BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。地元九州への隠居を細々と構想中。書評?感想?読書日記をロジカルに書いていきます。夢は大きく、「ビジネス書コンシェルジュ」になれるよう、頑張ります。

【1枚でわかる】『ブルシット・ジョブ』デヴィッド・グレーバー

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この本で解ける疑問は?

  • ブルシット・ジョブ=クソどうでもいい仕事とは何なのか?
  • なぜ、ブルシット・ジョブが生まれてしまうのか?

 

『ブルシット・ジョブ』って?

以前、noteにて投げ銭を募ったかと思います。

その際にお預かりしたお金を使いまして、今回4,000円以上の本に挑戦してみました。

その本の名は『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』。

400ページ以上の大作です。

しかも、和訳本なので、なかなか難解で苦戦…

正直、「きちんと正しく解釈できているんだろうか?」と、何度もこの記事を書いては消す…を繰り返しました。

本書の記述をそのまま抜き出して要約と為すのは簡単です。

しかし、それだと「何だかこの本、何言っているかわからないから、買うのやーめた」と皆さんに感じさせてしまうかもしれない。

「オススメしたい本の魅力をわかりやすく伝えること」がビズペラのミッションです。

なので、思いっきり、私なりの言葉で、本書の内容をかみ砕いてみました。

 

まずは本書の「ペライチ」を見ていきます。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

本書の内容を「要約」すると、次のことが書かれていました。

  • ブルシット(bullshit)とは、「戯言・でたらめ」のこと。そしてブルシット・ジョブとは、やってる本人ですら「クソどうでもいい」と思いながらも、「そうじゃない」と自分を偽りながら行う悪質な仕事のこと。
  • ブルシット・ジョブには5種類の類型がある。
    ①取り巻き
    誰かを偉そうな偉そうな気分を味わわせる仕事(ドアアテンダント、秘書など)
    ②脅し屋
    雇用主のために相手を攻撃する仕事(企業弁護士、ロビイストなど)
    ③尻ぬぐい
    組織の中の「あってはならないミス」を取り繕う仕事(不良コードを修正するエンジニアなど)
    ④書類穴埋め人
    組織が実際にやっていないことを、やっていると主張する仕事(社内報、広報など)
    ⑤タスクマスター
    他人に仕事を割り当てるだけの、ブルシット・ジョブを作り出す仕事(中間管理職)
  • ブルシット・ジョブが生まれる原因は「個人的な次元」と構造的な次元である「社会的・経済的な次元」「文化的・政治的な次元」に分けて考える必要がある。
  • 個人的な次元で、「個々人の自助努力が足りないから」…と結論づけるのは早計である。裏側にある構造的な次元「社会的・経済的な次元」「文化的・政治的な次元」の2つを深掘る必要がある。
  • 社会的・経済的な次元では、経済の金融化と情報産業の発展によって、業務や組織が複雑化した。複雑な組織や業務を管理するために、「管理職、マーケ、営業、事務、サービス労働者」などがどんどん多層化していった。これにより、ブルシット・ジョブが生まれていった。
  • 文化的・政治的な次元では、第一に、仕事をすること自体に価値があり、仕事をしないのは悪であるという広範なコンセンサスが存在する。具体的には下記2点の観念が根強い。
    ①「アダムにかけられた呪い」というキリスト教の教義
    ②「親方の規律のもとで賃労働することが一人前になる唯一の方法」だとする北欧州的な観念
    そして第二に、労働の苦行レベルを減らそうとするのは、かえって労働の価値を下げてしまう(苦行だからこそ、労働そのものに価値がある)という考え方が根強い。

いかがでしたでしょうか。

我々が普段目にしている「クソどうでもいい仕事」が生まれる原因に迫った、意義深い本だと思います。

本書には、「クソどうでもいい仕事」に対する解決策も一応示されています。

ただ個人的には、その解決策よりも、「クソどうでもいい仕事」を新しい概念として面と向かって定義して、原因にひたむきに向き合ったプロセスこそが本書の一番の価値だと思います。

この本は我々に、「一生向き合うに相応しい論点」を提示してくれているのかもしれません。

学び

難解な本を自分なりに理解するためには…

もちろん人によるでしょうが、個人的には『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』は少々理解するのに時間がかかりました。

私の中では「難解な本=一周以上読まないと自分の言葉で説明できない本」だと分類しました。

そんな本を理解するために、「今回やってみてよかったこと」をツラツラと紹介できればと思います。

パラパラ読みを3周行い、何度も出てくるキーワードを発見して、「枠組み」をつくる

こういった本は、ゆっくり一読しただけでは理解するのは難しいでしょう(少なくとも私にとっては)。

そういうときは、とにかく「読む回数」を増やします。

3周くらい読むと、何となく「どのキーワードが大事なのか」くらいは理解できます。

今回でいうと「社会的・経済的な次元」「文化的・政治的な次元」というフレーズが何度も登場しました。

そして「社会的・経済的な次元」「文化的・政治的な次元」はどの文脈で使われているかというと、「ブルシット・ジョブが生まれる原因」を論じるときでした。

 

これだけでも、「ブルシット・ジョブが生まれる原因は、"社会的・経済的な次元"と"文化的・政治的な次元"の2つの枠組みに分けて捉えたほうがよいんだな」くらいの理解はできます。

こんな風に「何度も出てくるキーワード=枠組み」となることが多いです。

枠組みを埋めるために必要な「わからない用語」を調べる

あとは枠組みを埋めていくだけです。

しかし、枠組みを埋めようとすると、わからない用語がいくつか登場します。

例えば、「社会的・経済的な次元」の文脈の中で、何度も「経営封建主義」というキーワードが登場します。

…意味が分からないですよね(笑)

本書を読んでもイマイチ意味が掴めない。

なぜか?

それは、そもそも自分が「封建主義」の意味を理解してなかったからなんですね。

そこで、遠回りだと思いつつも「封建主義」の意味を調べてみました。

私なりのざっくりとした理解は「封建主義=何かを生産するための、領主と農民の主従関係を大事にする考え方」です。

これを頭に入れたうえで、再度「経営封建主義」という用語と向き合うと、本書の見え方が少し変わります。

「経営者と従業員の間の、複雑なヒエラルキーが、ブルシット・ジョブを生んでいるのかな?」

「確かに、大きくて複雑なヒエラルキーの会社ほど、"秘書課"があったりするよな…これがブルシット・ジョブ5類型の1つ"①取り巻き"のことかな?(もちろん、社会に大きな価値を提供している秘書課も数多く存在すると思います)」

…と、私のように、前提知識をあまり持たない人は、こんな風に地道に一歩一歩理解を深めていく必要があります。

大変ですが、咀嚼力を鍛えるいいトレーニングですね。

たまにはこういうトレーニング、オススメですよ(笑)