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【要約・書評】シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント

本書を手に取ったきっかけは、「この本、控え目にいってヤバい」というツイートを見かけたからです。

実際読んでみた感想は・・・マジでヤバい本でした。
いつも以上に語彙力が皆無で申し訳ありませんが、本当に素晴らしい本でした。

ジャンルは自己啓発ですが、「合理的な自己啓発書」という新たな領域を開拓している本です。
筆者を拝見して納得。シリコンバレーの最重思想家が書いた本でした。

『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』とは?

本書は、個人投資家としてUberやTwitterに初期投資を行うなど、圧倒的な行動力と先見の明を兼ね備えた「ナヴァル・ラヴィカント」の発言をまとめた本です。
日本にやってくる前の原書は、Amazonで7200超のレビューがついて、星4,7という異例の評価。

ジャンルとしては自己啓発書なのですが、巷にあふれる自己啓発書とは一線を画しています。
あえて名づけると「合理的な自己啓発書」といいますか。
ナヴァル氏の圧倒的な思考力や経験量に裏付けされた、「幸福の原理原則」がロジカルに解き明かされています。

幸福=よい人間関係+健康+富

ナヴァル氏によると、幸福とは次の方程式で構成されるとのこと。

幸福=よい人間関係+健康+富

この3つの要素は、樺沢 紫苑氏の『精神科医が見つけた3つの幸福』とも通ずるものがありますね。
この本で、樺沢氏は次のように述べていました。

つまり、私たちが普段感じる「幸福」は、セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福、ドーパミン的幸福に分類できるだろうということです。

セロトニン的幸福とは、一言で言うと、健康の幸福。心と体の健康です。

オキシトシン的幸福とは、つながりと愛の幸福。友情、人間関係、コミュニティへの所属などの幸福です。

ドーパミン的幸福とは、お金、成功、達成、富、名誉、地位などの幸福です。

「あなたにとっての幸福とはなんですか?」と質問した場合、この3つの幸福のどれかを答える人がほとんどのはずです。

『精神科医が見つけた3つの幸福』p24より

ナヴァル氏が樺沢氏と同じ文献を読んだかどうかは知りませんし、言葉遣いも100%一致しているわけでもありません。
しかし、こうも似通ったキーワードを両者とも挙げているということは、この「幸福=よい人間関係+健康+富」は、確度の高い原理原則なのかもしれません。

では「幸福=よい人間関係+健康+富」は、さらにどのように分解できるのか?
私なりの理解も交えて体系化すると、次のように整理できます。

いずれのキーワードも、非常にシンプルでわかりやすいものばかり。
そして、1つひとつのキーワードについても、ナヴァル氏は非常に含蓄のある金言を残されています。

例えば、「特殊知識」というキーワードについて、ナヴァル氏は次のように語っています。

私の言う「特殊知識を見つける」というのは、君が子どもの頃や10代の頃に苦もなくやっていたことを考えてみようということだ。君自身はスキルだとも思っていなかったが、身近な人が気づいていたことだ。君の母親や幼なじみはきっと知っている。

(中略)

特殊知識というのは、遺伝から来る君の独自の特性と、君の独自の生い立ち、それらに対する君の働きかけが、不思議な具合に組み合わさってできたものだ。君の個性や人となりにほとんど織り込まれているものと言っていい。それを磨いていこう。

『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』p52

この特殊知識とは、すなわち「苦もなく何時間でもやっていられること」を表す。
この点について、ナヴァル氏は次のように述べています。

私はいつも「仕事」をしている。傍目には仕事をしているように見えるが、遊び感覚でやっている。だからこそ、自分のやっていることにかけては誰にも負けない自信がある。

だって私は1日16時間遊んでいるだけなんだ。私と競争したい人は働く必要があるが、1日16時間週7日も働いていられないから、私には勝てっこない。

『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』p107

このような金言が、320ページにわたって高密度で書かれています。
言葉遣いは読みやすい。しかし、噛み砕いて消化するには、何周か読んでみて実践を繰り返す必要がある。
まさに、噛み応えのある超良書です。

考察:自分の「特殊知識=苦もなくやっていられること」を見つけるためには?

とはいえ、先ほどの「特殊知識」なるものが簡単に見つかれば苦労しないんですが、これが非常に難しい・・・

そこで、個人的に試してみて、しっくり来た方法をご紹介します。
使うのは『ストレングス・ファインダー』です。

この本を使うと、自分の強みが何なのかを特定できます。
ここでいう強みとは、「自分が無意識のうちに発揮している資質」のこと。
つまり、ナヴァル氏のいう「特殊知識」と類似する概念といえるでしょう。

ちなみに、本書で紹介されている強みは「実行力」「影響力」「人間関係構築力」「戦略的思考力」の4象限で計34個あります。

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ちなみに、私の診断結果は、こんな感じ。

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  • 上位を占める「戦略的思考力」と「実行力」で、個人プレーでガンガン進める
  • 過去(原点思考)にも、未来(未来志向)にも全く興味がないし、運命(運命思考)も特に信じていない
  • 「人間関係構築力」がたった1つと、非常に壊滅的

・・・いい仕上がりです。

しかし、このままでは、ただ性格診断をしておしまい、になりかねません。
そこで、もう一工夫、加えてみましょう。
「強みのエコシステム」を作ってみるのです。

強みのエコシステムとは、ストレング・スファインダーで判明した強みが「どのように影響し合っているのか=メカニズム」を図示したものです。
例えば、私の場合は次のように図示できます。

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ざっくり説明すると。

  • 普段のガソリンは「学習欲」と「達成欲」。好奇心に任せて大量のビジネス書を読んで、ブログ化するサイクルを回すことで、「ちゃんと生きているなー感」を味わっている。

  • やりたいこと=ゴールを定めるときは、「親密性」と、ほんの少しの「公平性」が起点になっている。 親しくなった相手が目指している志を、全力で応援できるようなゴールを常に描いている。 何となく幼少期から抱いている「公平性=機会の不平等への嫌気」を、上記のゴールに付け足すと、よりやる気になって動けることが多い。

  • ゴールとスタート地点が決まれば、あとはスムーズ。「戦略性」を駆使して、オプションをいくつか並べる。その後、「分析思考」を使って、オプションの解像度を上げて、優先順位をつけながら、アクションプランに落としていく。

  • できあがったアクションプランを、「コミュニケーション」を使って、わかりやすい資料に落とし込んでいく。その資料を、それっぽくプレゼンしながら、関係者に伝達していく。

  • アクションプランが決まれば、ひたすら「達成欲」を使って、ゴリゴリ進んでいく。障壁があっても、「戦略性」を使って、しれっとかわして、ゴールを目指す。

  • 以上のサイクルを下支えする土台が3つある。
    第一に、「規律性」。上述のサイクルを、とにかく狂わせないよう努力する。狂う要因は「睡眠不足」「不毛で気を使うだけの飲み会」の2点。これらの要因を潰すためには、多少の衝突も厭わない。
    第二に、「最上志向」。いずれのアクションも、「当たり前の品質」を高くしたいと思っている。スライドを作るときは、0.2グリッド単位まで細部にこだわる。
    第三に、「信念」。上述のエコシステム=自分の強みで勝負し切る、"土俵感"を大事にしている。自分の強みが活かせなさそうな戦場では、そもそも戦わない。戦う土俵と、戦わない土俵をハッキリさせることで、エコシステムが錆びつかないようにしている。

このように、「強み同士がどのように影響し合っているか」まで特定できると、ナヴァル氏のいう「特殊知識=苦もなくやっていられること」らしきものがわかってきます。
・・・と、これが現段階での、私なりの「特殊知識の見つけ方」なのですが、また新発見があればUpdateして新たに記事を書いてみようかと。

今回はこの辺でGood Bye。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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