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【要約・書評】自分を育てる「働き方」ノート

「うわ、すげーマッチョな本」

正直に申し上げると、本書の第一印象はこんな感じでした。
というのも、働き方改革が進み、ワークライフバランスが取れた生活を"是"とするこのご時世において、
本書の表紙を見ると「自分の価値を上げるのは"圧倒的な努力"だけ」と書いてあるわけですから。

しかし、本書を読み進めていくうちに、第一印象が大きく変わりました。
「うわ、なんて優しい本なんだ」と。

なぜ優しい本だと思ったか。
それは、はぐらかさずに真正面から「生き抜く術」を教えてくれるからです。

「育ててもらえない時代に、どうやって自分を育てるか?」を教えてくれる、優しい本

まずは、本書『自分を育てる「働き方」ノート』が解こうとしている問いを押さえておきましょう。

最初に着目したのは、「はじめに」の以下の記載。

昔は、会社に入れば手厚い研修制度があり、時間とお金をかけて丁寧に育ててもらえました。会社から提供される学びの場だけでは足りず、もっと早く、もっと貪欲に成長したい人は、割り当てられた仕事だけでなく、難易度の高いプロジェクトに自ら志願し、残業や休日出勤を含め、存分に努力することが許容される時代でもありました。

しかし、今は国をあげての「働き方改革」の真っ只中。ワークライフバランスの普及やブラック企業の問題で、労働時間や休日をきちんと守らなければいけない時代です。成長意欲の高い人が「もっと努力をする機会が欲しい」「もっと短期間で圧倒的な経験を積みたい」と願っても会社はそれを許容してあげられない「逆ブラック」な状態と言えるかもしれません。

『自分を育てる「働き方」ノート』より

気づいている人は、気づいていたはず。
誰もが見て見ぬふりをしていたであろう、この真実に対して、堂々と問題提起をしている。
「うわ、マッチョな主張きた」「昭和の価値観を押し付けるんじゃない」
…このような批判を覚悟したうえで、それでも「結局、質の高さは量からしか生まれない」「圧倒的な努力なくして、己の価値を上げることはできない」というド正論を真正面から突き付けてくれる。

冒頭の「うわ、なんて優しい本なんだ」と思った理由は、筆者のこの姿勢に感動したためです。

同時に、私自身、強く反省をさせられました。
というのも、上記の真実から逃げていたからです。

私自身は、2016年にコンサルティングファームで新卒時代をスタートしました。
有難い?ことに、当時はまだ「ビシバシとしごいて、鍛える文化」がギリギリ生き残っていました。
新卒研修では、3日1回座る席がシャッフルされるのですが、「優秀な人が前、そうでない人が後ろの席に座らされる」という、あからさまな競争促進スタイルのもと育てられました。

配属されたプロジェクトでも、働きたいだけ働かせてもらえて。
「この資料は50点だね」なんてフィードバックももらいたい放題。
まさに、「育ててもらおうと思えば、いくらでも育ててもらえる時代」でした。

しかし、2016年といえば、国全体が長時間労働の解決に向かい始めたタイミングでもあります。
この時期が転換点となり、「無理して働かせてはならない」という共通認識が生まれ、いろいろな「無理させないための制度」が導入されました。
これを、筆者の言葉を借りると「逆ブラック状態」と呼ぶのでしょう。

私はこの状況を目にしたとき、正直「危ない危ない。無理して働ける時代に働けて、ビジネス戦闘力を鍛えることができてラッキーだった」くらいにしか思っていませんでした。
しかし、本書の「はじめに」に書かれている問題意識を読み、恥ずかしい気持ちになりました。
「自分さえよければOK」と思ってしまっていたなと・・・

おっと、話が脇道にそれすぎました。
「本書が一番解きたがっている問いは何なのか?」の話をしていましたね。

本書の「はじめに」を読むに、筆者が一番解きたがっている問い、それは
誰も育ててくれない時代に、自分をどう育てればよいのか?
だと私は解釈しました。

(というか、もはや私自身が、本書で一番解決したい問い、なのかもしれませんが)

仕事力=引き出しの量×瞬発力

「誰も育ててくれない時代に、自分をどう育てればよいのか?」

本書『自分を育てる「働き方」ノート』は、この問いに対して、いろいろな角度から答えを授けてくれます。

  • 「最高の仕事」の4つの構成要素は何か?
  • 努力の方向性の決め方はどうすればいいのか?
  • 仕事への向き合い方、評価との向き合い方をどうするか?
  • 本とはどう向き合えばよいか?
  • SNSやブログなどの発信ツールをどう活用すればよいか?

こんな感じで、たくさんの観点からヒントを得ることができます。
中でも一番印象に残ったのは、132ページに書いてあった次の方程式。

仕事力=引き出しの量×瞬発力

仕事力を上げるための、シンプルなメカニズムがこの式に凝縮されています。
この式を、私なりに補足をすると、次のように整理できます。

  • 仕事力を上げるためには、引き出しを増やすか、瞬発力を上げるとよい。
  • 引き出しを増やすためには、本をたくさん読むとよい。
  • 瞬発力を上げるためには、「次の会議には何を準備すればよいか」「誰と調整すればよいか」「想定される質問は何か」などを自分ゴト化して想定しまくるとよい。自分ゴト化するためには、累積矢面時間(自分が矢面にたって、物事を進める時間)を増やすしかない。
  • 自分ゴト化して想定しまくって実務に臨むと、そのぶん成功/失敗体験が濃くなり、経験から学べる量が格段に増える。つまり、吸収効率が上がる。
  • 本を読むと、定石や方法論やフレームワークをたくさん知れるので、「あ、本に書いてあったあれは、こういうことか!」と、実務で試したときに吸収できる量が増える。
  • 以上の流れをふんで、仕事力を上げ、成果も出すと、新しい仕事に誘ってもらいやすくなる。その誘いに対して、「はい、やります。私が中心になって進めます」と手を挙げることで、また累積矢面時間が増える。(以下、↑の流れの繰り返し)

このようなサイクルを回すことで、雪だるま式にどんどん仕事力が上がっていく。
まずは本業で矢面に立つ機会を探りつつ、それでも足りなければ副業で探す。
矢面に立つ機会を探しながら、平行して本も大量に読む。
・・・このように、労働時間が限られていても、やれることはたくさんある。
そんなことを、本書は改めて教えてくれます。

以上、本書の中でも、p132の「仕事力=引き出しの量×瞬発力」の話をピックアップしましたが、
これくらいの濃度の話がたくさん詰まっているノート。それが本書『自分を育てる「働き方」ノート』です。

「誰も育ててくれない。このままじゃヤバい」と思っている方を救ってくれる一冊です。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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