BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。地元九州への隠居を細々と構想中。書評?感想?読書日記をロジカルに書いていきます。

【核心】職場の生産性を妨げる3つの罠

突然ですが、今から3つの例をお示しします。

やりとりその1

「なんで、もっと新しい提案をしてこないんだ」

「すみません、考えます(いやー、だって忙しいんだもん)」

やりとりその2

「この手続きは、どうやって進めればよいですか?」

「あ、それは〇〇さんに聞かないとわからないね」

「わかりました、〇〇さんに聞いてみます(いやいや、ちゃんと書いておいてくれよ)」 

やりとりその3

「新しく、自社でもTwitterを始めようと思います」

「運用ルールや投稿するときの基準は、もう決まっているの?」

「いえ、それはまだです(最初からそんなガチガチでやる必要ある?」 

いかがでしたでしょうか。

何かしら、身に覚えのある例があったのではないでしょうか?

もし「いや、1つも当てはまらないよ」という方。

おめでとうございます。

あなたは、これ以上ないくらい、素晴らしい環境で働けているのではないでしょうか。

もしそうであれば、この記事を読んでいただかなくても大丈夫だと思います。

 

一方で、先ほどの例を見て「1つでも身に覚えがある」という方。

おめでとうございます。

10分だけお付き合いください。

そうすれば、あなたの職場の生産性を高めるヒントが、1つくらい得られるはずです。

 

職場の生産性を高める一丁目一番地「CAPサイクル」

まずは「どうすれば、職場の生産性を高めることができるか?」を考えてみましょう。

実は、高い生産性を誇る職場には、ある1つの共通点があります。

それは「CAPサイクルが回っていること」です。

「Create(作る)→Arrange(整える)→Pass(渡す)」の頭文字を取って、CAPサイクルと読んでいます。

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  1. まず、0→1で新しい企画を作って実行する。…Create
  2. ある程度ナレッジが貯まってきたら、他の人も実行できるように、仕組みを整える。…Arrange
  3. 仕組みを整えたら、別の人にスキルを移管して、権限移譲して渡す。…Pass
  4. 手が空いたら、また1のCreateに戻る。

「作って、整えて、渡して手を空けて、また作る」このサイクルをグルグルと回すこと。

それが、職場の生産性を高くする条件です。

これが1個でも欠けると、CAPサイクルが回ることはありません。

例えば、いつまでも作りっぱなしで仕組み化されないと、作った本人の手が空くことはありません。

他の人に業務を譲ることができずに、業務をその場しのぎで回し続けていれば、当然、次の新しいことを考える余白もできるわけがありません。

では、CAPサイクルが回らなくなる原因はどこにあるのでしょうか?

CAPサイクルを妨げる3つの罠

実は、CAPサイクルを詰まらせる罠が3つ潜んでいます。

  1. ブラックボックス化
  2. 何でも仕組み化病
  3. バトンミス

順番に解説します。

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罠1:ブラックボックス化

Create(作る)のタイミングで躓きがちなのが、「ブラックボックス化」です。

新しい企画を作ってみたものの、作りっぱなしになっているケース。

あるいは、作った張本人がいつまでも1人でその仕事を回し続けているケース。

仕事のナレッジが全て個人にへばりついている状態ですね。

 

例えば、Aさんが新しいセミナーを立案したとしましょう。

このセミナーが好評だったので、今後も開催回数を増やしていきたい。

でも、このセミナーを運営できるのはAさんだけ。

他の人がやろうにも、セミナーのコンテンツや運営方法がわからず、再現ができない。

そんな状況で開催回数を増やそうとすると、Aさんの稼働だけが増えてしまう。

いわば、Aさんの職人芸だよりになっている。

このように、「何かを新しく作ったあとに、作った本人に業務が張り付いている状態」がブラックボックス化です。

これが、CAPサイクルを妨げる1つ目の罠の正体です。

では、なぜブラックボックス化が起きてしまうのでしょうか。

ブラックボックス化の真因は「自己保存の本能」

ブラックボックス化の構造を解き明かすと、以下の図表のように整理できます。

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  1. そもそも、標準化や仕組み化の時間や余力はあるのか?
  2. 時間はあるとして、標準化や仕組み化の知見はあるのか?
  3. 知見があるとして、自己保存の本能に勝てるのか?

1や2が原因だと口では言っておきながら、実は3が本音だった。

こういうケース、結構あると思うんですよね。

「属人化を無くしたくない」

「自分だけができる状態が心地よい」

「標準化すると自分の居場所がなくなる」

…この感情こそが「自己保存」の正体です。

 

では、どうすればブラックボックス化を解消することができるのか?

その答えは、以下の記事に書いておりますので、よろしければご覧ください。

 

罠2:何でも仕組み化病

CAPサイクルを妨げる2つ目の罠は「何でも仕組み化病」です。

具体的には、以下の2つのパターンがあります。

  1. 0→1で作るフェーズなのに、いきなり仕組み化しようとしてしまう
  2. 細かく仕組み化しすぎて、かえって複雑化してしまう

順番に説明します。

作るフェーズで仕組み化してスピードダウン

例えば、自社で新しくTwitterアカウントを作って、商品の魅力を発信する取組みをスタートしたとしましょう。

やったことがないことを新しくスタートしたときは、当然「やってみないとわからないこと」がたくさんあります。

それなのに、Twitterの運用をスタートする前から

「投稿頻度はどのくらいにするか?投稿の時間帯はどうするか?」

「文字数は最低何文字以上がよいか」

「画像は絶対入れるのか、入れないのか」

「誰でもTwitterで呟いてよいのか、悪いのか」

「#ハッシュタグはマストなのか」

「炎上した場合はどうするか?というか、炎上の定義はどうするか?」

…と、こんなことをいちいちTwitterの運用をスタートする前から決めていたら、きりが無いですよね。

0→1でスタートするときは、あまり細かい取り決めや仕組み化はせずに、「まずやってみること」が重要です。

仕組み化を細かくしすぎて複雑化

例えば、3年に1回起きるかどうかわからないようなイレギュラー対応まで仕組み化してマニュアルに落とそうとすると…

膨大な数のマニュアル地獄におちいってしまうのではないでしょうか。

この場合は〇〇、でもこの場合は△△、さらに例外的には✕✕、加えて例外の例外は◇◇…みたいな感じで、どんどん運用が複雑になってしまいます。

 

何かの処理漏れがあったときに、脊髄反射的にすぐに「仕組み化」に飛びついてはいけません。

「なぜ処理漏れが起きたのか?」

「今の運用が複雑すぎるのではないか?逆にもっとシンプルにできないか?」

一歩立ち止まって、以上のような論点を考え抜くことが大事です。

罠3:バトンミス

CAPサイクルを妨げる3つ目の罠は、バトンミスです。

新しく作った仕事で結果を出して、仕組みを整えるところまではできた。

あとは、仕組み化した仕事を他の人に譲るだけ。

…このタイミングで待ち構えている罠が、バトンミスです。

具体的には、次の2点のことが起こりがちです。

  1. 動機付けせずに、バトンを渡してしまう
  2. バトンを渡すつもりが、マイクロマネジメントでいつまでも口を出してしまう

順番に見ていきましょう。

雑なバトンパス

1つ目は、仕事を譲る相手に、雑にバトンを渡してしまうことです。

「なぜ、あなたにお願いしたいのか?あなたじゃなくてはいけない理由は何なのか?」

「このバトンを受け取ると、あなたにどんなご褒美が待っているのか?」

…こういった点を伝えて、相手を動機付けせずにバトンを渡してしまうと、どうなるでしょうか?

恐らく、走るスピードが落ちてしまう。つまり、仕事へのモチベーションが下がってしまうのではないでしょうか。

 

自分が持っているバトンを相手に渡す前に、

「あなたはこういうスキルとマインドを持っているから、この仕事を受け継いでほしい」

「この仕事を受け継ぐと、さらにこういうスキルが磨かれて、あなたのキャリアにもプラスになる」

「この仕事が上手くいくと、社会や会社全体にとって、こんなに貢献できる」

…と伝えきることが大事です。

渡しすつもりが、気づいたら握りしめたままのバトン

2つ目に、バトンを渡すつもりが、気づいたら握りっぱなしになっている問題です。

きちんと仕組みを整えて、引き継ぎをしたうえで、Bさんに仕事を渡したとします。

でも、Bさんはまだこの仕事をやったことがない。不慣れな状態からスタートします。

そんな状態のときは、しばらくはBさんに伴走してあげるのも親切だと思います。

しかし、いつまでもBさんに細かいところまで口出ししてマイクロマネジメントをしてしまうと、どうでしょうか?

仕事を完全に相手に渡し切らないうちは、いつまで経っても、自分の手が空くことはありません。

特に、全社視点で見て不味いな…と思うのは、「戦略を考えるべき人が、戦術レベルまで細かく口を出している状態」です。

戦術レベルまで口を出すのに費やす時間が増えれば増えるほど、戦略を考える時間と労力が削がれます。

これも注意が必要です。

 

では、どうすればよいか?

仕事の種類にもよるでしょうが、個人的には、仕事を引き継いだ相手が「60-70%」くらいの品質のアウトプットを出せるようになってきたら、思い切って手放してみてもよいと思います。

残りの30-40%は、仕事を引き継いだ相手なりの工夫で埋めてくれるはず。

そう信じてみてもいいかもしれません。

…と数行で書いてはみましたが、この論点はもっと奥が深いはず。

また別の機会に深堀してみようと思います。

まとめ

最後に要点をまとめます。

  • 職場の生産性を高めるためには、CAPサイクル「Create(作る)→Arrange(整える)→Pass(渡す)」を回すことが大事です。しかし、このサイクルを妨げる3つ罠には注意が必要です。
  • 1つ目の罠は、ブラックボックス化。仕事を作りっぱなしにして、いつまでも属人化させないよう注意しましょう。そのためにも、自己保存の本能に打ち勝つ術を学ぶ必要があります。
  • 2つ目の罠は、何でも仕組み化病。仕組み化によって業務のスピードが落ちたり、かえって複雑化したりするのは本末転倒でしたね。
  • 3つ目の罠は、バトンミス。動機付けをしつつ、マイクロマネジメントに見切りをつけることが大事でした。

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いかがでしたでしょうか。

1つでも、何かプラスの学びが得られたのであれば、これ以上嬉しいことはありません。

言うは易く行うは難し。

私もしっかり実行に移していきたいと思います。

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