(画像出典:https://unsplash.com/photos/IgUR1iX0mqM)
新卒でコンサルティング会社に入社して、最初に配属されたプロジェクトの話なんですが、
なぜか「ひたすらプログラミングが求められるプロジェクト」に突っ込まれました。
プログラミングを1mmもやったことがなかったので、謎でしかない配属でした。
まあ、学生時代によっぽど特殊な経験をしたことがない限りは、最初にやる仕事は何でも初体験なわけですが…
それにしても、「プログラミングをやりなさい」と言われたときは、啞然としました。
別に「やりたいです」とも言ってないですし…
とはいえ、新卒はじめてのプロジェクトということで、気合を入れないわけにはいきません。
わずか3ヶ月でしたが、手を抜くことなく、プログラミングに励みました。
そこで、いろんな方にお世話になったわけですが、ありがたいことに
「君、飲み込みが早いね」
「いろいろ嚙みついてくるから、何か教えがいがあるわw」
と言っていただくシーンがありました。(2個目のセリフは嫌味でしょうけど)
あと、プロジェクトの成績も、未経験の分野にしては、割と良い評価をいただきました。
「教わり力」とは
年末年始ということで、これまでのキャリアを棚卸していたところ、ふと、先ほどのプロジェクトを思い出しました。
あのとき苦労して学んだプログラミングスキルや知識は、今では全部忘れちゃいました(笑)
ただ、そんな中でも、あのプロジェクトで確実に学んだものがあります。
それは「教わり力」です。
要は「自分が知らないものについて、他人様の貴重な時間を割いていただいて、教えを乞う力」ですね。
この「教わり力」を特に言語化せずに放置していたので、この機に、備忘録がてら綴っておこうかと思います。
「教わり力」を高める5つの行動
では、具体的に何をすれば「教わり力」を高めることができるか?
超絶優秀な上司に教わったことや、私なりに試してみて効果があったことを、5つ紹介します。
①10分調べてわからなければ、人に聞く
「周りの人の時間を無駄にしてはいけない」と気を使い過ぎて、なかなか人に聞けない。
そんな方も少なくないと思います。
あるいは、少し厳しい職場だと、上司に質問したとしても
「ちゃんと自分で考えた?」
と突っぱねられるシーンもありますよね。
ただ、未経験の分野について、自力で何でもかんでも調べようとしても、ロクなことにはなりません。
よっぽど「独学力」のある人や天才肌の人であれば、自分で調べればどうにかなるんでしょうが。
でも私みたいな凡人が10分使ってGoogle検索しても、手元の本を読んでもわかんないことは、
1時間かけようが1日かけようが、わからないままなんですよね。
・・・ゆとり世代で、ほんとごめんなさい。
そんなときは、もう割り切りましょう。
10分調べてわからなければ、人に聞く。
これをルールにしてしまいましょう。
そう書くと、「え、10分調べただけで、人に聞くの?それだと怒られない?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
大丈夫です。
以前の上司に「部下から"教えて?"と聞かれるの、正直面倒じゃないですか?」と聞いたことがあります。
そのときに、こんな回答をいただきました。
***
「確かに、こっちが作業に集中しているときに、"教えて?"と言われると、面倒くさいと感じる場面もある。"それくらい自分で調べて考えろよ"と突っぱねたくなる気持ちもあるにはある」
「ただ、聞かれる面倒くささよりも、"長時間、部下の仕事が前に進んでいないこと"のほうが、よっぽど迷惑なんだよね」
「だから、わからない点はすぐに聞いてもらった方が助かる。まあ、3ヶ月たっても同じ態度だと困るんだけどね(笑)」
***
10分調べてわからなければ、人に聞く。
これは、部下のためでもあり、上司のためのルールでもある。
このことを最初のプロジェクトで教わることができて、本当に良かったと思います。
②とはいえ、相手の時間を"超大事"にすること
じゃあ、こちらが聞きたいタイミングで、ぽんぽん聞けばよいかというと、そういうわけではありません。
これも、以前の上司から教わったことですが
「質問するということは、相手の貴重な時間を奪うこと。相手が偉い人であればあるほど、1分あたりの価値は高い」
「教える人が、教えやすい時間を確保すること・・・それが"教わる側"の責任である」
こんなことを言われました。
ただ、これが結構難しいんですよね。
「これ、聞かなきゃわかんないなー」と思ったことが出てきたら、まずは上司のGoogleカレンダーを見る。
そして、最低限「大事な会議の前後」は避けて、質問する時間をカレンダーに登録する。
・・・だけだと、50点なんですよ。
そもそも「これ、聞かなきゃわかんないなー」と思ってから、カレンダーを見るのでは、遅い。
「たぶん1週間後のこのタスクで、○○と✕✕について不明点が出てくるだろうな」と常に先回りしながら、質問する時間を確保していく。
このレベルで考えなさい・・・と教わったことがあります。
常にこのレベルで行動するのは難しいのですが、最低限「意識だけでもしておくこと」はできるかもしれません。
③可能な限り、質問を「具体的」にしておく
これも、教わる側のマナーかもしれませんね。
ざっくり「〇〇について教えてくれませんか?」と聞かれると、
聞かれた側としては「学校じゃないんだから、少しは自分で考えてこい!」と怒鳴りたくなります。
一方で「〇〇について、XXまでは理解できたのですが、△△のところでつまづいています。△△の突破法を教えてもらえますか?」と質問されると、どうでしょう。
聞かれる側からすると、△△についてだけ答えればいいので、教える時間が短くて済みます。
それに、「質問をここまで具体的にしてくれているし、ちゃんと学ぶ意欲があるんだな」と、好意的な印象を与えることもできます。
特に、「こいつは、学ぶ意欲がめちゃくちゃ高いな」と思ってもらうことは、本当に大事だなと。
こういう印象付けができていれば、たとえ質問の仕方が下手であっても、
「しょうがないな、教えてやるよ」と、手を差し伸べてもらいやすくなります。
④自分の理解が合っているかを確かめる
上司や先輩に何かを教えてもらったあとは、必ず、自分の理解が合っているかを確かめましょう。
「今教えていただいたことは、〇〇という理解で合っていますか?」
「この仕事は、△△のあとに、✕✕を行う、という進め方でよろしかったでしょうか?」
こんな感じですね。
この行為には、2つの目的があります。
1つ目は、自分の言葉で言語化することで、理解度を高めること。
2つ目は、自分の理解が合っているかを確認し、間違っている場合はその場で正してもらうこと。
特に2つ目については、教わる側だけでなく、「教える側」にとっても大事なことです。
教える側からすると、「ちゃんと教えた通りに、相手が動いてくれるかどうか」は重要です。
仮に、意図したとおりに動いてくれなかった場合、教えた時間が無駄になります。
⑤成果報告をする
仕事を教えてくれた人には、「教わった結果、どんな成果を出すことができたか?」をきちんと伝えるようにする。
これも、忘れずにやっておきたいですね。
もちろん、教えてくれた人への「礼儀」という側面もありますが、それだけじゃありません。
コロンビア大学の心理学者の本『人に頼む技術』に、次の記述がありました。
助けを求める人が心に留めておくべき三つの「人を動かす力」の三番目は「有効性」。人は自分が誰かを助けたことが変化を起こしたという手応えを得たいのだ。
自分がしたことで何の影響も生じていないという感覚があると、やる気が失われる。有効性を長期間感じられない状況が続くと、疾患レベルの無力感やうつ病につながることがある。
人を助ける場面でも、有効性への欲求(助けたことで起きた影響を確認したい)は、助けることへの動機を持続させ、心理的報酬を享受するために欠かせない原動力になる。
『人に頼む技術』p220
教えてくれた人が、「有効性(自分が教えた結果、どんな影響をもたらしたか)」を実感できること。
それが、教えてくれた人の心の健康にも繋がります。
少し嫌らしい表現をすると、教えてくれた人の「有効性への欲求」を満たしてあげることで、継続的に教えてもらえる関係性を築くことができる。
だから、何かを教えてくれた人には、「その人に教わったことで、自分にどんな影響があったか」を確実に伝えることが大切です。
まとめ
以上、未経験の仕事に直面したときのための「教わり力」について紹介しました。
具体的には、次の5つの行動が大事になってきます。
- 10分調べてわからなければ、人に聞くこと
- とはいえ、相手の時間を"超大事"にすること
- 可能な限り、質問を「具体的」にしておくこと
- 自分の理解が合っているかを確かめること
- 成果報告をすること
・・・言われてみれば、当たり前なことが多い気もしますが、
何だかんだ「当たり前を高いレベルで継続できるやつ」が最強説ってのもありますよね。
2022年も、「ABC=A:当たり前を、B:バカにせず、C:ちゃんとやる」を大切に、過ごしていければと思います。