脊髄反射的な最速の行動である。
  • 「非日常的な状況で、結果が予測できる場合」は、 「みる→わかる→みる」のショートカットを使う。この繰り返しで、己の世界観を見直していく。
  • 「日常的な状況で、結果が予測できない場合」は、「わかる→きめる→うごく」のショートカットを使う。思ったことを試すことで、世界観を検証して更新していく。
  • 「非日常的な状況で、結果も予測できない場合」は、「みる→わかる→きめる」のショートカットを使う。行動を起こさない場合でも、想定外の状況を見て、世界観を更新していくことができる。
  • 以上のOODAループの使い分けを行い、「直観的」に動けるようになるためには、「わかる」が重要である。「わかる」の幅を広げるためには、自分自身の世界観であるVSAMを理解する必要がある。Vはビジョン(5~10年後にどうなりたいか)、Sは戦略(ビジョン達成のために必要な法則)、Aは行動方針(ビジョン達成のために必要な直近の活動)、Mはメンタルモデル(感情)である。このVSAMを、仕事観・恋愛観・結婚観・人生観・家族観・教育観・・・といった各世界観について明らかにしていくとよい。

いかがでしたでしょうか。

いかなる決断も、やはり「直観」でできるに越したことはありません。

しかし心のどこかで「直観は、選ばれた人だけが持っているものだ」と諦めていた部分がありました。

そんなときに、本書と出会えて本当に良かったと思います。

個人的には、本書の後段で出てくる「第4章:さらに思考を加速させるために必要なこと」と「第5章:"相手のOODAループに入る"使い方」が非常に勉強になりました。

気になる方は、是非本書を手に取ってみてくださいね。

学び

ロジカルシンキングも、結局は「直観力」がものを言う

本書で出てきた「わかる」の話です。

以前も述べましたが、「わかる」とは「分ける」ことです。

「分ける」は「分解」を指します。

この「分解」は、ロジカルシンキングには必須のスキルですよね。

MECE(漏れなくダブりなく)に分解する力は、ロジカルシンキングの醍醐味ともいえます。

 

しかしですよ。

MECEは大前提として、やはり差を生むのは、分解の「切り口」です。

どんな切り口で分解するかで、抽出される示唆の質が180度変わってきます。

「年齢」とか「性別」で分けても、出てくる結論はだいたい似通っています。

ですので、「ユニークな切り口」を見つけなければならない。

でもユニークな切り口が見つかるときは、得てして「直観力」が働いています。

そうなると、結局ロジカルシンキングも「直観」の善し悪しが決め手になる思考法といえます。

「論理は直観には勝てない」・・・ということですね。

 

この「直観」を鍛えるためにも、日々様々な物事を見て、読んで、解釈する必要性を感じました。

まずはOODAループ思考をしっかり実践してみようかと思います。


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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