BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。地元九州への隠居を細々と構想中。書評?感想?読書日記をロジカルに書いていきます。

それ、本当に「構造化」といえますか?

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(出典:https://unsplash.com/photos/0g-iLtxmMhA

はじめに

  • 「この文章、もっと構造化して書いてくれないかな」…と言われても、何をどうすればよいのか?
  • 「分解や分類」と「構造化」は何が違うのか?

このように、わかるようでわからないキーワード筆頭の一角を担っている「構造化」。

Webで検索しても、Webページの数だけ定義が存在します。

「構造化の定義はいったいどれが正しいのですか?」と聞かれると、私も答えに窮してしまいます。

しかし、「価値のある構造化とは何ですか?」と聞かれたら、それなりに思うところがあります。

今回は、前職のコンサル時代でもがきながら、そして現在ビジネススクールでMBAを学びながら見えてきた「価値のある構造化の正体」に迫ってみます。

 

構造化=物事を分ける×因果をつなぐ

価値のある構造化とは何なのか?

まずは結論から申し上げます。

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  1. 物事を意味のある切り口で分けたうえで
  2. 因果関係を丁寧につないであげること

…言葉にすると、「当たり前だろ」という声が飛んできそうです。

しかし、周囲を見渡すと、1のことを構造化と呼んでいる人を何人か見かけます。

私自身も、「1ができる=構造化できる」と勘違いをしていました。

その勘違いのせいで、コンサル時代は何遍も資料のダメ出しを食らったものです。

どういうことか?簡単に説明します。

なぜ「たし算」ではなく「かけ算」なのか?

読者の中には、「どうして、たし算ではなく、かけ算で表現しているの?」と疑問を抱かれた方もいらっしゃるかもしれません。

構造化=物事を分ける×因果をつなぐ

  1. 物事を意味のある切り口で分けたうえで
  2. 因果関係を丁寧につないであげること

確かに、1の部分をきちんとできていれば十分じゃないか?と思いますよね。

私もコンサル時代に、情報をロジックツリーで綺麗に整理した資料をドヤ顔で上司に見せたことがあります。

しかし、その3秒後に一蹴されました。

「これ、情報を整理しただけだよね。思考した跡が全く見えない。調べ学習じゃないんだからさ、もっと考えようよ」

 

これを聞いて、さすがに5秒くらいフリーズしてしまいました。

その後は、以下のループをひたすら繰り返しました。

  • 先人たちの資料を見て盗む
  • 書き直す
  • ボコされる
  • 再び先人たちの資料を見て盗む

このループを回していく中で、次のことに気が付きました。

  • 「物事を分ける=情報を枠組み・フレームワークに沿って整理する」だけなら、ただの調べ学習。枠組みさえ決まっていれば、ほとんど思考はいらない。だから、そんなにアウトプットにも差がつかない。(もちろん、情報の整理さえできていないと、読んですらもらえない。論外!)
  • 「周りのアウトプットとの差分=付加価値」と定義すると、「物事を分ける」だけでは付加価値はほぼゼロ。
  • むしろアウトプットに差が出るのは「物事同士の因果関係をつなぐこと」。因果をつなぐのは頭も使うし勇気もいる。でも、ここで頭を使ったぶんが付加価値になる。

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以上の経緯もあり、「価値のある構造化=物事分ける×因果をつなぐ」と捉えるようになりました。この中身について詳しく説明してみます。

物事を分ける

まずは「物事を分ける=情報を枠組み・フレームワークに沿って整理する」ところから、焦らずじっくり進めることが大事です。

例えば、自分が所属する組織で「なかなか部下から提案があがってこないんだよね。なんでだと思う?ちょっと考えてみて」と上司から言われたシーンを想定してみます。

色々と周囲に聞いて回って、次のメモができあがったとします。

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…うん、情報がごちゃごちゃしてて、ちんぷんかんぷんですね。

これを今から整えていきます。

枠組み・フレームをつくる

まずは、情報を分類するための枠組み・フレームを作ります。

モノを収納するためには、収納するためのハコ=枠組みが必要です。

ただ、イチから枠組みを考えるのは相当気力が必要です。

すでに世に出ている枠組みがたくさんあるので、惜しみなく活用しましょう。

そうです。「フレームワーク」です。

3Cやら4Pやらソフト・ハードやら、色々な切り口があるのは皆さんもご存知かと思います。

詳しく知りたいという方は、Amazonで「フレームワーク」と検索して、一番上に出てくる本でも眺めてみてください。どの本も代替同じようなフレームが紹介されています。

ちなみに私は、Amazonで「フレームワーク」で検索すると、この本が一番上に出ました。わかりやすくてオススメです。

 

例えば、今回の「なぜ提案があがってこないのか」のメモを整理するのであれば、こんな切り口で簡単に整理できそうです。

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粒度を整える

もう1つ、情報を分けて整理するために必要なのは「物事の粒度を揃えること」です。

例えば、次のように言葉が並んでいると、違和感がありますよね?

  • 日本
  • 中国
  • ロシア
  • ワシントン

これは、「言葉の粒度=大きさ」が揃っていないからです。

 

もう少し実務でよく見かけそうな例をあげると、こんな感じです。

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3つ横並びだと、何だか気持ち悪いですよね。

「パワーポイントの操作スキル」は「提案をあげるスキル」の一部のはずです。

 

これらのことを意識しながら、先ほどの「なぜ提案があがってこないのか」のごちゃっとしたメモを整理すると、次のようになります。

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まだMECE感が不足していますが、最初よりは「構造化された感」が出てきましたね。

 

ただ、この記事で言いたいのは「これは構造化ではありません」ということです。

まだこれだと付加価値ゼロの状態です。

ここからが勝負です。

因果をつないでメカニズムを特定する

前さばきが終わって、これからやっと本格的な調理がスタートします。

先ほど整理したメモを「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しながら、因果関係をつないでいきます。

付箋なんかを使いながら、ペタペタ動かしてみると、思考がスムーズに進みます。

例えば、今回の「なぜ提案があがってこないのか」をメモをさらにアップデートすると、こんな感じになります。

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だいぶ簡易的ですが「なぜ提案があがってこないのか」のメカニズムを少しずつ表現できるようになってきました。

これが「因果をつなぐ」のイメージです。

しかし、この「因果をつなぐ」というのは、結構な思考体力を消耗します。

例えば、「能力開発を行わないのは、時間と余裕がないのが原因なのか?」と自ら反証を繰り返しながら進めていく必要があります。

とにかく正解がなければ、終わりもない世界です。

関係者が納得するまで何度も書き直しながら、少しずつ物事のメカニズムを正確に把握していく。

この思考の積み重ねこそが「構造化」だと思います。

 

…と、いつもながら偉そうに書いてしまいましたが、まだまだ私も未熟者です。

いつか「構造化のお手本はコレです(キリッ)」とコンスタントに示せるような構造化野郎になれるよう、修行を重ねていこうと思います。

 

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