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【要約・書評】『グロービスMBAで教えている 交渉術の基本』グロービス

この本で解ける疑問は?

  • どうすれば交渉で損せずに済む?
  • 交渉は結局、勝ち負けなの?
  • 交渉は結局、接待・泣き倒しのような世界なの?

『グロービスMBAで教えている 交渉術の基本』って?

前回の『ダークサイド・スキル』に引き続き、割と「ダーク」なトピックを扱ってみたいと思います。

それが「交渉術」です。

「交渉」と聞くと、みなさんはどんなイメージを思い浮かべますか?

  • 水面下の仕込みや駆け引き
  • 仲間だと思っていた提携先が、実は敵側だった
  • 最後での逆転劇で、相手が「参りました」と負けを認める

…こんなイメージを持たれた方は、おそらく僕だけではないでしょう。
(ドラマの見過ぎですかね)

ですが、事実として、世の中のビジネスのほとんどは、この「交渉」を起点として動いているはずです。
毎日のお願いごとのやり取りも、「交渉」の一つです。

そんな「交渉」を実にわかりやすく語っているのが、この『グロービスMBAで教えている 交渉術の基本』です。

 

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今回は具体例をベースに、本書のタイトル通り「交渉術の基本」を抜き出してみました。

ざっくり掻い摘むと、次のような内容です。

  • 交渉の基本概念は、①関係者は誰か、②何のために交渉するのか(利害関心)、③何をどれだけ得たいのか(価値)の3点。特に③については、次の5つの概念を押さえておく必要がある。
  • 1点目は、「BATNA(Best Alternative to Negotiated Agreement)=交渉で合意が成立しない場合の最善の案」。より条件の良いBATNAを持っているほど、有利な立場で交渉に臨むことができる。
    例えば、転職活動ですでにB社から内定をもらっている。すると、A社の面接に臨む場合は、B社がBATNAとなる。一方、A社にとっては、他の採用候補者を探すことがBATNAである。
  • 2点目は、「留保金額=妥協できる最低条件」。BATNAの条件=留保価値ともいえる。
    例えば、内定先のB社の給料600万が、留保価値にあたる。一方、A社は、最低条件の700万以下で雇いたいとする。この700万が、A社にとっての留保価値となる。
  • 3点目に、「ZOPA(Zone Of Possible Agreement)=双方の留保価値の間=交渉が妥結する可能性のある範囲」。実際は、交渉の過程を通して、相手の留保価値を探っていく。
    例えば、上記の例だと、600~700万がZOPAとなる。
  • 4点目は、「目標金額=最終的に目指す落としどころ」
  • 5点目は、「アンカー=最初の提示条件」
    例えば、値引きする際は最初の言い値を安く、給与交渉の際は最初の言い値を高くするなど。

いかがでしたでしょうか?

先ほどの概念を押さえておくだけでも、交渉の肩の荷が下りますね。

もちろん、相手との信頼関係の構築や、具体的な駆け引きのやり方など、ナマナマしい知恵も身につけていく必要はあります。

本書『グロービスMBAで教えている 交渉術の基本』は、そんなナマナマしい部分までを、具体的なストーリーを例に出しながら、わかりやすく解説してくれます。1つのストーリーが5ページ前後なのも、学びのハードルを低くしてくれますね。

 

学び

このビジネス書を通して、次の学びを得ました。

「交渉術」は誰にとっても必要なスキル

こう書くと当たり前ですが、今後は特に「交渉術」が必要になるのだと思います。

例えば、人生100年時代は、複数回のキャリアチェンジが当たり前になるでしょう。

そうなると、キャリアチェンジのたびに、こうした交渉が求められます。

「M&Aのプロ」「弁護士」「経営者」
…「交渉術」はこうした方々特有のスキルではなくなってきます。

 

ところが、この「交渉術」は、学校でも企業研修でも、なかなか教えてもらえません。

ですので、「いかに、日常生活や日々の業務で、疑似体験を意図的に生み出していくか」が鍵なのかもしれませんね。

例えば、難しくて大変な仕事を誰かにお願いするなど、「合意形成が難しい場面」を作っていくと、交渉力も磨かれていきそうです。

もしくは、今までの人生の中で、「あれは大変な交渉だったな」と思える経験を棚卸して、反省してみるのも面白そうですね。

明日から取れるアクション1つ

  • まずは、これまでの人生における「交渉」の経験を棚卸してみる

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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