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【要約・書評】『仮想空間シフト』尾原 和啓、山口 周

この本で解ける疑問は?

  • コロナ禍によって世の中はどう変化する?
  • 世の中が仮想空間にシフトする中で、我々に求められる行動は何か?

『仮想空間シフト』って?

「これだけの深い議論が1000円以下で楽しめるのか…」

本書を読み終わって最初に抱いた感想がこれでした。

 

尾原氏と山口氏、私たちにとってこのお二人は、最先端の思考のフレームを提供してくれるパイオニアです。

今回はどんな思考を授けてもらえるのかというと、「仮想空間にシフトすることで生じる変化」「仮想空間にシフトする中で我々が取るべき行動」の2つです。

この本を読むと、世の中で語られている「アフターコロナの文脈」を自分の言葉で説明できるようになります。

それくらい、わかりやすく、ほどよい抽象度と現場感が合わさった本です。

 

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 我々の主戦場が仮想空間にシフトすることで、仕事が変わり、暮らしが変わり、社会が変わり、人生が変わり、国と行政が変わっていく。そのようなシフトの中で生き残るために、次の10のアクションを心得る必要がある。
  • ①境界線領域を作る
    ★仮想空間で仕事を快適に行うために、アイデンティティを切り替えられるようにしておく
    ★まずは、憧れている誰かを少し真似してみる
  • ②ナメすぎず、ビビりすぎない
    ★ギブ&ギブの精神で、「偶然友達になる場」「雑談などのカジュアルな接点」を自分から積極的に作りに行く必要がある
  • ③アジェンダを設定する
    ★「会議の目的を明確にする」「最適な会議時間をゼロベースで見積もる」などの工夫で、機会費用を最小化する
  • ④仕事に意味合いを作る
    ★目の前の仕事を大きく膨らませて一つの物語を語れるようにしておく
    ★逆に仕事をどんどん小さくして「やりこみ要素」を作り出す
  • ⑤共感できる人と組む
    ★仮想空間にシフトすることで増えてしまうのが「監視コスト」
    ★監視コストを最小化するためにも、美学やビジョンに共感したメンバーと組むのが大事
  • ⑥ライスワークとライフワーク、リスクとリターンのバランスをとる
    ★ライフワーク(報酬がなくてもやりたいこと)とライスワーク(生活のための収入を得る仕事)のポートフォリオを組んで、リスクとリターンのバランスをとる
  • ⑦問題提起に敏感になる
    ★非調和的なものを生活に取り入れる
    ★「問題解決のための時間」と「問題発見のための時間」のバランスをとる
  • ⑧問題にきちんと向き合う
    ★「Me We Now理論」で問題と向き合う(Me=自分はどんな問題を解決したいのか、We=同じ問題を抱く人を見渡す、Now=問題を今すぐ解決したいと強く想う)
  • ⑨階段のステップを小さくする
    ★毎日1%ずつでいいので、少しずつ新しいことや改善アクションに取り組んでみる
  • ⑩変化を前向きに受け入れる
    ★予想だにしない変化やアクシデントから気づきを得て、うまく乗りこなす

いかがでしたでしょうか。

この本の一番の魅力は、「尾原氏と山口氏の対談形式で進んでいくストーリー」です。

対話を通して、お互いの思考が深化していく様子を体感できる。

まさに知のエンターテイメントです。

個人的には、今流行りの「あつまれ どうぶつの森」や「フォートナイト」といったゲームが持つ意味合いについての議論が一番印象深かったです。

チームワーク、役割分担、リーダーシップとフォロワーシップ…これらの要素が詰まっているのがフォートナイトやスプラトゥーンなどのゲームだと捉える著者の視点には、思わず鳥肌が立ちました。

知のエンターテイメント、是非みなさんもお楽しみください。

学び

「良い問いを立てる力」の価値がより一層増してくる

本書を読んで改めて思い知らされたのが、「良い問いを立てる力の大切さ」です。

人を惹きつける「良い問い」を立てることができれば、物理的な距離など関係なく、仮想空間にたくさんの人が集まってきます。

仮想空間では、良い問いが立っている場所に、驚くほどたくさんの人が集まってきます。

問いの求心力とでもいいますか、兎にも角にも「問い」の重要性が、コロナ禍によってより一層増してきています。

 

では、良い問いとは何なのか?そして悪い問いとは何なのか?

やはりそれは、以下のように整理できるのではないでしょうか。

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「ワクワクしていて具体的な問い」

 こうした問いを考え抜く思考体力が求められているんだと思います。

※「良い問いと悪い問い」についての分析は以下の記事をご覧ください

「スジが良い問い」と「スジが悪い問い」を決めるのは何か? - BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

 

だからこそ、今年になって『問いのデザイン』『問いこそが答えだ!』などの本が出版され、注目を浴びているのだと思います。

※この2冊の解説は以下の記事をご覧ください

【1枚でわからない!?】『問いのデザイン』安斎 勇樹、塩瀬 隆之 - BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

【1枚でわかる】『問いこそが答えだ!』ハル・グレガーセン - BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

 

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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