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「顧客視点」なんてキレイゴトよりも、もっと大事なこと。

出典:https://unsplash.com/photos/rMuBASHufwo

「もっと顧客視点に立ちましょう」

この言葉に「反対です」と主張する人は、おそらくいらっしゃらないでしょう。

それくらい、もう「1+1=2」並みに自明ですよね。


ただ、あえて言わせていただくと、

「顧客視点に立ちましょう」

この言葉、私は大嫌いです。

「顧客視点」という言葉で、果たして人の行動は変わるのか?

なぜ、「顧客視点」という掛け声が嫌いなのか。

それは、「顧客視点」という言葉には、「人の行動を変える力」がほとんどないからです。

「顧客視点に立ちなさい」と言われて、すぐに行動を変えることができるのであれば、まさに金言といえますが・・・

残念ながら、私はこの言葉で自分の行動を変えることができませんでした。

はい、ただの逆恨みですね。


ということで、ここから先は、私と同様に

「顧客視点という言葉だけでは、自分の行動を変えられなかった方」に向けて書いていきます。

「もう顧客視点ばっちりだぜ」という方には、あまり有益な情報ではないかもしれません。


ただ、もう一度だけ言わせてください。

「顧客視点に立ちなさい」とだけ言われて、あなたは本当に行動を変えることができますか?

「ふむふむ。つまり、顧客視点に立つとは、こうこうこういうことね」と理解を深め、実践できますか?

私は、「できない」と思います。

そんなキレイゴトよりも、具体的な行動や問いかけに注力したほうが、100倍価値があります。

今日は、そんなテーマで書きます。

「顧客視点」なんてキレイゴトよりも、もっと大事なこと。

では、具体的にどんな行動や問いかけに注力すればよいのか?

前職のコンサルタント時代に教えてもらったことをご紹介します。

自分で書いたメールやチャットは、送信する前に、PCとスマホで読んでみる

新卒研修の序盤に教わったのが、これでした。

「自分で書いたメールやチャットの文章は、送信する前に必ず、PCとスマホの両方で読みなさい」

例えば、メールを送信する人は、それなりに詳細な文章を書く必要があります。

そうすると、スマホで打つよりも、PCのほうがスムーズに書けることが多いですよね。

(もちろん、スマホのフリップが神速の人もいらっしゃいますが・・・)


しかし一方で、メールを見る人は、必ずしもPCを開いているとは限りません。

電車の中かもしれませんし、トイレの中かもしれません。

PCで読んでくれるか、スマホで読んでくれるか、そのときどきで様々です。


すると、どんなことが起きるかというと、

「PCでは読みやすいが、スマホでは超絶読みにくいメール」が仕上がってしまう可能性があります。

PCでは2行だけど、スマホで読むと10行近くに膨らんでしまう。

それくらい、PCとスマホの見た目は違います。


試しに、GmailでもSlackでもTeamsでも構いません。

PCで書いた文章を一度下書き保存して、スマホで開いてみてください。

びっくりするくらい、見た目が変わっています。

そこまで意識して、普段から文章を書いていますでしょうか。

相手が知っている言葉だけを使って、説明する

「相手が知っている言葉だけを使って、説明する」

これも大事ですね。

「何を当たり前のことを」と思われるかもしれませんが・・・

例えば、次の文章を読んでみましょう。

貴社が成功するためには「ダイレクトチャネルの成長」と「オペレーションモデルの再構築」が必要です。

そのためには、デジタル戦略に必要なケイパビリティの向上に加え、エマージングテクノロジーの理解を深める必要があります。

どうでしょう。

専門家であれば、この内容でも伝わるのでしょうが、私からするとイマイチ何を言っているのかよくわかりません。

こういった「自業界のワード」「自社のワード」を、知らず知らずのうちに使ってしまう。

油断すると、やってしまいがちですよね。


そうならないためにも、自分が書いた文章を読み直して、

「相手の知識量で、この内容が理解できるだろうか?」と一度考えるだけでも、

文章のわかりやすさが大きく変わるはずです。

「問題」「課題」という言葉を、むやみやたらに使わない

「この部門が抱える問題はXXです」

「貴社の課題は〇〇です」

こういった表現をして、むすっとされたことはありませんか?


実は「問題」と「課題」、この2つのワードは慎重に使わなくてはなりません。

例えば、「この部門が抱える問題はXXです」と、その部門長が聞いたら、どう思われるでしょうか。

部門長からすると、自分のことを否定された気分にならないでしょうか。


それよりも「この部門の次の取り組みテーマはXXです」と表現したほうが、より前向きな印象を与えますよね。

一方、以下の記事では、「成長ネタ」という表現が使われていました。こちらも、表現に細心の注意が払われています。

「顧客視点」は、具体的な行動や問いかけによってのみ、育まれる

他にも、紹介したいことは山ほどあるのですが・・・一度このへんにしておきます。

さて、なぜ、このような「個別具体的なアクション」ばかりを紹介してきたのか?

それは、何だかんだ、こういった個別具体的な取り組みやこだわりの積み重ねで、「顧客視点」は育まれるものだと思うからです。


「顧客視点を持ちなさい」と言われても、ぶっちゃけ何をすればよいのかわかりません。

しかし

  • 書いたメールを一度下書きにして、PCとスマホの両方でチェックする
  • 作成した資料が白黒印刷でも読めるか、確認する
  • クライアントとの飲み会のときは、空いたグラスに注意を払う
  • プレゼン資料に、相手が知らない言葉が混ざっていないかを、もう一度確認する
  • 「問題」「課題」など、相手が「むっ」とするような表現がないかを確かめる。それも、参加者のAさん、Bさん、Cさん、それぞれの視点で。

こういった行動を1つずつ積み重ねていくと、少しずつ「あ、顧客視点で考えるとは、こういうことか」と身体に刷り込まれてきます。

「顧客視点」とは、そういうものではないでしょうか。

くれぐれも「顧客視点で考えなさい」というスローガンだけを独り歩きさせることだけは、避けたいものです。

(おまけ)本記事の内容が物足りなかった方に向けて

・・・と、ここまでが「顧客視点のスタートライン」に立つまでの話です。

もし、この記事を読んでみて「物足りないな」と思われた方。

あるいは、次のステップに進みたいと思われた方。

それぞれいらっしゃるかと思います。


そんな方々には、応用編(顧客の潜在意識に潜り込み、インサイトを特定する…など)についても、ご紹介しておきますね。

・・・とりあえず、騙されたと思って、

「心」が分かるとモノが売れる』を読んでみてください。


この本を読むと、自分が考えている「顧客視点」がいかに薄っぺらいかが、痛いほど思い知らされるはずです。

読んでいくうちに、フルボッコにされる感覚を覚えるかと思います。

※もし買うかどうか迷われた方は、レビュー記事もございますので、よろしければご覧ください。

【書評】『「心」が分かるとモノが売れる』鹿毛 康司


いずれにせよ、この記事で述べたかったのは、

「顧客視点に立ちましょう」なんてキレイゴトだけでは、

決して顧客視点に立つことなんてできない、ということです。


ひとつひとつの細かな行動やこだわりによって、顧客視点は少しずつ育まれる。

まずは、そうやって、足場の基礎固めをしていくことが大事である。

基礎固めを終えたら、次は難易度S級の応用編が待っている。

顧客視点は、それくらい、底が深く、学びがいのあるテーマだということです。

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