「資料作成」でAmazonを検索すると、山のように本が表示されて、いったいどれを買えばいいんだか、よくわからないですよね。
しかも、本によってフォーカスポイントが違うので、「図解の作り方を知りたかったのに、買った本は操作のことばっかり…」なんてこともあったり。
実は「資料作成の本」と一言でいっても、本それぞれに得意分野があります。
そこで今回は、以下2点についてお伝えできればと思います。
- そもそも資料作成でおさえておくべきポイントは何か?
- ポイントごとのオススメの本は何か?
本の紹介に入る前に
まずは本を紹介するための前提となる「資料作成のポイント」を整理しておきます。
私自身、新卒で外資系のコンサルティングファームに入社して以来、半分趣味レベルで資料作成について科学してきました。
先人たちの素晴しい資料もたくさん見てきましたし、達人たちに膨大な赤入れをしていただきました。
その中で自分なりに「これがポイントだ」と思うことを書いておきます。
資料は何のために作るのか?
資料は「相手にわかってもらって早く動いてもらうため」に作ります。
読み手にわかってもらう
資料がわかりやすい分だけ、「コスト=読み手が理解するまでの時間×読み手の数×読み手の1時間あたりの給料」を減らすことができます。
読み手に早く行動にうつしてもらう
VUCAと呼ばれるように変化が激しい時代だからこそ、読み手にいち早く行動してもらう必要があります。促した行動の数だけ、掲げていた目標に近づくことができます。
資料作成のポイントは何か?
大きくは3つあると思います。
- ストーリー作り
- 図解
- 操作
思考が伴う「ストーリー作り」と「図解」を真っ先に
特に1と2は思考力が求められます。
パワーポイントやワードを開く前に、資料のストーリーとそれを伝えるための適切な図解を考えておく必要があります。
思考しない限り、資料ができあがることもありません。
間違っても、ストーリーとか図解イメージが固まっていない状態で、いきなりPCを開いてパワポやワードを立ち上げてはいけません。
これは禁じ手です。
パワポやワードを操作している時間は付加価値ゼロ
じゃあ思考だけできればいいかというと、そうではありません。
パワポやワードを操作している時間は最小化しなければなりません。
なぜならば、思考することに価値があるのであって、PCをカタカタしている時間に付加価値はないからです。
明確なアウトプットイメージさえあれば、ぶっちゃけ頭を使わなくてもパワポやワードは操作できます。
頭を使わなくてもいい作業に、わざわざ人様の時間を割くのは勿体ないですよね。
こういった勿体ない時間はなるべく最小化していきましょう。
大丈夫です。操作方法には明確な正解の型があります。
1ヶ月くらい意識すれば「最短で資料を作るための操作方法」が血肉化できるはずです。
…と、少々偉そうに遠回りしてしまいましたが、まとめると資料作成には3つのポイントがあります。
- ストーリー作り
- 図解
- 操作
資料作成の学習マップ
以上の前提を考慮して、私なりに3冊厳選してみました。
この3冊に辿り着くまで、何十冊も本を読みました…が、これが結構時間の無駄だったなと。
まあ逆にいえば、何十冊も読んだからこそ、「これだ!」と自信を持って紹介できる本を発見できました(笑)
さっきの「資料作成の3つのポイント」に沿うと、以下のマップに整理できます。
◎と〇の区別は、以下のように捉えてください。
- ◎は「十分すぎるくらい、めっちゃ書いてある」
- 〇は「不自由ないレベルで書いてある」
…語彙力が低くてびっくりしますね(笑)
語彙力が低くても、わかりやすい資料は書けますので、ここはスルーしていただければと。
では、本の紹介に入っていきます。
①『世界で一番やさしい 資料作りの教科書』榊巻 亮
タイトル通り「世界で一番やさしい資料作りの教科書」です。
- 資料は何のために作るのか?
- 良い資料とはどんな資料か?
…これらの問いにシンプルに答えた本です。
先ほどの学習マップの中だと、「資料のストーリー作り」や「メッセージ作り」にフォーカスして書かれています。
それも「え、そこまで種明かししてしまって大丈夫ですか?」というレベルで踏み込んでいます。
加えて、本書の最大の価値は、これらのエッセンスを「臨場感溢れる物語形式」で知ることができる点です。
主人公が苦労しつつも徐々に資料作りを覚えていくストーリーはグッと引き込まれます。
是非、資料作成の一丁目一番地として、社会人全員にオススメしたい一冊です。
②『ドキュメント・コミュニケーションの全体観』 中川 邦夫
先に申し上げておくと、この本は「私が出会った中で最も感動した資料作成本」です。
新卒でコンサルに入社したてのときに偶然出会ったのですが、今でもバイブルとして本棚に置いてあります。
まず何よりも注目したいのが、本書に記されている「3つの原則」です。
- 解・動・早
これは、「資料は、読み手にわかってもらって、早く、動いてもらう目的で作れ」ということです。
メールにしろ資料にしろ、「読んでもらうこと、わかってもらうこと」が目的ではありません。あくまで、「相手に、早く動いてもらう」ことが目的です。 - 問題解決コミュニケーション
「問題解決の流れに沿って、物事を伝えろ」ということです。
ビジネス上、誰に動いてもらわないといけないのは、その先に「問題解決」があります。なので、「取ってほしい行動が、どう問題解決につながるのか」がわかるストーリーで、資料を書くことが必要になります。 - スタンド・アローン
「資料が誰に出回っても、誰もが理解できる状態」を指します。
資料のいいところは、「自分の代わりに、資料が説明してくれて、人を動かしてくれること」だと思います。そのためにも、この原則は守らねばなりません。
この3つの原則をどうやって守っていけばよいかが上下巻にわたって記されています。
絶版になっているのか、知る人ぞ知るレアな本です。
まずは騙されたと思って、上巻だけでも読んでみてもらえると嬉しいです。
③『外資系コンサルが実践する 図解作成の基本』吉澤 準特
図解のパターンやパワーポイントの具体的な操作方法を知りたければ、この本をオススメします。
- どういうときは、どんな図形を使って情報を整理すればよいか?
- 視覚に効果的に訴えるための合理的なデザインは何か?
- 素早く綺麗に図解するために、押さえておくべき操作方法な何か?
…このあたりの論点が網羅されていて、痒い所にも手が届く「辞書」のような一冊です。
いかがでしたでしょうか。
「資料作成の学習マップ」で1人でも多くのビジネスパーソンのお役に立てますと幸いです。