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こちらが思っているスピード感で、相手が動いてくれない。
よく相手に「これ、どういうこと?」と聞き返されてしまう。
相手のアウトプットが、こちらの期待値とズレている。
こういったことが起きる原因には、いろいろなパターンがあって、一概に「これが一番の原因です」と言い切るのは難しいでしょう。
しかし、高松さんの『変える技術、考える技術』にインスパイアされまして、あえて原因を1つだけ挙げるとするならば・・・
それは、対人関係における「想像力の欠如」なんだろうなと。
ちなみに、↓の本です。めちゃくちゃオススメです。
読んで感動しすぎたので、勢い余ってこんな記事も寄稿してます。
そんなこんなで、「想像力」なるワードについて考えを巡らす日々を過ごしてましたので、少し思いをシェアできればと。
ところで、想像力とは何ぞや
まずは、想像力について、認識を合わせておきましょう。
Wikipediaによると、次の定義みたいです。
想像力は心的な像、感覚や概念を、それらが視力、聴力または他の感覚を通して認められないときに作り出す能力である。
Wikipedia
この定義、ちょっと難易度高めですね。
まあ、想像の対象をどれにするかによって、少しニュアンスも変わってきそうです。
今回は「仕事の場において、相手に依頼しても上手く動いてもらえない問題」を取り扱うので、
「対人関係における想像力」にスコープを絞ってみます。
対人関係における想像力。
賛否あるでしょうが、私は次のように表現できると考えます。
想像力とは「自分以外のあらゆる人間の視点に立って、物事を見つめる力」だと。
ただ、この定義だと、まだ少し抽象度が高い。
そこで、「想像力があるとは、具体的にどういうことなのか」を、事例を使いながら考えてみましょう。
想像力を働かせるためには、「自分以外の視点に立つ」必要がありますから、
依頼される側の立場に立って、「こういう依頼をされて困るよな」と思える例をピックアップしてみます。
想像力が欠如した依頼方法たち
①期限を明記せずに、依頼をする
業務依頼に、期限が書かれていない。
これは、2つの観点で、イケていないなと思います。
第一に、相手に余計なコストを発生させるので、あまり「相手の気持ちを考えた依頼」とはいえません。
期限が書かれていないと、頼まれた方はわざわざ「いつまでに対応すればいいでしょうか?」と聞き返さないといけない。
好きな人とのLINEとかではない限り、やりとりが一往復増えるのって、意外とストレスなんですよね。
相手に余計な時間と労力を使わせないためにも、期限を明記する。これを基本動作としたいものです。
第二に、期限を書かないのは、一種の「責任放棄」だからです。
期限を書かないということは、優先順位や納期の判断を「依頼した相手に委ねる」ということです。
仕事を依頼するのであれば、単に「依頼して終わり」ではなく、「期待通りの品質と納期で、相手に仕上げてもらう」ところまで責任を持つ。
それが「期限を設定する」という行為が意味するところではないでしょうか。
②相手のカレンダーを見ないで、依頼する
休みの日に依頼が飛んでくる。
休みの日が期限になっている。
これも、何度か経験したことある方がいらっしゃるんじゃないでしょうか。
社外の人とのやりとりであれば、しょうがない部分もあるのかもしれません。
相手がいつ休みを取っているか、わからないことも多いですからね。
ただ、社内の人に何かを依頼するのであれば、「依頼する相手のGoogleカレンダーを覗いてみる」くらいの配慮はしたいものです。
この作業だけであれば、30秒もかかりません。
この30秒をサボって、とりあえずこちら側の都合で、相手に依頼を投げる。
すると相手に「大変申し訳ありませんが、この日は休みです」と言わせてしまうことになる。
もっと言うと、「休みの日にも、いつ依頼が飛んでくるかわからない」という恐怖心を抱かせ、
休日中もずっとメールやら社内チャットに気を取られてしまうことにもなりかねません。
まずは、相手のカレンダーを見る。これが、相手を想像するための第一歩です。
③超長文or超短文で、依頼する
本当は3行で済むような情報を、10行20行にわたって書いて依頼する。
その結果、相手に、文章を読む手間を余計に与えてしまう。
もしくは、1行くらいで「とりあえず、この業務をやってください」と指示する。
指示された相手は、「なぜやればよいのか、何をやればいいのか、よくわからない」と混乱する。
これも、想像力に欠けた依頼の仕方でしょう。
なぜ、超長文or超短文の依頼が生まれてしまうのか。
大きくは、2つ理由があります。
- 相手が持っている情報量を想像できていない
- 相手がどんな立場(部署や役職)に置かれている人か、知らないし、考えようともしない
- 相手はふだんどんな仕事をしているのか、知らないし、考えようともしない
- 相手が知りたいことではなく、自分が伝えたいことしか頭にない
こういった想像力の欠如が、認識の齟齬、作業の手戻りなんかを発生させます。
要注意ですね。
④見た目や読みやすさに、ひと手間かけずに、依頼する
文章の「見た目」に注意を払わない人もまた、想像力に欠けているなと思います。
例えば、次の文章。
***
「本の読み方セミナー」というイベントですが、Twitterとメルマガ施策が効いたので、現在100人ほど集客できているので、目標進捗は順調ということかと思います。
ただし、今後の伸び悩みの可能性を考慮すると、あと数本は集客施策を増やした方がいいと思いますので、マーケティング部門と連携したく、マーケティング部門からアサインできそうな人をを教えてもらえますでしょうか。
***
どうでしょう。
最後まで文章を読まないと、何をすればいいかがわかりませんよね。
これも、読み手に無駄な時間を過ごさせてしまっています。
では、次の書き方はどうでしょう。
***
- 背景
- 「本の読み方セミナー」というイベントですが、Twitterとメルマガ施策が効いたので、現在100人ほど集客できているので、目標進捗は順調
- ただし、今後の伸び悩みの可能性を考慮すると、あと数本は集客施策を増やした方がいい
- 集客施策を考えるうえで、マーケティング部門とのミーティングを設定したい
- お願いしたいこと
- マーケティング部門の中から、集客施策を担当する人をアサインいただきたい
***
どこに何が書いてあるか、読まずとも「見れば」わかりますよね。
「相手にとって、見やすい文章を書く」
これも、想像力の1つです。
結局、想像力を働かせるには、何をすればいいのか
想像力とは「自分以外のあらゆる人間の視点に立って、物事を見つめる力」のこと。
これを実践するためには、何をすればよいのか?
別に即効薬があるわけではないですが・・・
例えば、人に依頼する前に、次の努力はできるはずです。
- 依頼するときは、必ず期限をそえる
- 相手の予定を把握するために、カレンダーツールを覗いてみる。あるいは、社内ツールがオンラインになっているかを確認する
- 相手が普段どんな業務を行っているか、思い浮かべてみる
- 「自分が書いた文章で、本当に相手は動くことができるだろうか」「自分だったら、この指示内容で動けるだろうか」と、一度立ち止まって読み返してみる
- 「自分が書きたいことではなく、相手が知りたいことを書けているか」と、自問自答する
- 自分と相手の権限やパワーバランスを考えたときに、本当にこの言い回しでよいのかを考える
- 「相手はこの用語を知っているだろうか」と、相手の目線で文章をチェックする(IT用語や社内用語は特に)
毎回全部やるのは難しいと思います。
しかし、どれかしら意識するだけでも、自然と「相手の視点に立って考えよう」という姿勢に切り替わります。
こういった努力の積み重ねこそが、まさに「愛と想像力」なんでしょうね。
p.s.「愛と想像力」というキーワードが気になった方は、以下の記事も是非ご覧ください。