BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。地元九州への隠居を細々と構想中。書評?感想?読書日記をロジカルに書いていきます。夢は大きく、「ビジネス書コンシェルジュ」になれるよう、頑張ります。

その補助金、ちょっと待った!『稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則』木下 斉

f:id:logichan:20190413225048j:plain

この本で解ける疑問は?

  • ど田舎でも、小さな会社で稼いでいける秘訣は?
  • 資金繰り、行政に頼るべき?頼ると何が不味いの?
  • 「まちづくり」「まちおこし」に不可欠な心構えとは?

 

『稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則』って?

  • (建前)佐賀出身なのだから、自分も地方創生に貢献したい
  • (本音)都会の喧騒から早く脱出したい

こんな思いから、無心でAmazonの検索窓を叩いていたところ、この本がヒットしました。

どれどれ、と手に取ってみると、
「補助金には頼るな」
「民間の力で地域を変えろ」
…といったキーワードが目に飛び込んできました。

行政に頼らないスタンス、憧れますね。
以前、『もう国家はいらない』の書評でも述べた通り、私は規制破壊論者が好きだからです。
政府に依存することなく、既得権益と闘いながら、自力で成果を出し切る姿。
カッコいいですよね。

-Why-なぜ書かれたのか?

本書の「はじめに」には、次のように述べられています。

「この事業をやったら必ず成功しますよ」なんていうお手軽メニューはありません。

しかし、地域での事業開発に取り組む時にやってはいけないことは、明確にあります。書かれている内容はシンプルですが、当たり前だとバカにせず、常に注意をはらいながら取り組まないと、すぐに自滅することになります。

地域の衰退問題の構図は、日本社会の縮図です。地域活性化などに関わるつもりがない方にも、ぜひご自身の組織などに当てはめながらお読みいただければと思います。

時代の局面は変わりました。量的に拡大し続ける人口と経済と財政から、縮小に転じた社会においては、国からの仕送りを地方にバラまいているだけでは、国が潰れます。

しかし、これまでなかった「まちを経営する」という視点を持てば、地方はまだまだビジネスチャンスにあふれています。地方の様々なまちが独自に、いかに新たな仕組みをつくり、自分たちのまちを支えていくのか。世界でも類を見ない、エキサイティングな時代が日本に到来しています。

そのキーワードが「稼ぐ」です。(6ページ)

つまり、「地域の衰退問題は、稼ぐ力で解決できる。この可能性を伝えること」が本書の目的です。

-What-なにをすべきか?

では、上述の問い「地方の様々なまちが独自に、いかに新たな仕組みをつくり、自分たちのまちを支えていくのか」の答えは、何なのでしょうか?

まちを一つの会社に見立てて経営する

それは、「まちを一つの会社に見立てて経営すること」です。

…どういうことでしょう?

ここで、本書の「ペライチ」を図1に示します。

f:id:logichan:20190413232730p:plain

図1

まちを1つの会社に見立てて経営するには、本書のタイトル通り、「10の原則」があるそうです。

…あれ?気になるキーワードがありますね。

補助金を当てにするな

なぜ補助金を当てにしてはならないのでしょうか?

それは「補助金依存の悪循環」が起こるからです。

この「補助金」は、「こういうことをやれば、お金をあげますよ」と、用途が定められています。

「行政が言ったことをやれば、補助金がもらえる」
「補助金がもらえないと、事業が存続できない」
「補助金をもらうために、行政の期待値を満たさねば」

…いつの間にか、目線が顧客ではなく、「行政」を向いていますね。
補助金をもらうことが、目的化しています。

こうした悪循環に陥ると、補助金から抜け出すことができなくなります。

筆者の木下斉氏はこの現象を「麻薬」に例えています。
言い得て妙也、ですね。

 

以上のような「守らねばならない」「やってはならない」鉄則を、本書は教えてくれます。

-How-どのようにすべきか?

10の覚悟

では、上述の「10の鉄則」を実施するために、どんな心構えが必要なのでしょうか?

筆者は「10の覚悟」と題して、その心構えを示しています。

 

例えば、「2.自ら労働力や資金を出す」について。
本書では次のように説明されています。

まちを変えていくためには、人任せにして、「こうしてくれ、ああしてくれ」と要請するのではなく、自ら変えていく行動が必要。もしも人に任せるときは、費用は負担するのが基本。海外でも今はそれが普通であるし、江戸時代まで日本においても、労働力を出すか、出来ないならお金を出すのが、まちに住む人たちの務めの基本であった。(198ページ)

具体的イメージを膨らませるために

ここまで述べてきたように、本書は「10の鉄則」「10の覚悟」といった金言を教えてくれます。

ただ、これだけを読んで「地方を活性化させるイメージ」を掴むのは難儀でしょう。

…ご安心ください。
「本書の内容を物語形式で小説化した本」がございます。
それが『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門』です。

著者が自身の経験をベースに、リアリティを突き詰めた内容になっています。

 

地方創生の「考え方」「スタンス」から知りたい人には、『稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則』を。

まずは「具体的なイメージ」から掴みたい人には、『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門』を。

著者の木下斉氏は、「地方創生の案内人」として、我々の理解を助けてくれます。

 

学び

「もらったお金」では自立できない

本書の著者である木下斉氏は、繰り返し一貫して「補助金に頼るな」と主張されています。

このスタンスは、地方創生に限らず、あらゆる場面に共通する「普遍的な原則」のように思えます。

例えば、次のようなトピック。

  • 塾や通信教育
  • 大学
  • 海外留学・ボランティア

いずれも、「もらったお金」でやるのか、「自分で稼いだ/借りたお金」でやるのかで、得られるものが大きく変わる。
そんな感覚を覚えたことがある方も、いらっしゃるのではないでしょうか?

この両者は、「甘えの有無」という点で180度違います。

「人からもらったお金」だと、どうしても「甘え」が生じてしまう。
子どものころ見た、通信教育のピカピカなテキストの山は、まさに「甘え」の象徴でしょう。

一方、「自分で稼いだ/借りたお金」だと、この「甘え」が消えます。
稼いだお金だと無駄にできませんし、借りたお金だと返さないといけない。
「甘え」の代わりに、「何が何でも成果を出さねば」という「危機感」があります。

こうした「危機感」が、人を成長させ、さらには文明を発展させてきたわけです。
…言い過ぎだと思いますか?

そう思われる方は、『教養としての「世界史」の読み方』を読んでみてください。

明日から取れるアクション1つ

  • あえて「自分のお金」で、セミナーや研修を申し込んでみる