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【要約・書評】『リーダーシップに出会う瞬間』有冬 典子

この本で解ける疑問は?

  • リーダーシップにも成長過程があるって本当?
  • 「あの人のもとで働いてもらいたい」と思えるリーダーと、「あの人とは絶対働きたくない」と思われるリーダーの違いは?


https://www.amazon.co.jp/dp/4820731637

『リーダーシップに出会う瞬間』って?

「これまで読んだ本の中で、一番リアル感をもって読むことができた本」

一言で感想を述べよと言われたら、こう答えます。

それくらい「うんうん、あるある」と思わせてくれる本でした。

 

実は、本書を読むまでは、「リーダーシップ」なるものが苦手で苦手で仕方ありませんでした。

勝手に「周囲を巻き込んでリードすること=リーダーシップ」だと勘違いしていたからです。

僕はとことんチームプレーが苦手で、空気も読めない(読まない?)ので、周囲をリードするなんておこがましいし、申し訳ない。

そう思っているんですね。

 

しかし、本書を読んでいくと、次第に「自分の成長をリードすること=リーダーシップ」だとわかっています。

リードする対象は「自分自身」なのです。

それはどういうことか?成長とは一体どこを目指すのか?

この論点に答えてくれるのが、『リーダーシップに出会う瞬間』です。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • リーダーシップとは「影響力」のことで、4つの段階が存在する。
  • 第一段階は「エゴリーダー」。まず、他者のことは、自己の欲求を満たすための道具・手段としか思っていない。また、弱肉強食の価値観の持ち主である。このリーダーを経て、「自分の思いを押し通す推進力」「はっきりと発言する力」「譲らない強い意志」を養うことができる。
    (第一段階から第二段階に進むためには、「他者から見た自分の姿を認識できる」「自分の行動の起点が"保身"からなのか"願い"からなのかに気づく」などの変化を経る必要がある。)
  • 第二段階は「八方美人」。他者のことを、自己イメージを形成するために必要なものと捉えている。言い換えれば、周囲に依存して、自己イメージを形成させているともいえる。この段階は、コミュニティを重視する価値観である。このリーダーを経て、「他者の気持ち・思考パターン推察する力」「空気を読む力」「角が立たない言動」を養うことができる。
    (第二段階から第三段階に進むためには、「事実と解釈を分けて思い込みを無くす」「他者の気持ちを考慮しつつ、それらに呑み込まれないよう自分の気持ちを大切にできる」といった意識へと変容する必要がある。)
  • 第三段階は「コアリーダー」。このリーダーは、他者のことを、協力者、同僚・仲間だと捉えている。この段階に到達すると、「独自の価値体系=理念」「考えを言語化する力」「全体最適の視点」「巻き込み力」「向上心」「自己信頼」を養うことができる。
    (第三段階から第四段階に進むためには、「"損してもいい、嫌われてもいい、無価値でいい"と思えるようになる(自愛から慈愛へ)」といったマインドセットに変える必要がある)
  • 第四段階は「超コアリーダー」。この段階まで来ると、他者のことを、自己の変容に貢献するものと捉えるようになる。価値観としては、「人間性・慈悲心」といった精神を持っている。このリーダーになると、「個と全体の双方の可能性を最大限に引き出す力」「その瞬間瞬間と共にいる力」「常に目の前の人と出会い直す力」「新しい自己への好奇心」を養うことができる

いかがでしたでしょうか。

第四段階の「超コアリーダー」については、正直全く理解できませんでした。

おそらく、世界史でいうガンディや、日本の経営者でいう稲盛和夫氏ほどのレベルになると、「超コアリーダー」に達するのでしょう。

言語化すると「身の回りの環境や、世界と一体になっている感覚」を味わっているそうです。

このレベルのリーダーの感覚や見ている景色は想像を絶しますね。

うん、意味が分からない。

だからこそ、いつか同じ景色を眺めるように、研鑽を積みたいものです。

学び

少しは「コアリーダー」に近づけただろうか

せっかくなので、僕自身がどの段階にいるのか、振り返ってみたいと思います。

おそらく大学時代の段階から、ずーっと「八方美人」と「エゴリーダー」の葛藤ゾーンを彷徨っているように思えます。

まず、昔から「こうだ!」と思うような価値観や信念は強いほうです。

  • 時間は限られているんだから、弱みは必要最低限のケアをして、あとは強みだけに投資しまくった方がいいはず
  • ビジネスとプライベートのバランスは絶対崩したくない。バランスがとれていた方が、人生トータルで充実するだろうし、ビジネスとプライベート双方に良い影響が生まれるはず
  • 既得権益を持った自己保存人間に搾取されている人をどうにかしたい

…と、こんな想いが沸々と心の中で、静かに燃え滾っています。

 

しかし、この想いに正直でいれるタイミングと、そうでないタイミングをずっと行ったり来たりしています。

ファーストキャリアのコンサル時代は、「八方美人」でした。

これは明確に理由があります。

とにかく・・・早く仕事を終わらせて帰りたかったからです。

たしか入社後2つ目のプロジェクトで、毎日毎日タクシー帰りの日々を送ることになったんですね。

そんなに体力がある方ではないので、もう苦痛で苦痛で。

ですので、変に反論するよりも、「そうですね。そう修正しておきます」で議論を終わらせた方が、議論の時間も短くて済みますし、予定調和的にスムーズに物事を進めることができると思ったんです。

根っこは上述の想いを持っているだけに、その想いを押し殺している自分が気持ち悪くてしょうがない。

でもそれ以上に、深夜まで働いた後の、タクシーの独特の臭いと運転の荒さが怖くてしょうがない。

 

そのプロジェクトは無事やり遂げて、しばらく経過。

徐々にコンサルワークにも慣れてきたころから、少しずつ「コアリーダー」にシフトしていった気がします。

上司に対しても、クライアントに対しても、思い切ってハッキリ自分の考えを伝えてみると、案外聞いてもらえるものだなぁと、ちょっと自信を持てるようになりました。

修羅場経験を通りすぎた後は、少しばかり周りを達観できるようになるようです。

何というか、焦らなくなるんですよね。

「あのときの、やべーときよりはマシでしょ」と割り切れるからです。

 

しかし、まだまだ「コアリーダー」はなり切れていないとも思います。

巻き込み力でしたり、周囲を動機付けする力のようなものが欠けているからです。

究極「個の力」で何とかなるだろと思ってる自分も心の中にいます。

まだまだ、一匹狼の方がカッコいいと思っている中二病なんですよね。

もしかすると、実はまだ「エゴリーダー」なのかもしれませんね・・・

リーダーシップは奥が深くて本当に面白いですね。

 


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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