BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。地元九州への隠居を細々と構想中。書評?感想?読書日記をロジカルに書いていきます。夢は大きく、「ビジネス書コンシェルジュ」になれるよう、頑張ります。

その営業戦略、本当に大丈夫?『法人営業「力」を鍛える』今村 英明

この本で解ける疑問は?

  • 来期から「営業企画部」へ異動に…最初に読むべき本は?
  • マーケティングと営業の関係って?
  • マーケティングや営業でいう「経営目線」って?
  • 日々の営業活動に、もっと「戦略的」に取り組むためには?

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『法人営業「力」を鍛える』って?

-Why-なぜ書かれたのか?

本書を書くにあたっての問題意識や目的について、筆者は次のように述べています。

これまでこの分野では、「業界ナンバーワン営業マンのやり方」「営業の達人」など営業テクニックやスキルのテキストやエリート紹介の本が山ほどあった。しかし、残念ながら、できる営業スタッフとふつうの営業スタッフを決定づける、「市場を科学的に観察して、その観察に基づき自社にとっての勝ち方を考え、実行する」という「マーケティング・ロジック」に触れた本格的な書籍がなかった。(「はじめに」ⅰページ) 

(中略)

本書は、法人営業におけるマーケティング・ロジックの基本的な要素を簡便なツールとして紹介し、分析的な思考やスキルを磨く手引書となることを目指している。(「はじめに」ⅲページ)

では、本書でたびたび登場する「マーケティング・ロジック」とはいったいなんなのでしょうか?

-What-なにをすべきか?

本書のキーワード「マーケティング・ロジック」について筆者は次のように説明しています。

「マーケティング・ロジック」とは「マーケットを科学的に観察した結果発見した、自社にとっての勝ち方」のことである。

「マーケティング・ロジックをもつ」とは「自社のどの製品 ・サービスをどの顧客にどう売り、どう競争相手に持続的に差をつけ、最後はどう利益を上げるかに関する首尾一貫した見方・考え方・行動の仕方をもつ」ということである。(7ページ)

そして、この「マーケティング・ロジック」 の意義や使い方・効果について、以下の章立てで述べています。

序章:できる営業スタッフは何が違うのか

第1章:日本企業に蔓延するマーケティング・ロジック欠乏症

第2章:チャンスを再発見する-市場を科学する技術

第3章:戦略を再考する-「標準化」と「カスタマイゼーション」

第4章:顧客を再発見する-ニーズや意思決定の構造を分析

第5章:取引関係を再構築する-顧客アプローチの方法

第6章:プライシングをやり直す-高収益を実現する値付け

(「はじめに」ⅵページ)

今回は、下記ブログでご紹介した「本は2割だけ読めばいい」に従って、
第1章~第6章の中で「大事な部分2割」を特定してみたいと思います。

※「本は2割だけ読めばいい」を詳しく知りたい方はこちら

www.biz-knowledge.com

私個人としては、まず「マーケティング・ロジック全体のざっくりとしたイメージやコツ」から掴みたいので、それが書かれている箇所を探してみたいと思います。

章立てを見るに、第1章は筆者の問題意識が書かれていそうです。「はじめに」を読んで、筆者の問題意識はざっくり掴めたので、読むのは後回しにしてみます。

第3章以降は、「標準化」などの具体的なキーワードが含まれているので、おそらく「マーケティング・ロジックの各論的・専門的な内容」が書かれているのでしょう。
まず知りたいのは「全体のざっくりとしたイメージ」なので、第3章以降を読むのは後回しにします。

最後に第1章ですが、タイトルに「市場を科学する技術」というキーワードが含まれています。
「市場を科学する技術」とは「マーケティング・ロジック」そのものなので、第1章には「総論的な内容や、全体に通じるコツ」的なものが書かれていそうです。

したがって、第1章を詳しく見てみます。

-How-どのようにすべきか?

第1章を斜め読みしていくと、次のタイトルを発見しました。
「市場を科学するための七つのコツ」。これは明らかに重要そうです。

本書では、そのコツが次のように述べられています。

コツ①:仮説をもって分析

コツ②:現場のリアルな情報を収集(85ページ)

全部書くとお咎めを受けそうなので、これだけしか書けませんが、コツの文面だけ読むと「当たり前じゃないか」と思えてきます。

しかし、「仮説をもって分析するとは、どういうことか?」「現場のリアルな情報を収集するとは、どういうことか?」がかなり具体的に書かれていますのでご安心ください。

私も本書を読んで、実際のプロジェクトでとても助けられました。
その助けられた思い出を、学びの部分で綴ります。

 

学び

このビジネス書で得た学びは、まさに先ほど述べた「仮説をもって分析するとは、どういうことか?」「現場のリアルな情報を収集するとは、どういうことか?」です。

以前担当していたお客様に、「どうしても、案件の受注の取りこぼしが減らない」というご相談を受けたときのエピソードについて書きます。

まず、「仮説をもって分析する」といっても、私自身、営業をしたことが無かったので、まず、現場の営業リーダーの方々に話を聞いて回りました。

たまに「自分の考えをもて」と同じ文脈で「仮説をもて」と助言をくださる方々がいますが、思いつかないものは思いつきません。
ラーメンを食べたことが無いのに、「どのラーメンが美味しそうか」と机上で考えても無意味でしょう。
実際にラーメンを食べるか、食べたことのある人に聞くしかないと思います。

人見知りの私の場合、「実際にラーメンを食べる」ように「実際に営業をする」ことは無理でした。

なので、仮説を得るために、「食べたことのある人に聞く」ことにしました。
おかげで、次のような仮説をお借りすることができました。

  1. 手持ちの案件情報が、そもそもリストやシステムで把握されていないのでは?
  2. 案件の期限が設定されておらず、「先延ばし」にされるケースが多いのでは?
  3. 案件の優先順位付けが属人的で、「確度が高い」案件ばかりにフォーカスしている営業マンが多数いるのでは?

 

次に、「現場のリアルな情報を収集する」についてです。

これは、すでに仮説をもっていたのと、お客さん先のシステム事情はよく知っていたので、わりとすんなり実行できました。

まず1の仮説ですが、どの営業スタッフも几帳面にシステムに入力する習慣がついていました。「情報は資産である」という考えが浸透していたのでしょう。

次に2の仮説ですが、半分外れ、半分当たりでした。
システムへの入力内容や履歴を見ると、「案件の期限」は入力されていたのですが、「期限切れ」もしくは「期限を後ろ倒し」した案件が多数存在しました。

最後に3の仮説ですが、これが当たっていました。
「受注確度が80%以上」と入力されている案件ばかり取りに行く営業スタッフが多かったのです。
金額が大きくても、「受注確度が80%未満」の案件は、その多くが先延ばしにされていたのです。

そこで、「現場のリアルな情報」を使いながら、次の策を取りました。

  • まず、「受注確度が80%未満」の案件に絞る。
  • 次に、縦軸に「受注額(見込)」、横軸に「更新されず放置された時間」を取る。
    第1象限:「受注額」が低く、「更新されずに放置された時間」も短い
    第2象限:「受注額」が低く、「更新されずに放置された時間」は長い
    第3象限:「受注額」が高く、「更新されずに放置された時間」は短い
    第4象限:「受注額」が高く、「更新されずに放置された時間」も長い
  • そして、上司と部下の相談タイムは、第4象限の案件だけに絞って行う。

以上のような仕組みを実施して、第4象限の案件の取りこぼしはだいぶ減りました。

今、振り返ると、「もっと本質的な課題が他にあるだろ」とか「思考が浅いな~」と思うエピソードです。

しかし、下記の学びを得ることができた点で、非常に思い出深いです。

  • 仮説をもち、現場のリアルな情報を収集するとはなにか?を身体で覚えることができた

  • 経験が浅いうちは仮説は周りから借りてくる、というノウハウが得られた

明日から取れるアクション1つ

  • 本書に書いてあることを1つでも、本ブログに導入してみる
    (どう導入したか?は、【実践編】で述べたいと思います。)

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