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【要約・書評】天才読書

もはや知らない人はいない、世界的名経営者。
イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ。
この3人には、ある共通項があるそうで。

それは、3人とも猛烈な「読書家」だということ。

では、そんな彼らはどんな本を読んでいたのか?
天才たちが選んだ100冊をピックアップしている本、『天才読書』を今回はご紹介します。

『天才読書』とは?

本書は、日経ビジネスの山崎良兵氏によって書かれた本です。
著者の山崎氏は、イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツの3人を直接取材した稀有な人物でもあります。

本書では「マスク、ベゾス、ゲイツが読んだ100冊の本」が紹介されています。
また、3人を直接取材した経験を材料に「これらの本が、彼らの生き方や経営にどのような影響を与えたのか」が紐解かれているのも、本書の魅力の一つといえるでしょう。

そして何より、本書を読んで一番痛感したのが、筆者の想いです。
この3人の取材メモや資料をたどり、彼らが読んだ本の中から100冊を選び、その100冊をすべて深く読み込んでいないと、今回の本は書けなかったはず。
「はじめに」にも書かれていますが、本書は構想から完成までなんと3年かかっているとのこと。

本書を読み解いていくと、そんな筆者の思考や苦労の跡が見て取れます。
これも、この本の楽しみの一つです。

ベゾスはどの本からどんな影響を受けたのか?

イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ・・・この3人のなかで、私が特に好きなのがベゾス。
徹底的な仕組み化と定量化で、ゴリゴリと経営を良くしていく。
このスタイルは、私がロールモデルとするところでもあります。

では、ベゾスはどの本からどんな影響を受けたのか?

この問いを考えるためにも、まずベゾスがどんな取り組みを行ったのか?をたどる必要があります。
その際にうってつけの本が『アマゾンの最強の働き方』です。

この本には「ベゾスを中心とした創業者たちがどう試行錯誤してどんな施策を行ったのか」が事細かに記されています。
そこに書かれている施策の裏側には、どんな本があったのか?
・・・こんな問いを思い浮かべながら、改めて『天才読書』を読み進めていくと、興味深い発見がいくつもありました。
以下は「ベゾスはどの本からどんな影響を受けたのか?」の問いに、私なりに一部答えてみたものです。

例えば、『ビジョナリー・カンパニー』1冊とっても、ベゾスにどんな影響を与えたのかがよくわかります。

本書には、持続的に栄える企業の原理原則が記されています。
そのなかでも、次の4つは、ベゾスにも多大な影響を与えているなと感じました。

  • 利益追求を最大の目的にしない
  • カルトのような企業文化
  • 大量に試し、うまくいったものを残す
  • 「誰をバスに乗せるか」が重要

利益追求を最大の目的にしない。これも、持続的に成長し続ける企業の原理原則の1つです。
この原理原則にそって、ベゾスも「顧客至上主義」を最も重要な目的として据えています。

また、カルトのような企業文化についても、Amazonは「外から見ていると異様」な文化を持っています。
例えばベゾスは「私たちは新しいアイデアを実行に移す時、長期間にわたり外部に誤解される可能性があることも受け入れます」と言っています。
「当面は赤字になったとしても、長期的な成功を優先する」・・・このような、尖った文化を持っているのも、偉大なる企業の1つの特徴です。

あるいは、「大量に試し、うまくいったものを残す」、これも重要な原理原則です。
この点についても、Amazonは多産多死で次々と失敗をしながら、生き残った事業を成長させています。
例えば、Amazonによるスマートフォンということで「ファイアフォン」に挑戦したものの、失敗してすぐに撤退するなど。
こういった失敗をしながら、AIスピーカーなどの成功例を着実に作ってきています。

そして、『ビジョナリー・カンパニー』有名な「誰をバスに乗せるか」の話。
この点についても、ベゾスは徹底しています。
具体的には、人材を採用するときの「バーレイザー方式」から見て取れます。
バーレイザー方式は「自分より1つでも重要な点で秀でている社員を採用する仕組み」のこと。
自分より1つ以上秀でているものがないと、一切採用してはならない。
人手不足のときはこの誘惑に負けそうになるものですが、ベゾスは徹底して「誰をバスに乗せるか」をこだわり通したそうです。

このように「ベゾスがどんな本からどんな影響を受けたのか?」について、1冊取り上げるだけでも、色々と考えさせられます。

良いアウトプットのためには、良いインプットが必須

天才読書』を読み進めていくと、当たり前の原理原則に気づかされました。
それは、当たり前ですが、「良いアウトプットは、良いインプットからしか生まれない」ということです。

マスク、ベゾス、ゲイツ・・・この3人ですら、次々と突飛なアイデアを生み出すために、相当な読書量をこなしていたのです。
裏を返すと、どんな天才であれ「何も読まずに、アウトプットするなんて不可能」なのかもしれません。
「勉強してないけど、テストの点数よかったぜ」と自慢するのにも限界があって、何かを成し遂げるためには、相当なインプット量が必要だと痛感しました。

であれば、彼らより確実に能力で劣っている私は、彼ら以上に本を読み(冊数をこなせばいいわけではないが)、本から学ぶ必要がありそうです、

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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