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書評『気持ちよく人を動かす』を読んで気づいた「合意のコツ」

資料を作りこむほど、合意が取れない?

突然ですが、駆け出しコンサルだったころの、苦い思い出があります。

新卒2年目になったばかりの頃。

3つプロジェクトを経験したこともあって、ある程度「スキのない資料づくり」に自信を持ててきたタイミングでした。

で、4つ目のプロジェクトに参画した次の日に、クライアントとの会議で、早速アジェンダを1つ任せてもらいました。

「よし、早く自分のことを、価値のある人材だと認めてもらうぞ」と思い、張り切って資料を作りました。

大したアジェンダではなかったのですが、

  • 今回検討したい論点は何か?
  • プロジェクト全体における、今回の論点の位置づけは何か?
  • 論点に対して、考えられるオプションは何か?
  • 想定される懸念やリスクは何か?

と、考えたことを全て資料に落とし込んだわけです。


そして、いざ会議本番を迎え、意気揚々と10分ほど説明をしたわけですが・・・

まあ、刺さってないこと。

あ、話を聞いてもらえていない感が半端ないなーと、冷や汗を書きながら、最後まで説明をし切りました。


幸いにも、そのクライアントはとても親切な方で、プレゼンのどこがダメだったのかを教えてくださいました。

「説明が丁寧すぎる。そこまで説明されなくても、こっちはちゃんと理解している。というか、君より理解している」

「てか、資料を丁寧に作りこみすぎ」

と、確かこんなフィードバックをもらいました。


その後、私の上司が次のアジェンダを仕切っていたのですが、これが非常にスムーズだったんですね。

別に資料はそんなに綺麗なわけでもなく、何なら「え、これだけ?ただの箇条書きやんけ」と思うようなスライドもあって。

でも、不思議なことに、クライアントが前のめりに、楽しそうに自分の意見を発言して、

上司はその意見をタイムリーに反映しながら、その場で資料をアップデートしていきます。

そして、何の苦労もない感じで、合意に至っていました。


当時の私は、何だか自分の努力を全否定された気になって、しょんぼりしてました。

自分の中で「コンサルはカッコよくて隙の無い資料を作らなきゃ」と思い込んでたんですね。

その労力が空回りしたわけです。

一方、上司は、資料を作りこまずとも、その場で参加者に意見を出してもらって、それをまとめて成果物を作り上げていました。

そのコストパフォーマンスの良さに、唖然としたものです。


いったい、上司と私とで、何が大きく違ったのだろうか?

どこが分かれ目だったのだろうか?

…これらの疑問に、クリアな答えを出せず、数年モヤモヤしていたところ、

やっと救世主のような本と出会うことができました。

その名も『気持ちよく人を動かす』。

『気持ちよく人を動かす』はどんな本?

本書は、あの名著『無敗営業』を書かれた高橋 浩一氏の新刊です。

もし、 『無敗営業』 にも関心をお持ちの方は、以下の記事もご覧ください。

【書評】『無敗営業』高橋 浩一

さて、 『気持ちよく人を動かす』 の全体像を示しておくと

  • 「競争」ではなく「共創」のディスカッションとは何か?
    ⇒共創するためには、7つの力が必要
  • 疑問や反論も想定して準備するためにどうするか?=①想定する力
  • 突っ込みを歓迎し、双方向にやりとりするためにどうするか?=②段取りする力
  • 4つの壁を乗り越える方法は何か?
    • 「関係性の壁」を解決する=③理解する力
    • 「情報整理の壁」を解決する=④見える化する力
    • 「思い込みの壁」を解決する=⑤思い込みを外す力
    • 「損得勘定の壁」を解決する=⑥軸を動かす力
  • 相手と二人三脚で推進するためにどうするか?=⑦巻き込む力

こんな感じで、気持ちよく人を動かすためのステップや、そのための力が体系的に紹介されています。

筆者が戦略コンサル出身なのもあって、非常にロジカルにまとまっています。

コスパよく合意を得るために必要なこと

中でも、個人的に一番、心に残ったポイントが。

それは「コスパよく合意を得るには、参加者の意見を取り入れること(もしくは、取り入れた感を出すこと)」。


本書を読んでいると、

  • 一方的に、こちらの話を押し付けないこと
  • 相手の話す時間をしっかりと確保すること

が、いろんな章で強調されていました。


特に印象的だったのは、「会議資料における、初期情報と追加情報のバランス」です。

  • 初期情報とは、最低限、相手との会話がスタートするのに必要な情報
  • 追加情報とは、何かしら相手の考えに影響を与える情報。相手の受け入れ体制ができていないと、あまり意味が無い情報

この2つの情報の比率が、合意を得るためのカギになると。

比率は、ディスカッションの相手によって異なるみたいで、

本書の内容を踏まえると、以下の図のように整理できます。

確かに、この図の比率には見覚えがあります。

相手と信頼関係ができていて、反対される懸念がないんだったら

  • こちらの意見をとりあえず全部話す
  • 相手は「うん、OK」と言う

このツーパンチでケリがつくでしょう。


一方で、相手との関係性があまりなく、警戒感を抱かれているとき。

こういうときは、相手が話す比率を増やさなくてはなりません。

そのためにも、「相手が話せるようになるための最小限の情報=初期情報」を伝え、あとは相手に話してもらう。

そして、相手の関心事に応じて、「追加情報」を伝える。

この比率の配分をミスってしまったのが、冒頭で述べた失敗につながったのでしょう。


「仕事ができるやつ」になる最短の道』でも書かれていましたが、

コミュニケーションで最も大切なのは「自分が話したいことではなく、相手が聞きたいことを話す」こと。

この1点を意識すれば、自ずと話す比率は、上記の図みたいに調整されるのかもしれませんね。

そんな、「合意を得るための本質」に触れることができる一冊でした。

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