番外編

【コラム】Amazon5つ星は本当に良書なのか?

「ビジネス書は書店よりもAmazonで買うことが多い」

こんな方も少なくないのではないでしょうか。

 

では、Amazonでビジネス書を買うとして、何を判断基準としますか?

  • どんなジャンルか
  • 著者が誰か
  • 新作かどうか

…など、様々な基準があります。

 

しかし、誰もが少なからず気にしている基準を1つ挙げるとするならば、

「Amazonの星の数」

…これではないでしょうか。

今回は、この「Amazonの星の数」について、思うことを率直に書いてみます。

Amazonでのモノの買い方

Amazonで何かを買うとき、商品を「レビューの評価順」に並べる人も少なくないかと思います。

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私も、洗剤などの家庭用品を買うときは、

  • 検索窓に「洗剤」と入力
  • 並び替えボタンを押して「レビューの評価順」をクリック
  • 5つ星の商品から閲覧していく

…こんな購買行動を取ってしまいます。

一見すると、もっともな購買行動に見えます。

そもそも、Amazonのレビューとは、「商品に対する、客観的な評価を担保するもの」です。
「消費者が良質な商品を手に入れる可能性を高めること」が目的なので、Amazonのレビューを用いて購買意思決定を行うことは、問題ないように思えます。

 

しかし、一方で、次のような感想を抱いたこともあるのではないでしょうか?

「Amazonのレビューは高かったのに、いまいちパッとしなかった」

実は、Amazonのレビューには落し穴があります。

この落し穴を事前に発見し、回避するためには、「落し穴が生まれるメカニズム」を理解する必要があります。

「Amazon5つ星」が生まれるメカニズムとは?

シンプルに次の2つのロジックが考えられます。

  1. 消費者側の意思で、レビューがつけられている
  2. 生産者側の意思が、レビューに影響している

もちろん、この2つが混ざっているケースが多いですが、
2の「生産者側の意思」を見抜く努力が必要だと思います。

例えば、先日購入したこちらの本。

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Amazonでは44レビューのうち、98%が星5つの評価でした。(2019/7/28時点)

その星5つに惹かれて、購入してみました。

内容的には、物語式でサクサク読むことができる本です。

メッセージとしては、「起業して経営者になることで、幸せな自由人となることができる。幸せな自由人であり続けるためには、お金、時間、場所、健康、人間関係の5つを自分の意志でコントロールする必要がある」…このように要約できます。

 

しかし、個人的には、どうしても消化不良で終わってしまいました。

  • 肝心の「起業の勘所」は何なのか?
  • お金、時間、場所、健康、人間関係…本当にこの5つで十分なのか?
    働き甲斐や、ミッション(人生を通して何を実現するのか?)といった観点は必要ないのだろうか?

…と、このような疑問が残りました。

それと同時に、僭越ながら「本当に、Amazon5つ星の内容といえるのか」と違和感を抱きました。

そこで色々と調べてみると、著者による以下のようなブログを見つけました。

【自分に成る言葉 2019.2.2】 - 稲津秀樹 オフィシャルサイト

そこには、こう書かれていました。

Amazonでレビューを書いていただいた方には、書籍解説セミナー動画(定価3,300円)を視聴できるURLを無料でお送りさせていただきます。

※応募方法は、稲津秀樹のLINEに「Amazonレビュー特典」と「レビュー名」を記載の上、LINEでご連絡ください。

もちろん、本書のレビューの中には、「純粋に、本書の内容が良いと思った方」の意見も含まれているでしょう。

一方で、「特典をもらうために、Amazonにレビューを書く」「Amazonでレビューを書いたことを、著者にLINEで伝える必要がある」…こうした要素は、少なからず、消費者のレビューに影響を与えるのではないでしょうか?

もう一度、「Amazon5つ星が生まれるメカニズム」を振り返ると、

  1. 消費者側の意思で、レビューがつけられている
  2. 生産者側の意思が、レビューに影響している

…この2の「生産者側の意思」がどれだけ作用しているかを見極めることが重要です。

自戒の意を込めて、そう思います。

 

したがって、次回からAmazonのレビューを参照する際は、

  • レビューが同じ時期に連続投稿されていないか
  • 同じような感想が連続投稿されていないか
  • 反対意見となるレビューも書いてあるか

…こういった点も考慮してみようと思います。

特に「反対意見となるレビューも書いてあるか」は大事です。
鋭く示唆に富んだ意見は、得てして「賛否が分かれるもの」です。

デジタル時代だからこそ、Amazonなどのデジタル店舗でも「自分に合った商品の見極め方」を意識的に鍛えていきたいですね。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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