まず先に結論を申し上げると、この本、100%の自信をもってオススメできます。
特に「タイパ主義だ」「早く一人前になって、あとは余力を残してコスパよく働きたい」と思っている人にピッタリの本です。
もう、間違いありません。
・・・と、かなり断定的に書いてしまいましたが、本書の正体を先に明らかにしておきましょう。
この本は、知る人ぞ知る隠れ名著『もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法』の復刻版です。
え、ご存知ない?読んだことない?
それもそのはずで、本書は2004年に発刊されて、しばらく廃刊になってたんですよね。
だから、本屋のどこを探しても見つけることはできません。
しかも、amazonで検索してみると、プレミア価格がついていて、私が購入したときは4000円くらいしました。
たいていの人は、「は?ただのビジネス書なのに4000円?絶対あやしいしょ」と思って、そっとamazonのページを閉じたはずです。
なので、知らない人が多いのも当然。
しかし、この『もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法』、コンサルティング界隈だと、知る人ぞ知る名著なんですよ。
私もコンサル時代の超優秀な同期から薦めてもらいましたが、「この本によって人生が変わった」と言っても過言ではありません。
「この本によって人生が変わった」なんていう、ありきたりな表現を本当は使いたくないんですけど、でも本当なので仕方ありません。
・・・その隠れ名著がなんと、約20年の時を経て、よみがえりました。
タイトルは『コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法』。
タイパ主義のご時世向けにタイトルがアレンジされていますが、その中身は10年前から全く色あせていない、普遍的な学びが詰まっています。
今回は、そんな本書の魅力を書きなぐっていければと。
『コンサル0年目の教科書』とは?
本書は、世界屈指のコンサルティングファームBCGでシニア・ヴァイス・プレジデント(ようわからんけど、本書によると年収1億くらいのポジション)まで務め、その後DI(ドリームインキュベータ)を設立して代表を担った方によって書かれた本です。
コンサルティングファームの世界を生き残った人の仕事術、ということで、さぞかしマッチョな仕事術が書かれている・・・と思いきや、実はそうではありません。
世の中には、ハタから見ると、さして苦労していないのに仕事がうまくいっている人と、苦労してなんとか回している人、それから仕事ができない人がいる。
誰でも、できるなら最初のグループに入りたいと考えるのは当然だ。しかし、多くの本は、二番目のグループで生き残るための精神論や手法に終結したものが多い。(1ページ) 本書のタイトルからもわかる通り、上述の「ハタから見ると、さして苦労していないのに仕事がうまくいっている人」のノウハウを伝えることで、読み手に「仕事をもっと早く、楽しいものにしてもらうこと」が目的といえるでしょう。(9ページ)
「ハタから見ると、さして苦労していないのに仕事がうまくいっている人」のノウハウ。
これが、本書のテーマです。
タイパ主義の方や、私みたいに「無理せずそこそこ稼ぎたい」と思っている人にとっては、喉から手が出るくらい欲しい情報でしょう。
では、そのノウハウとは何なのか?
本書から得られた学びを1枚にまとめてみました。
仕事は「コツ」で覚えることが大事(この「コツ」が実に奥深い)
本書のメッセージは「仕事は”コツ”で覚えなさい」というものです。
では、「コツ」とは何か?
それは「ここさえ押さえておけば、誰だって70点は取れるであろう、本質的かつ具体的なポイント」のことです。
本書は、コツについて、跳び箱を例にわかりやすく解説してくれます。
例えば、跳び箱を飛ぶときのアドバイスとして「もっと遠くから助走をつけなさい」「踏切の位置はここにしなさい」「手をついたときは肘を真っ直ぐにしなさい」など、具体的な方法をたくさん教わります。
ただ、筆者に言わせると、これらのノウハウは全て「コツ」ではありません。
跳び箱のコツ、それは「両腕で体重を支える感覚を覚えさせること」。
床に座り、両脚のあいだに両手をつき、両腕で身体をちょっと浮かせてみる。
この感覚さえ押さえれば、あっという間に跳び箱を飛べるようになるそうです。
たくさんのノウハウを五月雨式に試すよりも、たった1つの「コツ」さえ試せば70点が取れる。
これが、仕事を「コツ」で覚える最大の効用です。
では、どうすれば、仕事を「コツ」で覚えられるのか。そのヒントとして、本書では次の方程式が紹介されていました。
わかる=理解する×こなれる
「理解する」のほうは、ビジネス書などを読んで「ああ、こうなればいいのか」と理解した状態をさします。
ここまでは、さほど難易度は高くありません。
しかし、この状態では、まだ「わかっている状態」とは乖離があります。
となると、コツで覚えるヒントは、もう片方の「こなれる」に含まれていそうです。
本書を読み解くに、「こなれる」ためには、「見本となる人を観察し、観察して自分なりの気づきを得て、実践を繰り返して血肉にすること」が必要だと解釈しました。
例えば、説明がわかりやすい人を観察していると「全体から、結論から、短文に区切って話す」「大事なとこはゆっくり話す」の2点がコツなんだと見えてきたので、それを見よう見まねで真似し続けました。なんとなく見よう見まねを続けていると、次第に見本の人と同じような話し方になってきました。
これ以降は、見本を見つけては、とにかく真似しながら「コツ」を抽出するようになりました。
「今日はAの部分を真似してみよう」「今日はBの部分を真似してみよう」と、真似する箇所をずらしていくと、次第に「あ、この部分がうまくなればいいのか」と、コツに近づいていく。
そんな学び方をするようになって以降、仕事の吸収スピードが見違えるほど早くなりました。
しかしながら、感覚値としては、私はまだ本書で出てくる「コツ」について6割くらいしか理解できていないのではないかと思っています。
本書は、表現こそ簡易的なのですが、抽象度が高く、かみ砕いて血肉化するには、数年の時間がかかります。
この本の原版である『もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法』と出会って7年ほどたちますが、いまだに毎年1回は読み直す本です。
冒頭で申し上げたように、100%自信をもってオススメできる良書なので、ぜひ読んでみてください。
後悔させません。