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【要約・書評】『コンフリクト・マネジメントの教科書』ピーター・T・コールマン

この本で解ける疑問は?

  • コンフリクトが発生する本質的な理由は?
  • コンフリクトが発生したときの対処法は何か?

『コンフリクト・マネジメントの教科書』って?

誰もが日々向き合っている「コンフリクト」。

コンフリクトが発生した日は何だか夕食が美味しくないし、次の日も億劫になってしまう。

だから、つい、コンフリクトが生じるのを避けるために、本音を話すのを我慢してしまう。…それはそれでストレス。

…と、こんな風に、日々我々を悩ませるコンフリクトについて徹底解説した本がついに発売されました。

その名も『コンフリクト・マネジメントの教科書』。

コンフリクトの対処法に教科書なんてあるの?と思ってしまいますが、これが実に体系的に理論立てて書かれているんですよ。

今日は是非、この教科書の魅力をお伝えできればと思います。

 

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • コンフリクト・マネジメントには5つのステップがある。それが①コンフリクトの状況での自分の状態をよく知る、②コンフリクトの状況を読み解くための能力を強化する、③戦略と戦術を実践する、④自分の選択結果を内省する能力を強化する、⑤ボトムラインを常に考えておく、この5つである。
  • ①コンフリクトの状況での自分の状態をよく知る
    具体的には次の3つの状況に陥ったとき、コンフリクトが発生しやすくなる。
    ★相手に対する肯定感情よりも否定感情の割合の方が大きいとき
    ★周囲よりもパワーを持っているとき(自分だけは大丈夫と思ってしまう、弱者が見えなくなってしまう、規則を無視してしまう)
    ★周囲よりもパワーが弱いとき(不必要に目標を低くしたり、自分の地位に酷使したりする)
  • ②コンフリクトの状況を読み解くための能力を強化する
    具体的には、以下3つの観点でコンフリクトの状況を読み解くことができる。
    ★人間関係:相手は私にとってどれだけ重要か
    ★共有する目的:相手は私に賛成か、反対か、それとも両方か
    ★権力差:自分が持つパワーは相手よりも強いか、弱いか
  • ③戦略と戦術を実践する
    相手との関係に応じて7つの戦略「現実的仁愛」「賢明なサポート」「建設的支配」「戦略的譲歩」「選択的自立」「効果的な状況対応」「道義的反乱」を使い分けることが大事である。
  • ④自分の選択結果を内省する能力を強化する
    コンフリクトの際、時間をかけて交渉場面がどのように展開するかを考えておく。具体的には次の2つの問いを自問自答してみる。
    ★自分が選択した行動の短期的な影響と結果は何か?
    ★長期的な影響は何であろうか?
  • ⑤ボトムラインを常に考えておく
    ★より協調的で融和的な戦略から、より競合的、あるいは論争的な戦略へと移行しなければならないタイミングを考える
    ★状況に「適合」する方法でいつ対処すべきか、また、「いつ対処すべきでないか」を考える
    ★論争している相手が自分の守りたい一線を越えたら、どうなるかを想像する
    ★抵抗し、反乱を起こすタイミングを考える

以上が本書のアウトラインと概要です。

この本の肝は、コンフリクトを解消できる7つの戦略「現実的仁愛」「賢明なサポート」「建設的支配」「戦略的譲歩」「選択的自立」「効果的な状況対応」「道義的反乱」です。

この7つの戦略について、相当数のページ数を割いて、計50個の戦術が具体的に描かれています。

コンフリクトというものは、7つの戦略50の戦術を駆使しないと解決できない、厄介な課題だということですね。

その厄介な課題の処方箋が、この『コンフリクト・マネジメントの教科書』なわけです。

是非、一家に一冊は置いておきたいですね。

学び

家族の均衡は「1:5」

この本を読んで個人的に一番印象的だったのが、この「1:5」という数値。

否定感情と肯定感情の割合が1:5…これが、家族の平穏を維持するための均衡点らしいです。

コンフリクトというものは、肯定感情と否定感情のバランスが乱れたときに発生します。

なので、ちょっとでも否定感情の割合が増えようものなら、家族の均衡が崩れてしまいます。

そうならないためには、この「1:5」のバランスを保たねばなりません。

ではどうやって保つか。

この「1:5」という数字は、「1回の悪い出来事を打ち消すためには、5回の良い出来事を積み重ねないといけない」という意味でもあるそうです。

 

例えば、飲み会で帰りが遅くなってしまい、妻が不機嫌になったら…

その不機嫌を打ち消すためには何かしら5回の良い出来事を、妻に提供する必要があります。

1つの目安として、この「1:5」という数値を頭の片隅に刻んでおくと、円満家族が維持できるかもしれませんね。

 

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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