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【要約・書評】『謙虚なリーダーシップ』エドガー・H・シャイン

この本で解ける疑問は?

  • 次世代のリーダーシップのあり方とは?
  • 1人のリーダーに依存しない組織を作るには?


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『謙虚なリーダーシップ』って?

キャリアやリーダーシップ論の大御所ともいえるエドガー・H・シャイン氏の新著がついに発売されました。

VUCAと呼ばれる目まぐるしい変化が取り巻く中、従来の指示型リーダーシップなどが通用しなくなってきていると言われています。

そんな中で、新たに白羽の矢が立ったのが、今回ご紹介する『謙虚なリーダーシップ』。

 

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 謙虚なリーダーシップが求められている理由は次の3つ。
    理由1
    課題の課題の複雑さが加速度的に増しており、あらゆる解を一人の人間だけで見つけるのは不可能だから。
    理由2
    従来の人を道具扱いする管理モデルでは、上下のコミュニケーションが滞って、ひいては不正行為を生んでしまうから。
    理由3
    職業的、社会的価値観が世代交代によってUpdateされてきているから
  • では、謙虚なリーダーシップとは何なのか?それは、関係 (≒過去のやりとりに基づいて未来の互いの行動を、互いに予想できる状態)をベースとしたリーダーシップである。
    この「関係」には4つのレベルが存在している。Lv2以上を目指すのが、謙虚なリーダーシップの重要なポイントである。
    Lv-1
    望ましくない関係
    Lv1
    単なる業務上の、お役所的で「ほどほどの距離感を保った」関係
    Lv2
    個人としての全人格を認め合う関係
    Lv3
    親密さと愛着、友情、愛情
  • では、謙虚なリーダーシップのベースとなる「関係」を作っていくためには、そうすればよいのか?
    まずは、読書会とリフレクションを行う。『ティール組織』や『学習する組織』など、謙虚なリーダーシップのベースとなる知識が学べる本を課題図書にして、気付きや学びをシェアし合う。
    次に、自分を取り巻く関係性を分析する。自分に期待を寄せてくれているステークホルダーを並べてみて、そのステークホルダーたちとの関係性をLv-1~Lv3の間で定義する。
    最後に、Lv1以下だったステークホルダーと関係性を構築するための行動を取っていく。生い立ちを質問したり、相手に特有のことが無いか傾聴したり、自分に関する個人的なことを話してみたり、お互いが「相手の全人格を認め合う状態」になれるよう対話を重ねる必要がある。

いかがでしたでしょうか。

今紹介した内容以外にも、3章に渡って具体的な事例が述べられていたりと、半世紀にわたる研究結果が惜しみなくコンパクトに披露されています。

withコロナ、afterコロナの状況に引き寄せやすい学びも書かれていますので、是非皆さんにもオススメしたい一冊です。

学び

リーダーシップのキーワードは「心理的安全性」?

なぜ「謙虚なリーダーシップ」では、「関係≒過去のやりとりに基づいて未来の互いの行動を、互いに予想できる状態」を大事にしているのか?

この問いがずっと頭の中でグルグルしていました。

その1つの答えは、「心理的安全性」を確保するため、なのでしょう。

Googleのマネジメント論を語っている下記の本でも、「心理的安全性」が最も大事だと述べられていました。

この「心理的安全性」は「この職場なら、ありのままの自分で過ごせるだろう、と思える安心感」のようなものです。

こうした安心感を担保するためにも、メンバー一人ひとりと対話を重ね、お互いに自己開示できる関係を築くことが大事なのでしょう。

この「心理的安全性」を上手く構築していくことこそが、次世代のリーダーシップなのかもしれませんね。

 


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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