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え、まだ本を「全部」読んでるの?『読書を仕事につなげる技術』山口 周

この本で解ける疑問は?

  • これだけビジネス書を読んでいるのに、どうして仕事の質が上がらないのか?
  • 本を読むのに時間がかかってしまう。どうすれば効率よく読める?
  • 本で読んだことをメモで残したいが、なかなか続かない…。続けるコツは?
  • 本を読んでも、内容が全然覚えられない。効率のよい思い出し方はある?
  • 何となく「読書しなきゃ」と思うけど、何を読めばいい?

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『読書を仕事につなげる技術』って?

-Why-なぜ書かれたのか?

本書の目的について、筆者は次のように述べています。

本書の目的は、「読書をそれなりにしているのに、読書で得られた知識や感性を、うまく仕事に活かせていないなあ」と感じている人に、「読書を仕事につなげる」技術について、筆者がこれまでに実践してきたことをお伝えすることです。(5ページ) 

何となく、「読書量」が重視されることが多いように感じますが、筆者はこのことに問題提起をしています。
「量は必要条件ではあるけど、十分条件ではない」と。では、何が重要なのか?
筆者は次のように述べています。

結論から言えば、 読書で得た知識や感性を仕事に活かそうとした場合、大事なのは「読んだ後」なのです。(8ページ)

つまり、本書の目的にあった「読書を仕事につなげる」技術とは、「読んだ後」の何かしらの工夫がポイントなのでしょう。
では、どのような工夫をすべきなのでしょうか?

-What-なにをすべきか?

「読書を仕事につなげる」にあたり、筆者は、第1章で次の6つの原則を提示しています。 

原則1:成果を出すには「2種類の読書」が必要
原則2:本は「2割だけ」読めばいい
原則3:読書は「株式投資」と考える
原則4:「忘れる」ことを前提に読む
原則5:5冊読むより「1冊を5回」読む
原則6:読書の「アイドルタイム」を極小化せよ(12ページ)
このうち、原則1の「2種類の読書」とは、次の2つを指しています。
  • ビジネスの名著:ビジネスパーソンとしての「基礎体力」をつくるために読む
  • 教養書:ビジネスパーソンとしての「個性」を形成するために読む

そして、ビジネス書と教養書それぞれについて、「何を読むか」「どう読むか」が第2~5章にかけて説明されています。いずれの方法論の説明も、「え、こんな簡単なことでいいんだ」と、ある意味、度肝を抜かされます。特に私にとって目から鱗が落ちた「原則2」について、もう少し掘ってみたいと思います。

-How-どのようにすべきか?

原則2:本は「2割だけ」読めばいい、ですが、なぜ2割なのでしょうか?

答えは「本から得られる効果の8割は、1冊のうちのたった2割で構成されるから」です。つまり、1冊の本の「大事な部分2割」さえ読んでしまえばいい、というわけです。

では、どうやって、「大事な部分2割」を抑えればいいのか?
筆者は次のように述べています。

まず、なにをさておいてもやらなければいけないのが「目次を見る」ということです。
目次を見て「総括」や「結論」といった全体のまとめのような章があれば、まずはそこを読んでみる。(25ページ)

なるほど。しかし一方で、まれに「結論っぽいものが見当たらない」「まとめのページを見たけど、さっぱり」という場合もあります。
その対処法として、筆者は次の方法も示してます。

こういう場合は、目次立てを見ながら「一番面白そうだ」と思える章、興味を引き立てられる章から読んでみます。ここでは、その章の冒頭から一言一句読んでいくことはせず、段落冒頭の一文だけを読んでいくという読み方をします。
(中略)

そうして面白そうであれば、その章を読んでみる。面白くなければ、再び目次に立ち返って、面白そうな章を選び、再び「段落冒頭一文読み」でその章をざっと斜め読みしてみる。(26ページ)

この「面白い/面白くない」の基準は、フィーリングで良いそうです。

以上のように、本の重要部分を占める2割を見つけて効率よく読書を行う。
もし、その2割が見つからなければ、「読むべきではない」と判断し、次の本へ移る。
この切り替え、スピード感が重要と言えるでしょう。

ビジネス書を読み始めようと思うんだが、最初は何がおすすめ?」と聞かれたら、「読み方」が知れる本書をおすすめするようにしています。


 

学び

個人的に、次の2点が大きな気づきでした。
  1. 「全部読まなくてよい」というか「全部読まない方がいい」
  2. 読むときも、人に話すときも、「概要→詳細」の順番にこだわる

1. 「全部読まなくてよい」というか「全部読まない方がいい」

昔から「お金をかけて買った本だし、全部読まないともったいない」と思っていました。

それに、高校までは、「教科書の隅から隅までテスト範囲」なので、自然と「全部読むのが正しい」という感覚がありました。

しかし、受験やテストと違い、社会人になってからは「テスト範囲」も「答え」もありません。

なので、いち早く、「テスト範囲にアタリをつけて、答えに必要な情報もアタリをつける」という、大変で膨大な作業が待っています。

この作業をショートカットして、早く友人と飲みに行くためにも、全部読まずに「大事な2割探し」に専念することが必須だと気づかされました。

2. 読むときも、人に話すときも、「概要→詳細」の順番にこだわる

本の端から端まで読むと、時間が足りないのと一緒で、人に何かを話すときも、いきなり1から100まで説明すると、「よくわかんない」「眠い」と言われてしまいます。

ですので、人に話すときも、「先に、大事なこと2割だけ、概要として話す」意識を持ってみました。

まだまだ、読むときも話すときも「大事な2割」の抽出に時間がかかってしまいますが、習慣化するまで続けてみます。

明日から取れるアクション1つ

  • 読書日記を、「大事なこと2割日記」に進化させる。
    (アクション、というより、目標な気がしますが、悪しからず)

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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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