BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。地元九州への隠居を細々と構想中。書評?感想?読書日記をロジカルに書いていきます。夢は大きく、「ビジネス書コンシェルジュ」になれるよう、頑張ります。

まだ都合のいい幻想を信じてるの?『言ってはいけない 残酷すぎる真実』橘 玲

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この本で解ける疑問は?

  • 努力は遺伝に勝てるのか?
  • 容姿が人生を左右する「美貌格差」は存在するのか?
  • 子育てや教育は子どもの成長には関係ないのか?

 

『言ってはいけない 残酷すぎる真実』って?

-Why-なぜ書かれたのか?

本書の「まえがき」には、次のように述べられている。

「言ってはいけない」とされている残酷すぎる真実こそが、世の中をよくするために必要なのだ。この不愉快な本を最後まで読めば、そのことがわかってもらえるだろう。(6ページ)

ふむふむ、「最後まで読めば、そのことがわかってもらえるだろう」ということは、最後まで読んでもよくわからない人向けに、「あとがき」に解説があるのでは?

ということで、「あとがき」に飛んでみると、次のように述べられています。

私たちの認知=知性が進化のちからによってどのように偏向しているのかをちゃんと知っておく必要がある。現代の進化論が突きつける不愉快な真実は、歪んだ理性を暴走させないための安全装置なのだ。(247ページ)

…ありましたね。

「どれだけ、我々の認知が歪んでいるかを知ること」が、進化による理性の暴走を止める「安全装置」となり得るから

…これが、本書が書かれた理由であり、「安全装置としての真実を伝えること」が目的といえます。

-What-なにをすべきか?

ここで早速、本書の「ペライチ」を図1に示します。

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図1

結論から言うと、本書が言う「残酷すぎる真実」は次の3つです。

  1. 努力は遺伝に勝てない
  2. 容姿が人生を左右する「美貌格差」は存在する
  3. 子育てや教育は子どもの成長には関係ない

冒頭の疑問、解消されましたでしょうか?
そんなはず、ありませんよね。

ここで、「努力は遺伝に勝てない」の根拠を見てみます。

まず、頭の良し悪しについて。
これは、7~8割は「遺伝」で決まるそうです。
本書では、目を背けたくなるくらい、裏付けされた数字が示されています。

 

次に、これが個人的に最も衝撃的でした。

身体的疾患よりも精神疾患のほうが遺伝しやすい。

統合失調症や双極性障害の遺伝率は80%を超えています。
身長の遺伝率は66%、体重の遺伝率は74%であることを考えると、精神的な要素の方が、親の遺伝を受けやすい、ということになります。

※遺伝率について。例えば、「統合失調症の遺伝率が80%」とは、統合失調症となった原因の80%は、「遺伝」で説明できる。という意味です。
「親が統合失調症だと、80%の確立で子も同じ病にかかる」という意味ではありません。

こうした事実について、我々はどう向き合えばよいのでしょうか?

-How-どのようにすべきか?

ここで大事なのは、「目を逸らすことなく、事実を理解したうえで、判断をしていくこと」だと筆者はいいます。

例えば、精神病のリスクを例にとって、筆者は次のように説明しています。

精神病のリスクを持つ夫婦がこの事実を知ったとき、彼らは出産をあきらめるかもしれないし、それでも子どもがほしいと思うかもしれない。2人(と子ども)の人生は自分たちでつくりあげるものだから、どちらの選択が正しいということはできない。だが、その決断は、願望ではなく正しい知識に基づいてなされるべきだ。

あるいは、精神病と遺伝との関係が社会に周知されていれば、父母やきょうだい、友人たちはそのリスクを知ったうえで、2人を援助したり、助言したりできるかもしれない。そのほうが、インターネットの匿名掲示板を頼りに、人生のたいせつな決断をするよりずっとマシではないだろうか。(25ページ)

確かに、「残酷すぎる真実」を知っているからこそ、取れる行動はあるはずです。

本能的に「見たくないものは見ない習性」がついているかもしれませんが、あえてそれを見に行く勇気が必要だと、思い知らされた一冊でした。

 

学び

本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。

「事実」を見つめるのは、こんなにも難しい(だからこそ…)

ここまで『言ってはいけない 残酷すぎる真実』を通して、いかに我々が、都合の悪い事実から目を背けていたかを見てました。

しかし、一方で、「必要以上に、悲観的な勘違い」をしていることも、先日の記事で指摘しました。

そう、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』です。

この記事では、「10の本能」と題して、我々が認識を妨げている要因を、図2のように明らかにしました。

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図2

この両書を読んでよくわかったのは、「事実」を見つめる難しさは、想像を絶する、ということです。
大袈裟な表現だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私はそうは思いません。

この両書に書かれていた事実を、どれだけの人が、正しく理解できていたでしょうか?
ほとんどいない、と断言できるでしょう。

ただ、私が言いたかったのは、むしろポジティブな方面でして。

「事実をきちんと把握する」これは、希少価値が高いスキルである

…ということです。

「待て待て、本当にそうなんだっけ?」と問いかけ、事実を掴みにかかる。
今一度、習慣化したいな、と強く思いました。

明日から取れるアクション1つ