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【要約・書評】『ハートフルネス』スティーヴン・マーフィ重松

この本で解ける疑問は?

  • マインドフルネスの先にある「ハートフルネス」とは何なのか?
  • 人生を充実させるための心のあり方とは?

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『ハートフルネス』って?

「思いやりを持ちましょう」 

こういう教えは、小学校の道徳の授業以来、あまり学ぶ機会がありませんでした。

ゆえに、何となく大事なのはわかっているけど、具体的に何を意識すればよいのかがイマイチわからないまま、今に至っています。

 

「思いやりを持つとは何なのか?」

一度立ち止まって、この問いとちゃんと向き合った方がいいだろうなと思い、手に取ってみたのが『スタンフォードの心理学授業 ハートフルネス』でした。

 

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • ハートフルネスとは、オープンで明晰なあり方によって生きる大らかさ、自らへの正直さ、すべての存在への共感によって行動すること、周囲の世界に参加し共振すること。
  • ハートフルネスを育てるためには「初心」「開かれた弱さ」「真実性」「つながり」「深く聴くこと」「受容」「感謝」「奉仕」の8つを意識するとよい。
  • 初心
    初心で仕事をすることとは、「自分が人に教える通りに自らが生きること、人に勧めることを自ら実行すること」を意味する。
  • 開かれた弱さ
    人を理解し受け入れることは、自分を理解し受け入れること。
    自分の弱みや失敗経験を言語化して振り返ることで、自己理解が進む。
  • 真実性
    真実で嘘がないとは、言葉と行動が一致し、自らが信じること、教えることに従って行動し、人の考えに影響されないこと。
  • つながり
    相手を自分と同じ人間として見る。それだけでなく、相手と自分の違いも、お互いの人生に大きな影響を与えうる経験として認める。
    相手をまるごと全体としてとらえ、マインドフルな思いやりでひとつになる。
  • 深く聴くこと
    自分の心に「傾聴のための空白」を作ってあげる。
    相手の美点を褒め、あらゆる手段で励ます。相手の落ち度には触れずに自分の落ち度を話すことで、美点が花開く。
  • 受容
    自分の無力さや限界を受け入れる。そうすると、自分に何ができて、何ができないかがわかる。自分がコントロールできるものに最善を尽くす。
  • 感謝
    感謝には、人の助けを受け取ることと、人生における肯定的な出来事をつなに意識すること、その両方が含まれている。
  • 奉仕
    「人は大いなる何かの一部分である」と心得て、個人と他人の利益を区別せずに行動する。

いかがでしたでしょうか。

「ハートフル」と一言でいっても、これだけの要素を含んでいるとは、驚きでした。

言葉にすると当たり前のように思えますが、当たり前なことほど実践が難しい。

このことを思い知らせてくれる良本でした。

個人的には、各章の最後についているワークシートが非常に有意義でした。

中には、「うっ」と筆が止まるような問いかけもあるので、このワークシート、是非一度向き合ってみることをオススメします。

学び

「受容」の本当の意味

この本の「受容」の章を読んでいたとき、ふと『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』を思い出しました。

エピクテトスによると、人生の基本戦略は「"我々次第であるもの"と"我々次第でないもの"の境界を見極めて、自分の裁量の範囲内になる物事だけに集中すること」だそうです。

この基本戦略こそが、「受容」の本当の意味ではないかと思います。

自分の無力さを認めることで、「自分次第であるもの」と「自分次第でないもの」を見極めて、前者に集中する。

こういった意識の持ち方は、ハートフルネスを研究している心理学の世界でも、大昔の哲学の世界でも、共通する本質なんだなと気づきました。

よりよく生きるためには、昔も今も、この「受容」が重要な道標なんでしょうね。

またまた良書と出会えたことに感謝です。


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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