BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。地元九州への隠居を細々と構想中。書評?感想?読書日記をロジカルに書いていきます。夢は大きく、「ビジネス書コンシェルジュ」になれるよう、頑張ります。

それ、本当に「要約」といえますか?

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(出典:https://unsplash.com/photos/VBPzRgd7gfc

最近「要約」と検索して出てくる記事を読んでいて、率直に抱いた感想。

「"はじめに"と第1章あたりの太字を抜き出しただけやん」

「本の全体像や骨子がわからん」

「要点同士の繋がりがわからん」

「その要点は、なぜ要点だといえるの?」

こんな疑問が次々と湧いてきます。

 

とはいえ、文句だけをいっていても仕方がないので、今度はその矛先を自分に向けてみます。

「じゃあ"要約"とはいったい何なのか?」と。

そんな問いについて、考えてみます。

 

要約の全体像

要約とは何なのか?

僕なりの結論を先にお示しします。

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順に説明いたします。

要約とは「要点」を「約」すること

まずは「要約」を分解します。

要約=要点×約する

「…なんだ、バカにしているのか?」と怒号が聞こえてきそうですね。

ただ、ここ、実は凄く重要です。

ポイントは「足し算(+)」ではなく「掛け算(×)」である点です。

「文章を短くすること=要約」は勘違い

まず、この勘違いを指摘する必要があります。

例えば、いくら簡潔に文字数や表現が「約」されていても、そこに「要点」が一切書かれていないとします。

「それっぽく、短く文章が抜き出してあるけど、、、それ本当に大事なの?」みたいな文章です。

そんなときは、得てして「要点」がスッポリ抜けてしまっています。

ハッキリ言います。

  • 要約=文章を短くすること
  • 要約=文章を抜き出すこと

…この考え方は勘違いです。「要点」が軽視され、文章を「約」することばかりに目が行っている。

「要点」を軽視している要約は、ただの「短くてスカスカの文章」です。無価値です。

まずはこのことを押さえておくべきでしょう。

「要点」を押さえきれないから、文章が長くなる

次に多いのは、「要約なのに、文章が長い」ケース。

おそらく、長~い要約の書き手は、「要点を取りこぼしてしまうこと」を恐れているのでしょう。

取りこぼしが心配で「あれも、これも」と、どんどん要約に盛り込んでしまうのです。

そうなると、要点が「約されていない」ので、「要約」とはいえませんね。

 

では、どうして「要点が約されていない、長~い文章」が出来上がるのか。

それは、要約の書き手が、「要点」を押さえきれていないからです。

どれが「要点」かわからないから、「あれも、これも」と拾ってしまう。捨てることができない。

逆に「要点」がわかっていれば、要点以外のものを捨てることができる。

この「捨てる・捨てない」の判断が、要約の善し悪しを決めます。

 

では、さっきから繰り返し、何度も何度も登場している、この「要点」とは何なのでしょうか?

要点は「問い」と「答え」と「根拠」で成り立っている

「要点」を分解すると、次のように言い表せます。

要点=問い×答え×根拠

各パーツについて説明します。

問い=筆者が一番白黒つけたいと思っている論点

「要点」を押さえる上で、一番外してはいけないのが、「問い」です。

  • 筆者が、自分が書いた本の中で、どの論点に答えを出したいと思っているか?
  • その本を通して、何を解き明かしたかったのか?

…これを明らかにするところから、「要約」はスタートします。

問いは、大体「はじめに」か「終わりに」に書いてある

「要約するためには、問いを最初に押さえる」

このポイントさえ意識できていれば大丈夫です。

「問い」を探す作業は、結構簡単だからです。

試しに「はじめに」か「終わりに」を読んでみてください。

そこに次の3パターンくらいの形で、問いが書いてあります。

  • 明確に「問い」の形で表現されているパターン
  • 「本書の目的は~すること」と書かれているパターン
  • 本を書くに至った「背景」が長々と書かれているパターン

例えば『人生が変わる最高の呼吸法』の「問い」を抽出しています。

表紙を読んでみると、こんな記述が見当たります。

本書の目的は、本来の正しい呼吸法を身につけて、一生続く健康を手に入れてもらうことだ。

本書で紹介している知識を身につけ、エクササイズを実際に行えば、数週間のうちに、健康状態がよくなり、体力がつき、運動パフォーマンスも向上するだろう。

あなたが運動には縁がない普通の人でも、必ず効果があると約束できる。

少ない努力で、大きな結果を出すことができるのだ。(表紙)

ありましたね、「本書の目的」。

これを「問い」の形に変換します。

「数週間のうちに、健康状態がよくなり、体力がつき、運動パフォーマンスが向上するための秘訣とは何か?」

…いかがでしょうか。5~10文字くらいいじるだけなので、意外と簡単ですね。

問いに対する「答え」を明らかにする

次にすべきことは「答え」探しです。

早速『人生が変わる最高の呼吸法』を使って探してみましょう。

 

問いはこれでした。

「数週間のうちに、健康状態がよくなり、体力がつき、運動パフォーマンスが向上するための秘訣とは何か?」

 

この答えを述べると、次の通りです。

「鼻呼吸に専念し、呼吸量を"減らす"べき」

 

どうやって探したか?

本のタイトルをベースにして探しました。

というのも、ビジネス書の場合は、「答えの在り方」は次のパターンに集約されるんですね。

  • 「本のタイトル」に書いてあるパターン
  • 「背表紙」に書いてあるパターン
  • 「はじめに」か「終わりに」に書いてあるパターン
  • 2章とか3章みたいに「中途半端」な位置に書いてあるパターン
    (最後のパターンは、まわりくどくて冗長な本が多いので、あまり良書といえないことが多いです)

根拠は「Why」と「How」で探す

ビジネス書にフォーカスすれば、「答えの根拠」を探す方法は次の2パターンしかありません。

  • なぜ必要か?…Why
  • どうやってやるのか?…How

また『人生が変わる最高の呼吸法』を例に取ってみます。

先ほど「鼻呼吸に専念し、呼吸量を"減らす"べき」が答えだと判明しましたね。

ですので、その根拠を探せばいいわけです。

 

まず「なぜ、鼻呼吸に専念し、呼吸量を"減らす"べきなのか?」について。

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次に「どうやって、鼻呼吸に専念し、呼吸量を"減らす"べきなのか?」について。

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これで、要点の最後のパーツ「根拠」が揃いましたね。

「問い」「答え」「根拠」をまとめてみる

要点を構成する3つのパーツ「問い」「答え」「根拠」が揃ったので、整理してみましょう。

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ここまでやって初めて「要点を押させることができた」といえます。

  • 本全体の構造(問い、答え、根拠の関係)を見抜いたうえで、要約を書いているのか。…①
  • それとも、ただ単に「本の太字周辺を抜き出したもの」を、要約として「並べただけ」なのか。…②

このポイントを意識したうえで、改めて「要約」と謳っている文章をご覧になってみてください。

おそらく、ほとんどが②の「要約もどき」だとわかるでしょう。

「約する」ためのコツ

「要点」を押さえることができましたので、やっと「約する」に移ることができますね。

思い切って「要点」に関係ないものは「捨てる」

まずは断捨離をしましょう。

「要点」に直接的に関連しないものは、思い切って捨ててしまいましょう。

  • 「面白い!」と思える実験結果やエピソードがあったとしても、「要点」と遠いものは捨てます。
  • 「書いても書かなくてもよいもの」も捨てます
  • 「書くかどうか、少しでも迷うもの」も捨てます

「捨てすぎでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫です。

先に述べた「要点」さえ押さえていれば、あとは捨てられる分、ドンドン捨ててしまいましょう。

「捨てすぎ」くらいの方が、丁度良いです。

文章を削る

最後は、文章レベルで削っていきます。

この辺りは、体系的な説明は「文章術」を語った本に譲ります。

ですので、個人的に意識している「3つの制限」をご紹介します。

①一文は80字以内、長くても120字以内

「~のため、~であり、~し、~する」みたいな文章、読みづらいですよね。

そうです。一文がとてつもなく長いんですよね。

 

「一文は80字以内にする」

こう心がけるだけでも、自ずと「無駄なことは書いてはいけない」「言葉のヒゲを取り除かねば」と意識が切り替わります。

②「しりてが」禁止
  • 「~し」
  • 「~であり」
  • 「~して」
  • 「~であるが」

こうした接続詞を使うと、文の論理構造が曖昧になります。

「並列なの?それとも順接なの?」

「それ逆説なの?」

読み手がこんな疑問を抱いてしまうからです。

使用禁止の接続詞を決めてしまうことで、文章はよりシャープになります。

③「~という」「こと/もの」禁止

これ、僕もつい使ってしまいがちです…

「本日は、『人生が変わる最高の呼吸法』という本をご紹介します」

「本日ご紹介する本は、『人生が変わる最高の呼吸法』です」

どっちが読みやすいですか?

おそらく後者かと思います。

 

「丁寧に挨拶することが大事」

「丁寧な挨拶が大事」

これも後者の方が短くて読みやすいですね。

 

「~という」「こと/もの」を禁止するだけで、文章がグンとシャープになります。

 

 

いかがでしたでしょうか。

この記事を読んで、「要約」の正体に一歩でも二歩でも近づけた人がいらっしゃれば、この上なく嬉しく思います。