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【要約・書評】『世界で一番やさしい資料作りの教科書』榊巻 亮

この本で解ける疑問は?

  • 「この資料、何が言いたいんだっけ?」と言われないためには?
  • 誰も教えてくれない「資料作りの原理原則」とは何なのか?

『世界で一番やさしい資料作りの教科書』って?

書店を見渡すと「資料の見た目やデザイン」に関する本は沢山ありますよね。

文章の書き方や表現の本も同様です。

…しかしですよ、「資料作りの本質」について語った本はどれくらい存在するでしょうか?

私が知る限り、この世に2冊しかありません。

 

1冊目は、もう何度もご紹介しているあの本です。

お分かりでしょうか。

そう、『ドキュメント・コミュニケーションの全体観』です。

 

そして2冊目が、今日ご紹介する『世界で一番やさしい資料作りの教科書』です。

「え、ここまで種明かししちゃっていいの?」と思うくらい、資料作りの原理原則が余すことなく記されています。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 資料作りは「相手にわかってもらって、動いてもらうため」に行う。
  • まずは「1枚ものの資料作りの3STEP」を押させておくとよい。
  • 「1枚ものの資料作り」STEP1は、キーメッセージを一番上に書くことである。これが最も重要である。キーメッセージとは「このスライドで一番言いたいこと」を意味する。このキーメッセージが主役だとすると、図表はただの脇役である。キーメッセージを明らかにするためには、次の3つの質問を投げかけるとよい。
    ★これはXXさんに見せる資料ですよね?
    ★結局、この資料で「XX」ってことが伝えたいんですよね?
    ★その結果、「XX」と言ってもらえればいいんですよね?
  • 「1枚もの資料作り」のSTEP2はボディ作り、STEP3は電子化で実際にパワーポイントに落としていく。
  • 次に、満を持して「伝わる資料作りの7STEP」を押さる必要がある。
    ①発散
    自分が話したいことを、思いつくままに書き出す
    ②主張と要望
    言いたいこと+相手にしてほしいことを一言で表現する
    ③相手の状態
    相手の状態・状況を明確にする
    ④シナリオ
    ①で出した情報をカテゴライズして構成を決める
    ⑤ラフスケッチ
    パワポのラフスケッチを書く
    ⑥電子化
    実際にパワポのスライドに落とし込む
    ⑦レビュー
    一晩寝かせて読み手の気持ちで読み返して修正する

いかがでしたでしょうか。

本書の最大の価値は、これらのエッセンスを「臨場感溢れる物語形式」で知ることができる点です。

主人公が苦労しつつも徐々に資料作りを覚えていくストーリーはグッと引き込まれます。

この本も『世界で一番やさしい会議の教科書』とセットで、全社会人に強くオススメしたい一冊です。

学び

極論すると、「言いたいことが伝わるなら、資料は必要ない」

目指すべき究極の形は、「資料が無くても、言いたいことが伝わるコミュニケーション」なんだと思いました。

どうしても「美しい資料を作ること」が目的になりがちな私にとって、これは大きな学びでした。

やっぱり、資料を作っていると「仕事をしている感」を感じて自己満足できるんですよね。

そんなマインドを根っこから叩き直してくれたのが、今日ご紹介した『世界で一番やさしい資料作りの教科書』でした。

 

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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