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効率化できる人とできない人の3つの壁

(画像出典:https://unsplash.com/photos/pypeCEaJeZY)

コピー&ペーストをいまだに右クリックを使ってやっている。

Webページを別タブで開きたいときに右クリックを使っている。

Excelシートの右端に移動するために→ボタンを押しっぱなしにしたり、マウスでスクロールしたりしている。

スクリーンショットを取って切り取る作業を画像編集アプリを使ってやっている。

パワーポイントのクイックアクセスツールバーを知らずに作業している。

関数で集計すれば10秒で終わることを、1つひとつ数えながら計算して手打ちでExcelに入力している。


・・・これらの光景は、私からすると、本当に信じられないものばかりです。

しかし、いろんな場所で「え、このショートカットキー知らないの?」と思う場面がたくさんあります。

しかも、社会人経験がたくさんあるからといって、効率化の術を知っているとは限らないようで。

新卒1年目でバリバリ効率化できている人もいれば、中間管理職でいまだに効率の悪い仕事をしている人もいる。

不思議ですよね。

直感的には、社会人経験が長ければ長いほど、こなした業務量に比例して、効率や習熟度が上がりそうなものです。

しかし、そうはならない。

効率の悪い方法を、長年極めて習熟してしまっているケースがある。

いったいなぜ、こんなことが起きるのでしょうか?


先に結論を述べると、「効率化できる人」と「効率化できない人」の間には、3つの壁があります。

こんな感じです。

面倒くせーと思って、いったん立ち止まれるか?の壁

効率化できる人は、同じ作業を「面倒くさいな」「もっと効率化できないか」と疑うことができる

最初の壁は、「この作業、面倒くせーな」と思えるかどうかです。

3回同じ作業をやって「なんだこのクソ作業。もっと楽にできないの?」と思って、いったん手を止めることができる人。

この人は、面倒くささを解決できる方法に出会うチャンスを獲得できます。

例えば、パワーポイントの図形を複製したいときに、いちいち

  • 右クリックで「コピー」を押して
  • 右クリックで「貼り付け」を押す

みたいな作業をやっているときに、「うわ、面倒くさいな」と思える人は、もっと楽できる方法を調べるかと思います。

そして「Ctrl + C」「Ctrl + V」というショートカットキーに出会うことができます。

ただ、パワーポイントの図形を「Ctrl + C」「Ctrl + V」でコピペしていても、まだ面倒くさい。

そこで、いろいろ調べて「Ctrl + D」というショートカットキーに出会う。

・・・こんな感じで、「面倒だな」と思える人は、次々と効率化の術を手に入れていきます。

効率化できない人は、目の前の作業を片付けることを優先してしまう

一方で、何回同じ作業をやっていても、「まあこの仕事ってこういうもんだよね」と受け止めて、効率化を図らない人もいます。

なぜ、効率化を図らないのでしょうか?


1つは、そもそも「面倒くさいな」と思わないから。

でも、同じルーティン作業を繰り返していて、「楽しいな、効率いいな、面倒くさくも何ともないな」と思う人がどれくらいいるでしょうか。

心の踊らないルーティン作業をやっていると、多かれ少なかれ「はあ、面倒だな。早く帰ってビールでも飲みたいな」と思うほうが一般的でしょう。


では、なぜ「面倒くさいな」と思うのに、効率化しようとしないのか。

それは「目の前の作業を終わらせること」を優先してしまうからです。

「面倒だなー、もっといいやり方ないかなー」と思っても、他にも作業があるし、納期も迫っている。

それに、調べたところで、効率化の方法が見つかるとは限らない。今の作業は時間はかかるけど、時間さえかければ終えることができる。

だから、「面倒だけど、また今度落ち着いたときに、効率化の方法を勉強しよう」と思って、後回しにしてしまう。


・・・このように「タスクの引力」に引き寄せられて、効率化を疎かにしてないでしょうか。

よっぽどクソホワイトな職場でもない限り、「今度落ち着いたら」が実現することはありえません。

だいたいいつも忙しいわけです。


忙しいなかでも、面倒くせーと思ったら、いったん勇気をもって、立ち止まるべきです。

そして、3分とか10分でいいので、効率化の方法を調べましょう。

もしそこで効率化の方法と出会えたのであれば、3分とか10分なんて時間は即回収できます。

逆に、その3分の手間を惜しむと、効率の悪いやり方を一生続けるハメになります。


「面倒だと思ったときに、勇気をもって、作業の手を止めることができるか?」

これが1つ目のコツです。

効率化の方法が見つかるまで、言語化を繰り返せるか?の壁

効率化できる人は、ほしい情報を言語化できる

効率化がうまい人は、自分が調べたいことを言語化する力に長けています。

例えば、Excelの関数を調べるときに、

  • 複数の条件に当てはめて集計したいときに、「条件 複数 集計」と検索して、SUMIFS関数と出会う
  • "あいうえお:かきくけこ"の"かきくけこ"だけ抽出したいときに、「特定の文字列 右側 抽出」と検索して、RIGFTとFIND関数を組み合わせる方法と出会う
  • Excelの列の情報と行の情報を組み合わせて集計したいときに、「列 行 条件 集計」と検索して、SUMPRODUCT関数と出会う

と、自分がやりたいことを、Google先生が理解できる状態に言語化する力があるかどうか。

ここが、効率化方法と出会えるかどうかの分かれ道です。

効率化できない人は、ほしい情報が見つからずにすぐに諦めてしまう。結果、言語化力が身につかない

逆に、効率化が下手な人は、さっきの例にあげたような「言語化」ができません。

なんとなく頭の中に「こうできたらいいな」とイメージはできるものの、なかなか言葉にできない…


なぜ言語化できないか?

何も特別な理由はなく、ただ単に「言語化する訓練」が足りていないからです。

最初はどうしても、やりたいことが上手く言語化できずに、ほしい情報にたどり着けないものです。

Excel初心者のときは「列」とか「行」という概念にも不慣れですし、「文字列」なんて言葉も知らない状態ですからね。

だからいきなり「列 行 条件 集計」とか「特定の文字列 右側 抽出」なんて言葉は出てこないわけですよ。

それでも泥臭く「縦 横 組み合わせて計算」みたいな感じで、何とか自分が知っている言葉で、繰り返し表現してみる。

そうすると、ちょっとずつほしい情報にも出会えて、Excel用語もちょっとずつ覚えてきます。

「SUMIFS 応用」とか「SUMIFS できないこと」みたいに、ちょっと小難しい検索だってできるようになってきます。


繰り返しますが、初心者のうちは、そう簡単にほしい情報にたどり着けるわけがないんです。

近道はなくて、愚直に「自分が知っている言葉で、言語化してみる作業」を繰り返すしかありません。

これが2つ目のコツです。

いつでも引き出せる状態にできているか?の壁

この壁は、最初の2つと違って、そんなに大きな壁ではありません。

とはいえ、この壁にぶつかっている人をたまに見かけるので、少しふれておきます。

効率化できる人は、「忘れても、ググれば思い出せる」状態にしておける

効率化の方法といっても、毎日使うものもあれば、1か月とか3か月に1回しか使わないものもあります。

毎日使うものであれば、無意識に使える状態にしておくべきでしょう。

Excelの行追加、列追加、枠線、フォントなどなど、Altキーでたどり着ける機能は、6割くらいはショートカットキーで無意識に使えるくらいまで、洗練しておいたほうがいいです。


一方で、数か月に1回しか使わない技もあります。

例えば「SUMPRODUCT」「DATEIF」みたいな関数は、分析を本業にでもしてない限り、そう毎日使うものではありません。

そんな関数まで丸暗記するのは、正直無理ゲーです。

「一度使ったことあるし、どう調べればいいかわかる状態」くらいにしておけば十分です。

要は「いつでも引き出せる状態」になっていればOKなんです。

効率化できない人は、「忘れちゃダメだ、覚えなきゃ」ととにかく暗記に走り、情報の海に溺れる

逆に、「勉強熱心なのに、効率化がなかなかできない人」によくありがちなケースがあります。

それは「Excel関数大事典」とか「ショートカットキー100選」みたいな本に手を出してしまうケース。

・・・ぶっちゃけ、そんな100個もショートカットキーを本読んで覚えられるわけないじゃないですか。

「Ctrl + Dは、図形を等間隔で複製する」なんて言葉で暗記するのは世界史なみに難しいです。


それに、本だと検索性も低い。

さっきの「縦 横 組み合わせて計算」みたいな調べ方ができないので、ほしい情報にたどり着くために、ペラペラとページをめくらないといけない。

効率化したいはずなのに、どんどん効率化から遠ざかってしまう。


暗記に走ったり事典を買ったりするのではなく、「いつでも調べて引き出せる状態」を作っておくほうが効率的

これが3つ目のコツです。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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