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【要約・書評】『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』

以前、Books&Appsさんのほうで、記事を書かせていただきました。

ありがたいことに、PVも2日で1万を超えて、Twitterでも賛否両論さまざまな声をいただきました。

これにて一件落着・・・と思っていましたが、まだ書き足りない、満ち足りない想いが残っていたので、

別の側面を書いていければと思います。

・・・いったい何の本の話をしているのかというと、

ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律

この本です。もう一度、紹介させてください。

『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』とは?

本書は、ビジネス書ベストセラー100冊から、共通のポイントを27個に絞って抽出している。

・・・なんて単純な本ではありません。

ベストセラーを100冊も読むと、自ずと見えてくる「ビジネス書間の矛盾」を27個紐解いた本です。

その過程を通して

  • 1冊の情報を鵜呑みにしてはいけない
  • 結局、ビジネス書などのライフハックは「文脈依存」でしかない
  • 自分の頭で考えて読まない限り、ビジネス書を仕事に応用することなんてできない

という、厳しい現実を教えてくれます。

しかも、語り口がシニカルで面白く、テンポがいいので、「エンタメ本」として楽しめます。

一冊でいろいろな楽しみ方ができる、稀有な本と言えるでしょう。


そんな本書のなかで、特に印象に残った教えが3つありましたので、ご紹介します。

ホワイトボードにも整理してみました。

戦えvs戦うな

本書が看破した1つ目の矛盾は「戦えvs戦うな」です。

ある本には「嫌な相手とは戦え」と書いてある。

しかし別の本には「嫌な相手とも戦うな」と記されている。

しかも、「戦え」と主張している本のなかでも、

「売り言葉に買い言葉はOK派」と「売り言葉に買い言葉はNG派」がいるようで。

・・・いったいどの論を信じればいいのでしょうか。


この矛盾について「本の教えを鵜呑みにせず、自分で考えなさい」と叱咤激励してくれるのが、本書の魅力です。


ちなみに私は、「戦うか、戦わないか、どっちのスタンスを取るべきか?」について、こう思います。

目的次第で自由に使い分けができるとベストだな、と。

解釈①:戦ったほうがいい場合

仮に、嫌な相手としてAさんという人がいたとしましょう。

Aさんと戦うべきかどうか迷ったとき。

まず、以下の条件にすべて当てはまる場合は、戦ったほうがいいと思います。

  • 仕事を進めるにあたって、Aさんとの関わりが避けられない場合
  • Aさんに明らかに舐められていて、その状態が続くと、こちらが不利な場合

この条件で「戦わない」を選択してしまうと、普段の仕事で

Aさんに舐められる→不利な仕事を押し付けられる→戦わない→さらにAさんに舐められる

・・・という負のループに陥るからです。


もう少し具体例をあげると、以前「営業が見たい数字を定義して、システムで見える化するプロジェクト」をやったことがあります。

プロジェクト発足当初、相手の営業さん(Aさん)は私のことを下に見ていたと思います。

---

私:「この数字を定義して、週次で追っていくのはどうでしょうか?」

Aさん:「いいから、こちらが言った通りの数字を見える化してくれ。どうせ、現場の仕事やったことないから、わかんないでしょ」

私:「わかりました。ご提示いただいた内容で、プロトタイプを作成いたします」

---次の会議---

私「前回の会議で、Bさんがおっしゃっていた数字をシステムで見える化してみました。こちらの見せ方で問題ないでしょうか?」

Aさん「うーん、やっぱり違う定義に変えていいかな?」

私「いや、以前説明しましたよね?今の案で合意した議事録も残っていますよ」

Aさん「議事録に書いてあるから、と言われても困るよ。いいから、違う定義に変えてくれ」

---

こんなやりとりが続くと、Aさんがさらに有利に、私がさらに不利になるだけです。

なので、このときは、徹底的に戦いました。というか、半ば言い争いになりました。

このおかげもあってか、Aさんも私がここまで怒るとは思っておらず、後日「言い過ぎた」と謝罪をしてくれました。

もちろん、私も「言い過ぎました」とお詫びしましたが(笑)

この言い争いがあったおかげで、Aさんとは対等な関係を築けたのを、今でも覚えています。

解釈②:戦わないほうがいい場合

では逆に、Aさんと戦わないほうがいい場合も考えてみましょう。


まず、Aさんと仕事の関わりが少ないようであれば、戦うコストがもったいないので、スルーしておいて問題ないでしょう。


一方で、Aさんと仕事の関わりがある場合。

もしAさんに舐められている場合は、先述のとおり、戦ったほうがいいです。


しかし、舐められておらず、対等な立場の場合はどうでしょうか。

Aさんに貸しがある場合は、これ以上貸しを作ってあげる必要もないので、折れずに戦ったほうがいいでしょう。

逆にAさんに借りがある場合は、借りを清算するために、戦わずに負けてあげたほうがいいかもしれません。

・・・ここまでの話を、それっぽく、意味もなく、下記の図に整理してみました。

嫌なことは断れvs嫌なことでも断るな

次に印象に残った矛盾が「嫌なことは断れvs嫌なことでも断るな」です。

ホリエモンのような強気な人は

「嫌だったら断ればいい」

「他人の言いなりで過ごすなんて時間の無駄だ」

・・・といった主張をよくしていますよね。


一方で、The体育会系のような人が書いた本には

「どんな依頼も断るな」

「断らないからこそ、相手に信頼され、次の仕事ももらえるのだから」

・・・的な主張もよく書かれています。


おいおい、どっちだよ~勘弁してくれよ~と思ってしまいますね。

ちなみに私は、嫌なことは一切やりたくないタイプなので、「嫌なことは断れ派」です。

ただ、この主張を貫くためには、次の条件を満たす必要があります。

  • 他の人には真似できないような、高いスキルを持っていること
  • そのスキルが、いろいろな職場・会社で必要とされていること

この条件を満たすスキルを持っていると、自分の立場を強くできます。

替えが効かないからですね。


「替えが効かない、かつ多くの人に求められる力を持っていること」

この条件を満たしているから、ホリエモンは「嫌なものはNoと言えばいいじゃん」と主張しているわけです。

この点を見逃して、「嫌だったら断る!」だけを真似すると、痛い目にあいそうです。

論理的に話せvs論理的に話すな

本書で印象に残った3つ目の矛盾点が「論理的に話せvs論理的に話すな」です。

この点については、以前、下記の記事で考察しましたので、詳細は省きます。

「論理よりも感情が大事」の本当の意味

この記事の要点を抜粋すると、

  • 論理的に考えるのは、「あいさつする」くらい当たり前のマナー
  • そのうえで、相手に応じて「論理的に話すか」「あえて論理的に話さないか」を選択することが大事

ということです。

結局、ビジネス書の教えは、著者の文脈に依存している

以上のように、ベストセラー100冊のなかにひしめき合っている矛盾たちを明らかにしたのが、

今回ご紹介した『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』という本です。


本書が伝えたかった教訓は何か?

それは、

「結局、ビジネス書の教えは、著者の文脈に依存している」

「自分が置かれている文脈と、著者が置かれている文脈を理解したうえで、ビジネス書の教えを使うこと」

だと思います。

このことを詳しく書いたのが、先日Books&Appsさんで書かせていただいた、下記の記事でした。

よろしければ、こちらも読んでみていただけると嬉しいです。

そのうえで『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』を読んでみると、数倍楽しめるはずです。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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