マインドセット 書評

【要約・書評】『武士道』は人徳者になるための、超普遍的なチェックリスト。

学生時代に2回挑んで挫折した『武士道』に、つい先日リベンジする機会がありました。

ちなみに、 『武士道』 と検索するといろいろ出てくるんですが、

↓のやつは、Kindle Unlimitedだと0円で読めるので、オススメです。

まあ、相変わらず読みにくくて、何書いてあるかよくわかんないのですが、

パラパラ読みを5回くらいやっていると「ああ、どうやら徳が7種類あるようだ」とわかってきました。

そして、もう3回くらいじっくり読んでみると、「義はこういうことね」「勇と義の関係は、こうね」と、少しずつ身体に染み込んできました。


で、せっかく「何となく理解できたレベル」までにはなってきたので、

ここらで1回、自分なりの理解を明文化しておきます。

そもそも、なんで書かれたの?

まずは、本書の生い立ちを整理しておきましょう。

ご存知の方が大半でしょうが、この本は海外の方々をターゲットに書かれたものです。

なぜ、海外の方々に向けて、書かれる必要があったのか。


本書が出版された当時は、日本が日清戦争・日露戦争で勝利をおさめた時期でした。

眠れる獅子こと中国と、大国ロシアが、日本という「つい最近まで時代遅れだった、ちっぽけな島国」に敗北した。

これは、海外のみなさんからすると、本当にビックリだったようでして、急激に日本への関心が高まっていたんですね。

ただ、それと同時に

「日本人は強く信仰している宗教もないらしい」

「そんなんじゃ、モラルのかけらもない野蛮な民族で溢れているんじゃ。大丈夫か?」

と思われていたみたいで。


この誤解を何とか解いて、「日本人にも道徳心があるんだ」と証明しようと動いた方がいました。

それが、新渡戸稲造です。

武士道は7つの徳で構成されている

新渡戸稲造は、日本人の道徳心を、7つの徳に分類しています。

ちなみに、徳とは「立派な行い」のことですね。

しかも、ただ7つに分類するのではなく、キリスト教とも対比ができるように、わかりやすく解説しています。


人は、自分がすでに知っている概念やモノサシを使って、目の前の物事を理解します。

なので、海外の方々が「キリスト教というモノサシ」を用いながら理解できるよう、武士道の表現を工夫したのでしょう。


では、武士道に記されている7つの徳とは何なのか。

自分なりに表現すると、以下のように理解しました。

  1. 義:自分が心から「正しい」と思えること
  2. 勇:義を実行にうつすこと
  3. 仁:自分より立場の低い人への思いやり
  4. 礼:相手と同じ立場に立つ努力をし、気持ちを分かち合うこと
  5. 誠:嘘をつかないこと、ごまかさないこと
  6. 名誉:恥ずかしいことをしないこと、志を成し遂げること
  7. 忠義:自分が信じるものに忠実であること

以上を整理すると、次の1枚に整理できます。

武士道は人徳者になるための、超普遍的なチェックリスト

思い返せば、最近出版されているベストセラーも、元をたどれば、武士道のエッセンスが含まれています。

例えば、『Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』は、

意図しているかどうかはわかりませんが、武士道の「礼」のエッセンスがふんだんに盛り込まれています。

本書は「礼節がある人が、ビジネスの世において得をする」ということを、

研究結果も交えながら解説されているわけですね。

Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』が出版されたのが2019年。

一方で、礼節の重要性を説いている『武士道』が出版されたのは1900年。


100年以上経過したあとも、変わらず重要な存在であり続ける概念を記した『武士道』の普遍性には、頭が上がりません。

そんな『武士道』に書かれているエッセンスは、100年以上も廃れずに通用している。

ということは、 『武士道』 における7つの徳を毎日、来る日も来る日も実践し続けていたら、100年通用し続けるビジネスパーソンになれるのではないか。


・・・冗談です。

ただ、『武士道』の7つの徳を、日々の行動を振り返るチェックリストとして活用すれば、生涯を豊かにできるマインドセットが手に入るのではないか。

そのように思います。


『武士道』は人徳者になるための、超普遍的なチェックリストである。

このことに気づけたことが、本日の最大の収穫でした。


ちなみに、以下のようにチェックリストにしてみました。

  • 義:他人に誇れる価値基準を設定できているか?
  • 勇:自分に小さなウソをついていないか?
    例)上司の意見に本当は反対なのに、反論せずに後悔していないか…etc
  • 仁:自分よりも何らかの不自由さを抱えている人に、何か親切な行動ができているか?
  • 礼:相手が置かれている背景を理解しようとつとめたうえで、相手に接しているか?
  • 誠:隠し事はしていないか?
  • 名誉:他人に説明できないような言動をしていないか?
  • 忠義:自分の志と逆行するような行動をとっていないか?


チェックリストを運用しつつ、修正を重ね、「自分なりの武士道」を明文化できればと思います。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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