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【月間TOP3】2023年3月に読んだ本ランキング

今月は15冊読んでみました。
いずれも良書ばかりだったのですが、その中でも私の心に刺さりまくった本を3冊ピックアップしてみました。

そもそもの「オススメ本」の基準とは?

とはいえ、いきなり「オススメはこの3冊です」とか言われても、あまり説得力もないでしょう。

そこで、まずは「オススメ本の選定基準」について認識をそろえておきましょう。
常連さんにとっては「またか」という感じかもしれませんが…大事なことなので、何度も何度も書かせていただきます。

それは「わかりやすさ×深さ」のモノサシです。

わかりやすさを測るためには、以下の2点をチェックしていきます。

  • 本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
  • 中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?

一方の深さを測るためには、以下の3つのツッコミに耐えうるかをチェックします。

  • 他の本に無い「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)
  • 主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?(Why so?)
  • 明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?(How?)

当然この2点では、Amazonをサーフィンしていてもわからないので、
1冊1冊書店でパラパラ読みしながら、選別しております。

その基準で選ばれた15冊のうち、特によかった本を3冊紹介いたします。

1冊目『ファスト教養』

「もっと稼ぐために、教養を学ぶ」
「仕事で置いてけぼりにならないよう、教養を学ぶ」
「忙しくて時間がない中で、Youtubeを使って10分で教養を学ぶ」
・・・こういう思考回路で教養と向き合うのがいかに危険かを教えてくれたのがこちら。

ファスト教養なるネーミングは、筆者が「ファストフード」をもじってつけたもの。
ファストフードのように「栄養バランスを多少損ねるのと引き換えに摂取しやすい形(=ざっくり全体を手っ取り早く把握できれば、表面的な説明でも良しとする)」を是とみなす考え方、ってことです。
分厚くて何回な古典を長時間読むよりも、ざっくり全体像を10分くらいで理解できればOK。そんなスタンスです。
そして、手っ取り早く教養を知る目的は「ビジネスの場面で、相手に話を合わせるため」。
・・・このスタンスを、筆者は「ファスト教養」と呼んでいます。

筆者は決してファスト教養を否定しているわけではありません。
しかし、ファストフードを摂取しすぎるのは良くないように、ファスト教養を学びすぎるのも危険。
留意点は次の2点です。

第一に、「わかった気」になってしまうこと。
知識を「自分なりの原理原則」に落とし込むには、読む→考える→実践→振り返り→読み直す→考える→実践…のサイクルを回しながら、じっくり熟成させていく必要があります。
しかし「じっくり熟成」と「ファスト教養」はあまり相性がよくなく・・・
生煮えの薄っぺらい文字列を「わかった気」になっておしまい・・・なんてことになるリスクに気を付ける必要があります。

第二に、他人を見下す言動につながるおそれがある点。
「自称、教養のあるインフルエンサー」的な人が、非道徳的な発言をして炎上する、なんてシーンをたまに見かけます。
教養のある(風)な人が、教養のない人を見下してしまう・・・中途半端な教養を身につけると、そんな落とし穴にはまる可能性だってあります。
本来の教養は「未知のものへの畏れや例外的な出来事への配慮」「違う立場に対する想像力や思いやり」を養うもののはず。
しかし、中途半端に教養(もどき)を摂取すると、無意識に他人にマウントを取ってしまう副作用に陥りかねません。

この2点に留意しつつ、どのように教養と向き合えばよいか?
適度にファスト教養を摂取しつつ、骨太な教養を身につける。
そのための方法を解き明かすのに挑戦しているのが、本書です。

【要約・書評】ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち

「もっと稼ぐために、教養を学ぶ」 「仕事で置いてけぼりにならないよう、教養を学ぶ」 「忙しくて時間がない中で、Youtubeを使って10分で教養を学ぶ」 一見すると、どれも真っ当な思考回路に思えます。 ...

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2冊目『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』

本書は、個人投資家としてUberやTwitterに初期投資を行うなど、圧倒的な行動力と先見の明を兼ね備えた「ナヴァル・ラヴィカント」の発言をまとめた本です。
日本にやってくる前の原書は、Amazonで7200超のレビューがついて、星4,7という異例の評価をたたき出しています。

私も本書を読みましたが、控え目にいってヤバかったです。
その旨をツイートしたところ、以下のように大反響でしたので、世間も注目の一冊なのは間違いありません。

ナヴァル氏によると、幸福とは次の方程式で構成されるとのこと。

幸福=よい人間関係+健康+富

この方程式を、私なりの理解も踏まえながら分解して体系化すると、次のようにあらわされます。

この体系図を眺めてみると、いろいろな自己啓発書で言及されていたテーマが、概ね含まれていることがわかります。
「もっとリスクを取りましょう」
「自分のブランドを高めましょう」
「健康には気を着けましょう」
「強みを伸ばしましょう」
「睡眠はしっかりとりましょう」
「自分に投資しながら利回りを高めましょう」
・・・これらの内容を、深い深い考察のもと記しているのが、本書です。

個人的には、今年読んだ50冊以上のなかで、一番「ギョッ」とした本でした。
どれくらい「ギョッ」としたかは、以下の記事に全部記しておきました。

【要約・書評】シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント

本書を手に取ったきっかけは、「この本、控え目にいってヤバい」というツイートを見かけたからです。 実際読んでみた感想は・・・マジでヤバい本でした。 いつも以上に語彙力が皆無で申し訳ありませんが、本当に素 ...

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3冊目『ピープルウエア』

今更ですが、プロジェクト管理の名著オブ名著を読んでみました。
それが、『ピープルウエア』です。

本書は、主に以下の6つの視点で、ソフトウェア開発のポイントを語ってくれています。

  1. 一人一人の人格の尊重
  2. 頭を使う人間にふさわしいオフィス
  3. 人材の選び方・育て方
  4. 結束したチームがもたらす効果
  5. 仕事は楽しくあるべきもの
  6. 仕事を生み出す組織づくり

どれも、大量の失敗例と共に解説されているため、納得感しかない一冊です。
中でも「チームがもたらす効果」のところが学びが本当に深かったです。

「これは一生保存ものだな」と思って、私なりの理解も交えながらメモしたものが、こちらの図解。
「チームを殺す7つの方法」と「チームの化学反応を促す6つのポイント」、いずれも、もっと早く知っておけばよかったと思うものばかり。
この考え方を知っていれば、いくつかプロジェクトをより良くできたかもしれない。

・・・あ、詳しい話は、以下の記事をご覧ください。そして、ぜひ本書を手に取ってみてください。

【要約・書評】ピープルウエア

納期もコストも品質も全部守れと言われて、残業代なしの状態で深夜まで働かせる。 その結果、プロジェクトからどんどん人が離脱する。 いったいなぜ、こんなことが起こるのだろうか? ・・・この疑問に1987年 ...

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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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