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【書評】1on1の救世主本『上司と部下は、なぜすれちがうのか』

今回は、ご恵贈いただた本を紹介します。

上司と部下は、なぜすれちがうのか』です。

…こう書くと「ステマじゃないのか?」と思われるかもしれません。

しかし、ステマ説を解消しておくために、いくつか申し上げておきます。

第一に、送っていただいた本すべてを本ブログで紹介しているわけではありません。

恵贈いただいて「うーん、個人的にはイマイチだな」と思った本は、ブログ掲載をお断りさせていただいています。(生意気ですみません)

本書は本当に素晴らしい本でしたので、今回ご紹介させていただいています。(生意気ですみません)


第二に、本書に対する第一印象は決して良いものではありませんでした。

なぜならば、本書が「企業のプロダクトの営業ためのツール」に見えたためです。(実際は、その側面もあるかもしれませんが)

部下との1on1を実施するにあたってのヒントを得たいな…と思って読んでみたら、著者の企業のツール「KAKEAI」についての記載が多いなと。

・・・しかし、読んでいくうちにわかったのは、

  • 筆者が「KAKEAI」に絶対的自信を持っていること
  • 1on1の属人化を「自然に」解消するためのソリューションが「KAKEAI」には揃っていること

といった点でした。


そして、本書から学んだことは、以下の2点です。

  1. KAKEAIの機能から逆算的に見えてくる、1on1において重要なポイント
  2. KAKEAIが生まれるまでの試行錯誤の過程。つまり、スタートアップがサービスを進化させていく過程

この2点を生々しく、超具体的に学べたことが、いまの私にとって何より大きな財産になりました。


以上が、本記事で述べたい総論でした。

ここからは、いつものごとく、各論をダラダラと書いていきますので、興味のある方はもう少しお付き合いを。

『上司と部下は、なぜすれちがうのか』とは?

本書は、株式会社KAKEAIの代表取締役社長、本田英貴氏による本です。

本田氏は、株式会社リクルートで10年以上勤務するなかで、華々しい活躍と苦しい挫折の両方を経験されたそうです。

そして、自身の失敗体験から、「マネジメントの属人化」の解決に人生をかけて取り組もうと決意し、スタートアップ数社の役員を経て、KAKEAI創業に至ったとのこと。
(この失敗体験のエピソードも非常に現場感溢れる内容で、心に深く突き刺さりました)

そんな筆者が、紆余曲折しながら、独自に得たデータも加味しながら導き出した「1on1のポイント」が惜しげもなく書かれているのが本書です。

学び1:KAKEAIの機能から逆算的に見えてくる、1on1において重要なポイント

筆者が生み出したツール「KAKEAI」とは「本音を引き出し、1on1の属人化を防いで、組織に定着させるクラウドツール」です。

ということは、当たり前ですが、1on1の属人化を防ぐ機能がKAKEAIには備わっているはず。

つまり、KAKEAIの機能を紐解いていけば、自ずと「1on1における重要ポイント」が見えてきます。

それが以下です。

1on1の実施前には、部下に「トピック」「トピックについて上司に期待する反応」を選んでもらう

部下は、1on1の実施前に、KAKEAIを開いて2つのことを行います。(とはいえ、数秒で終わるのですが)

第一に、「1on1のトピック」を次から選ぶ。

  • 業務の進捗・進め方
  • 人間関係
  • 心身の状態
  • 今後のキャリア
  • スキルや力の向上
  • プライベート
  • 会社・部署の方針

第二に、「トピックについて上司に期待する反応」を次から選ぶ。

  • 具体的なアドバイス
  • 一緒に考えてほしい
  • 話を聞いてほしい
  • 意見を聞きたい
  • 報告したい

…と、機能の説明になってしまいましたが、ここで押さえておくべきポイントは2つあります。

①「1on1では、こんなことも話していいんだ・お願いしていいんだ」と部下に思ってもらえる

1つ目のポイントは、「こんなことも話していいんだ・お願いしていいんだ」と部下に思ってもらえる点です。

部下によっては「プライベートのこと相談していいのかな」「今後のキャリアなんて興味ないよな」などなど、1on1のトピック選びに対して不安に感じています。


私が部下として1on1に挑む際は「会社の方針について今さら聞いても大丈夫なのかしら」など、細かいことをイチイチ悩んでいました。

それに上司によって「具体的なアドバイスを求めるな。自分で考えろ」ってタイプもいれば、「わからなければすぐに聞いてほしい」ってタイプもいて。

「今回の上司は、どっちのタイプかな?それとも、新種かな?」など、無駄なことに頭を悩ませていました。


上司視点で見れば「何をそんなことで悩んでいるんだ」と思うかもしれません。

しかし、こういった細かいことの積み重ねが、1on1でのすれ違いを大きくしていきます。

「何を話してよいのか」「何をお願いしてよいのか」を事前に選択できるのは、部下にとって心強い安心材料になります。

②上司側も、1on1に備えて事前準備できる

2つ目のポイントは、上司目線です。

私も上司として1on1に臨むシーンが増えてきていますが、「部下が1on1で何を持ち込んでくるんだろうか」といつもドキドキしています。

かといって「事前に必ずアジェンダを書くように」なんて指示すると、それはそれで、1on1が固い場になってしまう気もしており。上司は上司でストレスを感じているわけです。


上記の観点からすると、「1on1のトピック」と「トピックについて上司に期待する反応」をポチポチ部下に選んでもらうのは、程よい塩梅なんですよね。

部下にとってもそんなに負担にならない。

上司にとっても「今後のキャリアについて、話をきいてほしいんだな」「業務の進捗・進め方について、具体的なアドバイスがほしいんだな」と、具体的なイメージをもったうえで、1on1に挑める。


この「程よい塩梅」をデザインできている点で、KAKEAIは素晴らしいツールだなーと素直に感じました。

1on1実施中は、型にハマりすぎず、自由に進めてOK

1on1実施中のポイントは、以下の3点だと理解しました。

  1. 事前に選んだ「トピック」「期待する反応」に沿って、1on1を実施する
  2. 残しておいたほうがよいやりとりは、お互いが参照できるメモに記録しておく
  3. そのほかは、当事者である上司と部下に任せる。やり方をコントロールしないことが大事

特に3つ目が大事かもしれません。

というのも、「1on1の属人化を解消しなきゃ」と思いすぎて、「1on1の進め方マニュアル」なんてものを配りはじめる企業もいるんですよ。

「傾聴の仕方はこうです」とか「部下8割、上司2割で話しなさい」とか、カッチリした感じのやつですね。


しかし、マニュアルが重厚になればなるほど、「意図した平準化」からは遠ざかってしまう…

それは、重厚なマニュアルがあると、「マニュアルを守ること」が目的になってしまい、1on1本来の目的に目が向きにくくなるためです。

私もIT化とかDXを専門にしているので痛いほどわかるんですが…

平準化のコツは「品質の8割を左右する、2割の作業(≒最低限守っていただきたい2割)」を仕組みに落とすことです。

だから、コントロールしすぎてもダメなんです。


少し話が逸れましたね。

事前に話すトピックや期待値が設定できていれば、1on1の進め方は自由でいい。

これが、1on1実施中の重要なポイントだと、本書を読んで理解しました。

1on1実施後は「部下から本音のフィードバック」「上司の改善サイクル」が大事

1on1実施後は、

  • 1on1後のスッキリ度について、部下から上司にフィードバックを行う(きちんと本音で)
  • 上司は、フィードバックを加味して、1on1を改善していく

この2点が大事です。


でも、これが難しい…

1on1終わったあとに、上司から「今日の1on1、スッキリ度を5段階で言ってもらっていいかな。本音でいいので!怒らないから!」とか言われても、本音で話せる人のほうが少ないですよね。
まあ、中には、僕みたいに「もうやめてくれ」と言われるくらい、本音でダメ出しする人もいるんでしょうけど。

ただ、本書のテーマは「1on1の属人化を解消すること」です。

よって「部下の誰もが本音のフィードバックをできる状態」を担保しなくてはなりません。

そこで、1on1の救世主ツール「KAKEAI」では、以下の点がデザインされています。

  • 部下は、1on1後に、その場のスッキリ度を「匿名」で回答できる(上司にも人事にも、誰に対しても匿名性が担保されている)
  • 上司は、月に1回、部下の匿名フィードバック一覧を受け取ることができる。しかもトピック別に得意不得意がわかる状態で


個人的には、この「匿名フィードバック機能」に一番魅力を感じました。

事前にトピックを選んでもらうとかは、別にツールを使わなくてもできますけど、「本音のフィードバックをもらう」のは相当難しいですから。

学び2:サービスを改善するためには、エンドユーザの「本音」を聞かなくてはならない

冒頭にも書いたとおり、本書での2つ目の学びは、スタートアップがサービスをクイックに改善していく過程を生々しく知れたことでした。


元々、KAKEAIは「マネジメントの属人化」を幅広く解消するためのツールとして開発されていたそうです。

そして、ツールの導入を判断するのは、人事部であることが多い。

だから、最初のころのKAKEAIは「部下に関するフィードバックや悩み事・特性を、上司や人事が分析できるツール」であったと。

導入の意思決定者である人事部や、マネジメントの実行者である上司の声を重視したツールともいえます。


しかし、普段の悩み事やフィードバックなどを実際に入力するのは部下です。

部下からすると、上司や人事の目線が気になって仕方がないでしょう。

サービス改善のために、部下社員へのヒアリングを、人事同席のもと行っていたため、部下側の本音を吸い上げることができていなかったそうです。

(そういった失敗談を赤裸々に語っている点も、本書に魅力を感じる1つの理由なのですが)


上記の点を反省したKAKEAIの方々は

  • マネジメントの属人化の主要因ともいえる「1on1の属人化」にフォーカスを絞り
  • エンドユーザである部下や上司の本音を聞き出し
  • 無理なく嘘なく運用できるツールへと進化させた

…こんなサイクルを高速で回している様子が、本書からうかがえました。


スタートアップの事業の進め方に興味がある私としては、こういった点を学べたのも大きな収穫でした。

…と、冒頭は好き放題書かせていただいたのですが、本当に学びが多く、素晴らしい本でした。

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