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レビュー『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』

以前、引っ越しをしたときの話です。

徒歩2分のところにスーパーがある、よさげな物件を見つけました。

ただ、物件の目の前に2車線の道路がありました。

それなりに大きい道路だったので、不動産屋に「目の前の道路の音、大丈夫ですかね?リモートワークのときに音が入ると困るので、騒音があるかどうか聞いておきたいのですが」と質問してみたんですよ。

そしたら、不動産屋の担当からは「その道路は人通りも車通りも少ないので大丈夫だと思いますよ」と言われたんですね。

で、いざ引っ越してみると、確かに夜は静かでそれなりによかったのですが、

昼になると、それなりにトラックや救急車が目の前を通っていって、うるさいわけですよ。


・・・他にも、相手から真実を聞き出せずに損をした経験がいくつかありまして、「ウソを見破る方法」みたいな本をいくつか読んでいたんですが、なんかピンと来ませんでした。

「ウソは見破れるかもしれないけど、そもそも真実を聞き出せないと意味ないよな」と。

どうしてもウソを見破ろうと思って人の話を聞いていると、相手からも警戒されるんですよ。

だから、ウソをつかれるのは防げても、なかなか本音を引き出せない。

さて、どうしたものか・・・と思っていたところ、ある本を発見しました。

元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』です。

Youtubeも更新しました

『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』とは?

本書は、元FBI捜査官でもあり、ウェスタン・イリノイ大学の准教授でもあるジャック・シェーファー氏の本です。

シェーファー氏は、FBIの現場で二重スパイを発見したり、反社会的勢力を捜査したりしながら、諜報活動のテクニックを長年開発してきた第一人者だそうです。

例えば、シェーファー氏にかかれば、何気ない会話から、個人の社会保険番号や銀行口座の暗証番号を聞き出すのも容易いとのこと。

しかも、情報を聞き出された本人は、自分が不味い情報をリークしている自覚もないくらい、ごく自然に聞き出すことができるそうです。

「ウソをつかれる前に真実を聞き出す技術」・・・何とも恐ろしい技術です。

でも、そんな技術を一般人である我々でも会得できるとしたら、どうでしょうか。

せっかく会得できるんだったら、欲しいですよね、この技術。

この技術を身に着ければ、職場の内部事情を知れて情報通になれて(それはどうでもいいか)、

子どものウソも見破れて、変な不動産屋に騙されることもなくなります。

あるいは、引っ越しの値引きをもっと効果的に進められるかもしれません。

引き出し法=ウソをつかれる前に真実を聞き出すテクニック

では、そんな本書ではどんなテクニックが語られているのか。

特に個人的に印象に残った点を、私なりの解釈も加えながら紹介すると、以下の図のように整理できます。

まずはゴール設定として、会話を通して引き出したい情報をクリアにしましょう。

次に、相手が本音を話したくなるように、信頼関係を築きましょう。

・・・ここまでは、当たり前っちゃ当たり前の話ですよね。

担当直入に聞かずに、まずは雑談から入りましょう。これも、そりゃそうだよね、という感じです。

推測をぶつけると、相手はうっかり本音を話してくれる

で、本題はここからなんです。

真実をしれっと聞き出すために、一番重要だと感じたのは「推測をぶつけること」です。

いい質問をしましょうとかではなく、推測をぶつける。

例えば、こんな例が述べられていました。

資材を発注している取引先が法的トラブルに巻き込まれているのではないかと、あなたが疑っているとしよう。そうなれば、資材が予定どおりに届かないおそれもある。だが「法的トラブルに巻き込まれていますか?」と、単刀直入に尋ねたところで、おそらくごまかされて終わってしまう。そこで「例の法的トラブルの影響で、納期が遅れそうでしょうか?」と、推測をまじえた質問をすれば、ウソをつかれにくくなる。法的トラブルが生じていることはすでに知っているという前提のもとで、話を進められるからだ。このように推測をまじえた質問を活用すれば、真実に近づける確率が高くなる。

『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』p127

こんな感じで、相手に推測をぶつけると、ぽろっと真実を話してくれやすいと。


なぜ、推測をぶつけると、相手は真実を話してくれるのか?

それは、「間違えがあれば正したい」という本能が働くから、だそうです。

もし推測が間違っていれば、聞かれた相手は情報を正したくなる、ということですね。

例えば、先ほどの引用文の例では「例の法的トラブルの影響で、納期が遅れそうか?」と質問されています。

この推測が間違っている場合は「いいえ、法的トラブルの影響ではなく、資材を加工する機材の調子が悪いのが原因です」と、真実を漏らしてくれる。


だから、間違っていてもいいから、推測をとりあえずぶつけてみる。

冒頭の物件の例でいえば、「この不動産、目の前に道路があって、近くに病院もあるから、車の騒音がうるさいんですよね?」と、推測を述べる。

「騒音とか大丈夫ですか?」と質問するよりも、相手が真実を話してくれる確率がグッと高まる感じがします。

アンケートやインタビューを作るときに「仮説を立てろ」と言われた理由がようやくわかった

以上のように、『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』からは、

相手から真実を聞き出すためには「推測をぶつけること」が重要だと学びました。


この本を読んだあとに、ふと、コンサルティングファームでお世話になった「仮説おじさん」のことを思い出しました。

仮説おじさんは「仮説は何?」「現時点で答えだと思うことを言ってみなさい」と、とにかく仮説を聞いてくる人でした。

特に、クライアントの現場社員にインタビューをしに行くときや、アンケートの設問を作るときは「仮説、仮説」と、徹底指導いただきました。

そのときに教えていただいたことがあります。

***

仮説おじさん「いいか、相手に質問するときは、必ず仮説を立てなさい」

わたし「なんでですか?"この現場の問題点はなんですか?"って、オープンクエスチョンを投げかけたほうが、手っ取り早いし、楽じゃないですか?」

仮説おじさん「いきなりそんなオープンクエスチョン投げかけても、相手が期待通りの回答してくれるわけないだろ。仮説を立てることから逃げんな、思考停止すな」

わたし「すみません・・・」

仮説おじさん「なぜ仮説を立てるのか。もちろん、聞くポイントを絞って効率よく調査を進める、という理由もある。でも一番の理由はそこじゃない。質問するときに仮説をぶつける理由、それは、相手が本音を具体的に話してくれる確率が上がるからだ」

わたし「え、なんで、仮説をぶつけると、相手は本音を話してくれるんですか」

仮説おじさん「それは、間違いを正そうとして具体的に話してくれやすいからだよ。"ここの現場はA部長の指示がざっくりしすぎているから、いつも手戻りが多くなってみんな残業しているんですよね?"くらい具体的に質問したほうが、相手も"いやいや、正確にいうと、A部長の指示を一切かみ砕かずに部下に横流ししているB課長の仕業なんだよ。てか、B課長、たぶんA部長の指示を正しく理解してないんじゃないかな・・・"と、さらに具体的な訂正を加えてくれることが多い。だから、質問するときは、仮説を立ててクローズドクエスチョンをぶつけるといい」

***

この仮説おじさんの教えは、まさに『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』でいうところの「推測をぶつける」と同じだなと、ハッとさせられました。

そういえば、『デスノート』のニアも似たことを言っていましたね。

捜査というのは 決めつけてかかり

間違っていたら「ごめんなさい」でいいんです

『デスノート』9巻

決めつけてかかる。

これが真実を暴くうえで求められる姿勢なのかもしれませんね。

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