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「目的意識をもって、本を読みましょう」を、もう少し噛み砕いてみた。

「何の目的意識も持たずに、本を読んじゃダメだよ」

「本を読む前に、目的意識をクリアにしようよ」

この手のアドバイスは、ほぼすべての「読書術」と名のつく本に書かれているはずです。


ただ、「目的意識を持つとは、こういうことだ」と教えてくれる本、教えてくれる人は、そう多くはありません。

「そんなもの、自分で考えろ」ということなのでしょう(笑)


そこで今回は、私なりに「目的意識を持って、本を読む」とはこういうことかしら?

と思ったことを、つらつらと記しておきます。

まずは、前提の整理を

ただ「読書」を扱うのだと、なかなかスコープが大きすぎますので、前提を整理しておきます。

この記事は

  • 本を読んだ内容を、すぐに仕事に活かしたいと思う人
  • 読書を通じて、ビジネスの基礎体力を鍛えたい人

を対象としています。


私みたいに「ビジネス書を読むのは、もはや漫画を読むのと同レベルの趣味です」と言っている方や、

「ビジネス書や実用書みたいなマッチョな本は嫌いです。小説が好きです」みたいな方は、

ここらでそっと、このページを閉じていただければと。

「読書で得たいアウトプットをクリアにする」、これが一番重要

では、本題に入りましょう。

「目的意識を持って、本を読む」 とはどういうことか?

それは「読書で得たいアウトプットをクリアにしてから、本を読む」ことです。


本を読んだ後に、どんな情報が手元に揃っていればよいのか?

これを、読書前、本を選ぶ前に、あらかじめ設計しておく。

ここができているか、できていないかで、読書の成果を左右します。


もし、「読書で得たいアウトプット」を事前に設計しておかないと、どうなるのか?

例えば、超良本で有名な『シン・ニホン』。

(あ、もしまだ読んでいない方がいらっしゃれば、Audibleだと0円で聴けるみたいです)

この本は、ビジネス書グランプリ2021にも輝いていて、おそらく多くの方が手に取った本の1つでしょう。


ただ、この本を読んだことある方に「シン・二ホン、どんな本でした?どこがすごかったですか?」と聞いてみてください。

おそらく、「シン・二ホンから得られた学びは3つあって、1つ目は…」みたいに話し始める人は、ほぼいないはずです。

「うーん、日本が抱えている問題点や、あるべき姿がクリアに書かれていたよ」くらいの回答がほとんどじゃないでしょうか。


本を読む前に、得たいアウトプットを描いておかないと、こんなことになってしまいます。


では、話を元に戻しまして、「どうすれば、読書で得たいアウトプットを設計できるのか?」を考えていきます。

筋トレ同様、全体観を持ちながら、鍛えたいスキルを明確にする

まずは、筋トレ同様に、「自分は、全身のなかの、どの筋肉を鍛えようとしているのか」を言語化します。

筋トレも、いきなり「ベンチプレスで腕を鍛えよう」とはならないですよね。

それど同じで、「ビジネススキル全体のなかで、どの部分を鍛えるのか」を考えます。

例えば、私の場合、「ビジネスの基礎体力の全体像」を次のように整理しています。

例えば、「最近、社内の根回しに失敗して、企画の立ち上げに時間かかっちゃったなー」という問題意識があるときは、

「よし、じゃあ"リーダーシップ・影響力"を鍛えるぞ」と考えていきます。

得たいアウトプットによって、アプローチを変える

鍛える箇所がクリアになったら、次は「どんなアプトプットがほしいか」を考えていきます。

最初に全体像を示しておくと、以下のようになります。

私は、「長期的に育てていきたいアウトプット」なのか「短期的に得たいアプトプット」なのかで、本の選び方が大きく変わると考えています。



まず、長期的に育てていきたいアウトプットとは、以下のようなものですね。

  • 疑うべき常識とそうでない常識を見極める目、新しい問い
  • 自分なりの新しいフレームワーク、考える枠組み

こういうものを獲得するためには、教養本やリベラルアーツ本を時間をかけて何冊も読む必要があります。

それに、本を読む前に「こういうアウトプットが得たいんだ」とクリアに設計するのも難しいですし、

「この本を読めば、得たいアウトプットが得られる」というものでもありません。

なので、焦らず、「本との出会い」を大切にしましょう。

手あたり次第、とりあえず読んでみる。

そんな「探索型」のアプローチで問題ありません。



では、短期的に得たいアウトプットがある場合はどうでしょう。

ここでいう「短期的に得たいアウトプット」とは、

シンプルに「できなかったことが、できるようになること」を指しています。

こういうときは、ハウツー本を読む必要があります。

で、「今週できなかったことを、来週にはできるようになる必要がある」といった感じで、時間が命である場合が多い。

ですので、得たいアウトプットを描いてから、本を選ぶ。

そのような「検証型」のアプローチで攻めてみましょう。


ここで、 「短期的に得たいアウトプット」 を事前に設計するコツを2つご紹介します。

「知っていること」「やったことがあること」を読んだ方が、効率がよい

まず、1つ目のコツについて。

これについては、「うん、納得」と自信をもって言える記事があったので、紹介させてください。

「読書すると、仕事ができるようになる」は本当なのか?

Y氏は少し間を置いてからT氏に言った。
「教育学の先生から聞いたんですけど、「本を読むから知識がついてできるようになる」のではなくて、実は「ある程度できるようなったから、本を読むようになる」らしいですよ。」
「……どういうこと?」
「要するに「本」って、新しい知識を入れるためではなくて、自分が断片的に知っていることを整理するために読む、という効果が大きいという話を聞きました。まっさらな状態で読ませても、単なる暗記になって、全く読書が面白くないと。」

全く知らないことを知るために本を読むと、暗記ばかりになってしまって、「知っている」で終わってしまう。

知っているから「わかる、使える」に進化させるのであれば、「とりあえずやってみた後に本を読む」ほうが、効果的である。

こういうことですね。


確かに、プロジェクトマネジメントの本なんかも、大学生のころに読んだときは、イマイチよく頭に残りませんでした。

ところが、新卒でコンサル会社に入社して半年してから、同じ本を読んでみると、得られる成果が全然違いました。

実際にプロジェクトの現場で苦戦している最中なので、

「何とか来週までに、あの課題を解決したい。そのヒントが何が何でもほしい」

と、自然と「本から何を得たいか」がクリアにしながら、必死に本を読み漁るわけですね。


その後、プロジェクトがひと段落したあとに、「自分なりに、プロジェクトの進め方を整理しておこう」と目的を設定して、もう1度同じ本を読んでみると、またまた違った学びが得られました。

なんというか「断片的な知識や経験が、綺麗に頭のなかで整理整頓されて体系化されていく感」があったんですよね。


以上も踏まえると、

本を読む前にアウトプットを設計するときは、「経験があること」「知っていること」を材料にする。

これが1つ目のコツといえます。

「困っていることは何か?」「何がクリアになれば解決するか?」を事前に書き出しておく

2つ目のコツについて。

本を選ぶまえに、もう一工夫しておくと、読書で得られる成果を大きくできます。

例えば、「ある企画を進めるときに、経営層や部門長の承認は得られたものの、A課長への根回しを怠ったため、企画が滞ってしまった」という困り事があったとします。

そしたら、次は、「何がクリアになれば、上記の困り事が解決するか?」を明らかにします。

  • そもそも、根回しはなぜ必要なのか?
    • 個人的には、面倒だから必要ないと思っている
    • しかし、実際のところ、どうなんだろうか
  • 根回しを効率よく進めるうえで、押さえておくべき論点は何か?
  • 上記の困り事のケースだと、どう根回ししておけば上手くいったのか?
  • 自社ならではの、「合意を得るための根回し最短ルート」は何だろうか?

以上の論点がクリアになれば、困り事は解決できそうですよね。

・・・と、ここまで論点をクリアにしておけば、適切な本を選びやすくなりますし、

本を読みながら学び取るスピードも格段に上がります。

まとめ

まとめましょう。

「目的意識をもって、本を読みましょう」

これをもう少しかみ砕くと「読書で得たいアウトプットを、事前に設計したうえで、本を読むこと」と表現できます。

さらにかみ砕くと

  • まずは、筋トレ同様、全体観を持ちながら、鍛えたいスキルを明確にする
  • 次に、手に入れたいスキルが「長期的に育てたいもの」なのか「短期的にすぐに会得したいもの」なのかを判断する
  • もし「短期的にすぐに会得したいもの」がある場合は
    • 「知っていること」「やったことがあること」を読んだ方がいい、という前提のもと
    • 「困っていることは何か?」「何がクリアになれば解決するか?」を事前に書き出しておく

こんなところでしょうか。


では、今日のところは、この辺で失礼します。

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