スキルアップ マインドセット 書評

【要約・書評】『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』ふろむだ

この本で解ける疑問は?

  • 「なんで、あんな奴が評価されるんだ?」のカラクリとは?
  • 人生は運や実力よりも「勘違いさせる力」で決まるって本当?


https://www.amazon.co.jp/dp/4478106347

『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』って?

「なんで、あんな奴が評価されるんだ?」

一度はそんな疑問を感じたことがある方も、少なくないのではないでしょうか?

いや、もしかすると、そう周囲から思われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

なぜ、こうした「実力以上に評価される現象」が起こり得るのでしょうか?

このカラクリを解き明かしたのが、本書『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』です。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 「錯覚資産」とは、自分の得になるような、他人の勘違いのこと。
    要は、「実力がある」から、よいポジションを獲得できるのではなく、「実力があると周囲が錯覚する」から、よいポジションを獲得できるということ。
  • 「錯覚資産」がなぜ重要か?それは、成長ループの要だからである。大きく3種類の成長ループがある中で、いずれのループも「錯覚資産」が中心になっている。
    • 第一のループでは、実力がある人が成果を生み、その成果を周囲にアピールして「錯覚資産」に変化させることに成功した人が、よりよい環境を手に入れることができる。よい環境では、よい成果を生み出しやすくなり、次の「錯覚資産」形成につなげることができる。
    • 第二のループは、「錯覚資産」が十分に大きければ、たいして実力がなくても、大きな成果を生むパターンを指している。例えば、有名な起業家が本を書くと、たとえ内容が薄っぺらいものでも、ベストセラーになることもある。
    • 第三のループは、環境に恵まれているから、成果が出やすくなるパターンを意味する。優秀な上司の指示のもと、優秀な同僚と一緒に働いていれば、良い成果につながる確率は高くなる。また、大手企業の看板を背負っていれば、大規模で難易度の高い商談を成立させることもできる。
  • これらの「錯覚資産」を意図的に活用していくことで、より大きな成功を手にすることができる。「錯覚資産」を育てるためには、「錯覚資産化のしやすさ×成果のアピール」の面積を大きくしていけばよい。
    • 「錯覚資産化のしやすさ」を高めるためには、具体的な数値が出る成果や、「わかりやすい」「心理的インパクトの大きい」成果を狙うとよい。大して難易度は高くないが大きな数字が作りやすい仕事は美味しい。
    • 「成果のアピール」は、まず何よりも、アピールする努力を怠らないことが肝心である。そのうえで、権力者や発言力が強いキーパーソンを狙い撃ちしてアピールしていくと効果的である。

いかがでしたでしょうか。

この要約だけ読むと、「何だその生き方は?」「錯覚資産を使うなんて陰湿だ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、本書を最初から最後まで読むと、「人間である以上、錯覚資産との付き合いは不可避」だという事実が嫌というほど突き付けられます。

我々人間は、「錯覚する生き物」なのです。

だとすると、考えられる生き方は次の3パターンだと筆者はいいます。

  1. 錯覚資産を認めて使っていく、「醜悪な生き方だが、うまくいく人生」
  2. 錯覚資産を一切使わない、「美しい生き方だが、うまくいかない人生」
  3. 錯覚資産を使っていることを隠蔽する、「醜悪で卑劣な生き方だが、うまくいく人生」

もちろん、この3パターンの間の「グレーゾーン」は存在するのでしょう。

しかし、基本はこの3パターンに落ち着かざるを得ないのかもしれませんね。

個人的には、非常に納得感のある、「出会えて本当に良かった」と思わせてくれる良書でした。

学び

「錯覚資産」を試しに作ってみる

物は試しですので、「錯覚資産」を作ってみたいと思います。

  • 慶應義塾大学を卒業後、外資系コンサルティングファームに就職
  • OJT明けの最初のプロジェクトで、半年の予定だった大手メーカーのCRMシステムリプレイスを、3ヶ月で実現。その後も・・・
  • コンサルティング部門で、入社3年目で、新卒最速でシニアアソシエイトに昇格・・・

…と、途中で書いていて、嫌気が差しますね(笑)

どうも「胡散臭い」と思ってしまいます。

「コンサルティングファームってどこ?どうせマッキンゼーやBCGじゃないとこでしょ?」

「CRMシステムのリプレイスって、ユーザーは何人規模?何人で挑んだプロジェクトなの?」

「最速で昇格って、他の同期もたくさん昇格したんでしょ?」

…と、ツッコミどころ満載ですね。

でも、少しは下駄を履いた気分にもなりますね。

おそらく「話しだけは聞いてやろう」「記事くらい読んで、ケチでもつけてやろう」くらいは思っていただけるのでは?…と感じました。

 

相手の興味を引くためには、(良くも悪くも)「錯覚資産」を使ってみるのも悪くないかもしれませんね。

一方で、自分の首を絞め付けすぎないよう注意も必要な「諸刃の剣」といえるでしょう。

「錯覚資産」…本当に面白いキーワードですね。

 


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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