スキルセット 書く 書評

人を動かす簡潔な文章を、サクッと書ける本『戦略的ビジネス文章術』

ビジネスで求められる「簡潔でわかりやすく、人を動かすことができる文章」を真正面から紐解いている本は意外に少ない。

このテーマについて誰でも再現可能な方法論を授けてくれるのが、『朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術』だ。

特に、筆者が提唱している「仮見出し・二段論法」の威力が半端なかったので、紹介したい。

『戦略的ビジネス文章術』とは?

筆者は朝日新聞記者で、MIT(マサチューセッツ工科大学)でMBAを取得している。

新聞で求められる「老若男女の誰もが親しめる文章」と、ビジネスで求められる「クイックに人を動かす文章」を知り尽くしたプロと言えるだろう。


「伝えるべきことを簡潔に、サクサク書けて、期待通りの結果を得るには?」

そんな悩みに対して「仮見出し・二段論法」をはじめ、再現性の高いフレームワークを提供してくれるのが『朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術』だ。

本書を読んだ理由:テキストを制するものが、仕事を制す。そんな世の中になってきたから

コロナ禍に入り、一回も会ったことがない人と仕事をするシーンが圧倒的に増えた。

そのため、自分が書いた文章は、第一印象すらも左右してしまう。

いくら人柄が良くて、プレゼンもわかりやすくて、見た目に清潔感があっても、文章がわかりづらければ、「うわ、この人、仕事できなそー」「この人と仕事したくないなー」と思われてしまう。


そんな中、「一発で理解できる、わかりやすくて短い、筋肉質な文章」を書けるようになれれば、ビジネス界においては好印象を残せるはず。

かっこいいスーツを買って、髪をピシャっと整えるよりも、文章力を磨いたほうが第一印象が良くなるのではないか。

そんな思いで『朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術』を手に取ってみた。

文章構成を考えるよりも先にやることがある

本書を読んでみての一番の学びは「文章構成を考えるよりも先にやることがある」ということだ。

これは目から鱗が落ちた。


というのも、たいていの文章術系の本には「文章を書く前に、まずは構成(骨組み・スケルトン・ストーリー)を考えよう」と書いてある。

確かに、事前に構成を考えることができれば、整った文章を効率よく書くことができそうだ。

しかし、「文章を書く前に構成を考える」という技術が、そもそも難しい。

事前に章立てやらストーリーを考えるためには、「何を伝えたいか」「伝えるために、どんな論点に、どんな順番で答えればいいか」などなど、検討事項が山のようにある。

これらを、文章を書く前から全部想定しておくなんて…これじゃいつまでたっても筆が進められない。

…そうやって悩んでいるところに、ピンポイントで解決策を教えてくれるのが本書であった。

本書によると、文章構成を練るよりも先に、やることがあるそうだ。

むしろ「文章構成なんていいから、最低限これをやってくれ!」と言いたくなるくらい、大事な技術かもしれない。

それが「仮見出し・二段論法」だ。

文章を書くときは、まず「見出し」を作る

「仮見出し・二段論法」の概要を図示すると、次のようになる。矢印は考える順番だ。

『朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術』を参考に作成

本書によると、まず何よりも先に書くべきなのは「見出し」だそうだ。

見出しは、メールでいう件名であり、ビジネスチャットでいう一行目であり、資料のタイトルでもある。

確かに、「このメールを読むのに時間を割いてよいのか」はメールの件名を見て判断する。

新聞の読み方の本にも「まずは見出しを流し読みしなさい。それから、深く読む記事を選びなさい」と書かれている。

文章なり資料を読んでもらえるかどうかの命運は見出しが握っている、と言っても過言ではない。

その見出しの作り方について、本書は1章分を割いて解説している。


読んでみると、新聞記者として第一線で活躍されている筆者ならではの技術が凝縮されている。

一部抜粋をすると、見出しを作るときには、次のルールがあるそうだ。

  1. 一体、何の話題かを一言で表すパーツ
  2. 最も大事なニュースを明示するパーツ
  3. 2つのパーツをパッと見て、話の筋がわかる短さにする

まさに「少ない文字数で、死んでも伝えたいメッセージを伝えきるこだわり」が、この3つのルールに集約されている。


例えば、「来週の営業報告会議について」という件名について考えてみると

  • 「〇〇について」なんて書かなくても、何の話題かは理解できる。不要な情報は省くべき
  • 営業報告会議に向けて何をお願いしたいのかはわからない。資料を確認してほしいのか、来週の会議で意思決定してほしい事項があるのか、「何をしてほしいのか」を明示すべき
  • インパクトのある情報がない。「営業数字20%未達。対応策のご相談」みたいに、「あ、これは読まねば」と相手に思わせる見出しにすべき

などなど、改善の余地がありそうだ。


このように、見出しにこだわりはじめてから、仕事の進めやすさが劇的に変わった。

見出し(件名・タイトル)を書き出すのに時間がかかるようになってしまったが、そのぶん文章全体を書く時間は大幅に縮まったように感じる。

また、以前よりも、読み手にスムーズに動いてもらえるようになった。というか、未読スルーの回数も大幅に減った。

見出しのあとは「リード文」を二段論法で考える

見出し整えるだけでも効果は絶大だが、そこに相乗効果をもたらすのが「リード文」である。

リード文は、メールを開いたときに最初に目につく数行だ。1段落目と表現してもいい。

リード文に書いてある情報がパッとしないと、その後の本文は読まれることなくお蔵入りになってしまう。


本書によると、リード文を書くためには「二段論法」が効果的だそうだ。

リード文は、見出しをかみ砕いたものであり、本文の結論をサマリーしたものである。

そのサマリーに仕方が3パターンあるそうだ。

  1. 結論+(そして)+結論
  2. 結論+(しかし)+結論
  3. 結論+(なぜなら)+結論

例えば、この記事のリード文は、1のパターンで書いてみた。

ビジネスで求められる「簡潔でわかりやすく、人を動かすことができる文章」を真正面から紐解いている本は意外に少ない。

このテーマについて誰でも再現可能な方法論を授けてくれるのが、『朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術』だ。

余計な前置きやら序文は書かずに、本文で伝えたいことを2行くらいで表現する。

こうしておくと、読んでほしい人に読んでもらえる確率がグッと高まる。

もし読んでもらえなければ、見出しかリード文を見直せばよい。


以上、「仮見出し・二段論法」を紹介したが、他にも本書では

  • 見出しやリード文を考えるときのフレームワーク
  • 文章を書く前に、戦略を考えるための「3A分析」
  • 初稿をサクサク書ける方法論
  • ミスを防ぐための推敲の技術

などなど、およそ400ページにわたって丁寧に解説されている。

400ページと書いたことで、「え、そんなに?」と思った人もいるだろうが、安心してほしい。

筆者は老若男女の誰もが親しめる文章を書くプロである。

全体的に非常にわかりやすくユーモアあふれる文章で書いてあり、Before・Afterの例示もふんだんに盛り込んである。

何より、本書で語られている方法論を実践した本でもある。

「見出しやリード文のわかりやすさ」など、感動するポイントも多いはずだ。

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