おすすめ スキルセット ナレッジセット マインドセット 書評 独断MVP

【1万字】20代のうちに絶対読んでおいたほうがいいビジネス書12冊

先日、次のようなツイートをしたところ、それなりに反響がありました。

個別にも何人かから「本のレビューをもっと詳しく」とリクエストいただいたので、記事にまとめてみようかと。

なんで、この12冊なのか?

では早速本の紹介に・・・と行きたいところですが、
「なんで、この12冊?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと。

オススメ本の選定基準

そこで、まずは「オススメ本の選定基準」について認識を揃えておきましょう。
すでに読んだことある方は、読み飛ばしていただいて問題ございません。
では、私なりの「オススメ本の選定基準」とは何か?

それは「わかりやすさ×深さ」のモノサシです。

わかりやすさを測るためには、以下の2点をチェックしていきます。

  • 本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
  • 中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?

一方の深さを測るためには、以下の3つのツッコミに耐えうるかをチェックします。

  • 他の本に無い「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)
  • 主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?(Why so?)
  • 明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?(How?)

当然この2点では、Amazonをサーフィンしていてもわからないので、
1冊1冊書店でパラパラ読みしながら、選別しております。

以上の「オススメ本の選定基準」は、拙著『投資としての読書』でも詳しく解説しています。
よろしければ、ご一読いただけると、とてもとても嬉しく思います。
もう一度いいます。ぜひ、読んでください。(しつこい)

20代に読んだ1500冊のなかから、未だに本棚に置いている12冊

そうやって、20代は1500冊以上のビジネス書を読み漁りました。
ほとんどはメルカリなりブックオフに売ってしまいましたが、
未だに本棚やKindleに生き残っている本があります。
それらの本は、繰り返し何度も読み直している本なわけですが、どれも素晴らしい本でして。

外資コンサル時代に先輩に教えてもらった本もあれば、MBAの教授に教えてもらった本もあります。
これらの本を、自分だけにとどめておくのも勿体ない。
なので、今回思い切って12冊とも公開することいたしました。

いずれも自信をもって「超良書」と言い切れます。
なので安心して読んでみてください。

『もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法』

この本は、私に「仕事の学び方」を教えてくれた本です。

仕事はコツで覚える。
コツとは「ここさえ押さえておけば、誰だって70点は取れるであろう、本質的かつ具体的なポイント」のこと。
この「コツ」をテーマに、「ハタから見ると、さして苦労していないのに仕事が上手くいっている人の秘密」を教えてくれます。

では、コツとは具体的にどのようなものか?
筆者は跳び箱を例に説明してくれます。

例えば、跳び箱を飛ぶときのアドバイスとして「もっと遠くから助走をつけなさい」「踏切の位置はここにしなさい」「手をついたときは肘を真っ直ぐにしなさい」など、具体的な方法をたくさん教わります。
しかし、筆者に言わせると、これらのノウハウは全て「コツ」ではありません。

跳び箱のコツ、それは「両腕で体重を支える感覚を覚えさせること」なんです。
床に座り、両脚のあいだに両手をつき、両腕で身体をちょっと浮かせてみる。この感覚さえ押さえれば、あっという間に跳び箱を飛べるようになるそうです。

たくさんのノウハウを五月雨式に試すよりも、たった1つの「コツ」さえ試せば70点が取れる。これが、仕事を「コツ」で覚える最大の効用です。

では、どうすれば、仕事を「コツ」で覚えられるのか?
そのヒントが、本書には散りばめられています。
仕事をコツで学ぶ方法。この方法は早く知っておけば知っておくほど、リターンを享受できる期間も長くなります。

Amazonで見る

『問題解決の全体観 上下巻』

20代で必ずといっていいほど手に取る本の一つ。
それは「問題解決」の本でしょう。

しかし、問題解決の本は無数に存在します。
Amazonで「問題解決」と調べると10000件以上ヒットします。
いったい、どの本を読めばいいのやら・・・

ちなみに、私も100冊近く問題解決系の本を読みました。
そのなかで、一番オススメの本を特別にお教えしましょう。

問題解決の全体観』です。

たぶん、知らない人のほうが多いはず。
私自身、何100回以上は書店に足を運ぶのですが、一度もこの本が置いてあるところを見たことないんですよね。
なので、Amazonで買うしか、ほぼ手に入れる手段がない。これが、イマイチな点1つ目。

もう1つのイマイチな点は、上下巻に分かれているあげく、1冊あたり3000円もする点。

・・・しかし、これらのハンデをチャラにする、というか、これらのハンデが一切気にならないくらい有益な本でもあります。

では、どのあたりが、特に素晴らしい本なのか。
いくつかあるのですが、1つは、タイトル通り「問題解決の全体観」をつかめる点です。

巷の問題解決本を開くと、たしかに「MECE」「ロジックツリー」「フレームワーク」「仮説志向」などの思考ツールの使い方が丁寧に解説されています。しかし、問題解決に必要な「頭の使い方」「心構え」「進め方」をすべて網羅した本は、『問題解決の全体観』シリーズくらいじゃないでしょうか。

具体的には「問題にはどんな種類があるか?」「問題を解くためにはどんなプロセスで考えればよいか」「MECE・ロジックツリー・フレームワーク・仮説志向の出番はいつなのか?」「問題解決を進めるうえでの心構え(作業と仕事の違いなど、本質的な心構えまで)は何か?」「実務で問題を解決するときは、どんな進め方をすればよいか?誰をどんな順番で説得するのか?」など、問題解決に関わる論点がすべて網羅されています。問題解決本があまり出回っていなかった2008年時点で出版された点を踏まえると、驚きを隠せません。

他にも、いくつも魅力がありすぎるのですが・・・
百聞は一見に如かず。まず騙されたと思って、上巻だけ読んでみてください。
たぶんというか確実に、下巻を読みたくなります。
そして、二度と問題解決の本を買わなくて済むようになるはず。

Amazonで見る

『アイデアのつくり方』

『アイデアのつくり方』は、MBAに通っているときに予習で行き詰ったときや、コンテンツ作りの仕事が増えてきたときに大いに助けてくれた本です。

本書の驚くべきところは、著者のジェームス氏が書いたページ数はまえがきも含めてわずか50ページ前後である点です。
しかし、その50ページには、アイデアを生み出すための本質だけが無駄なく凝縮されています。

まず本書では、アイデアをつくる原理が2つ書かれています。
第一に、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせであるということ。
第二に、新しい組み合わせを作り出す才能は事物の関連性を見つけ出す力に依存するということ。

今となっては、1つ目の話はイノベーションの方法論として、2つ目の話も「アナロジー思考」という名前で、世の中で大活躍しています。
しかし、この本がアメリカで刊行されたのは1940年のタイミングです。この時点で、アイデアづくりの本質を見抜いている点に驚きを隠せません。

詳しくは本書をご覧いただきたいのですが、この本で語られている発想法は、以下の流れで定義されています。

  1. 資料を収集する
  2. 資料をかみ砕く
  3. 絶望状態に陥る
  4. 問題を全て放棄する
  5. アイデアが訪れる
  6. アイデアを現実に連れ出す

このうち、最も私に影響を与えたのが、「問題を全て放棄する」という行為。
行き詰るところまで考え込んで、いったんその問題を手放してみる。
そして、サウナに行って、リラックスして、ぐっすり寝る。
その間に、無意識が勝手に情報を整理してくれる。
翌朝、風呂掃除をしてからシャワーを浴びていると、ふとアイデアが降ってくる
・・・みたいなことが、本当に起きました。

それ以降、この本は私にとって、発想法のバイブルとなりました。
「ウソでしょ」と思う方、一度この本を読んでみてください。
そして、素直に書かれていることを試してみてください。
最初は、問題を手放すのが怖くて仕方ないと思います。
しかし、それでも勇気をもって、実践してみると、いつもと違う発想が浮かぶはずです。

Amazonで見る

『仕事の教科書』

本書を読み終えたときの最初の感想は・・・「この本、誰にも教えたくないな」でした。
それくらい「こんな方法論まで種を明かしていいの?」と思える仕事術がたくさん記されていました。

本書には、ざっくり次のような仕事術が記されています。以下は、私の読書メモです。

中でも、印象的だった学びはこちら。

仕事の速さは「着手するタイミングがどれだけ早いか」で決まる。

これまで私は、仕事を速くするためには、「なるべく最短距離で仕事をする」か「処理速度を格段に上げる」か、2通りで考えていました。

まず、「なるべく最短距離で仕事をする」について。
これは、目的から逆算して最短の段取りを組む、という意味です。
ただ、この方法は、経験値に依存する部分もあるので、若手や転職したてのときなんかに実践するのは、なかなか難しい。

次に、「処理速度を格段に上げる」について。
これは、ショートカットキーや便利な関数・ツールをとにかく習得しまくる、というアプローチです。
私はこのアプローチで、仕事が速くなった気でいました。

 

で、本題はここから。

今回の『仕事の教科書』が教えてくれたのは、「仕事に着手するタイミングを、とにかく早めなさい」ということ。
そのためにも、

  • 「すぐやる」「すぐ出す」「すぐ答える」
  • 作業を振られたら、0.01秒でもいいので、いったん着手する

これは、意外と盲点でした。
確かに、すぐに着手すれば、すぐにその作業の難所にも気づくことができる。
難所に早く気付ければ、ヘルプも早いタイミングで出すことができる。
ヘルプを早く出せれば、そのぶん早くヒントを得ることができる。
・・・いいことづくしです。

つい「処理速度」ばかりに速くしようとしていましたが、それよりも「タイミング」を早めたほうが、スジが良い。
これは、仕事を速くするために、一番簡単かつ効果的なコツかもしれません。

このように、「ハッ」とさせられるエッセンスがギュッと詰まっている、まさにタイトルどおり「仕事の教科書」です。
「もっと早く出版してほしかった」と強く思った一冊でした。

Amazonで見る

『世界で一番やさしい会議の教科書』

20代、というよりは、もはや全社会人の必読書にしたい。
それだけで、日本の生産性が2倍くらいになるんじゃないか。
・・・と思わせてくれるくらい、「効率的な会議術」についてこれ以上なく深くわかりやすく教えてくれる本がこちら。

本書は、会議について「準備」「導入」「進行」「まとめ」の4段階で語っています。
「準備」ひとつとっても、たっくさん学びがありまして。

f:id:logichan:20200626233221p:plain

  • Purposeでは、会議の終了条件を具体的に定義する必要がある。「どういう状態になったら"会議終了!"と言えるのか?」を言語化する。例えば「〇〇についての解決策が洗い出されていて、優先度・担当者・期日まで決まっている状態」など。
  • Peopleでは、「終了条件を満たすために必要な参加者は誰なのか?」を過不足なく洗い出す必要がある。参加者は多すぎると「内職者」が増え、少なすぎると「○○さんがいないから決められないね」とグダグダになる。
  • Process/Propertyでは、「議題(終了条件に向けて何を議論するのか?)」「議論の進め方(具体的にどう議論を進めるのか?)」「必要なモノ(何を用意しておくか?)」「時間配分」を事前に考案しておくとスムーズに進む。

とりあえず、「会議の終了条件を確認する」という方法を実践してみるだけでも、効果絶大です。
私も同僚に本書をオススメしましたが、読んだ人が運営している会議は、いずれも議事録がちゃんと用意され、議事録の冒頭には「会議の終了条件、会議での決定事項、ToDo」がまとまるようになりました。

この本には、個人のスキル、そして組織の会議を確実に変える力があります。
「んなアホな」と思った方、第1章の途中まででいいので、本屋で立ち読みしてみてください。

たぶん、その30秒後にはレジに並んでいるはずです。

Amazonで見る

『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』

この本は、間違って2回買ってしまうくらいいい本です。

この本については、先日6000字に渡って語りつくしたので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【要約・書評】コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト

「コンサルの3年間は、事業会社の10年間に匹敵する」 それくらいの濃さがあるコンサルの世界。 この世界に入りたてのころは、一挙手一投足について、膨大なフィードバックをもらうことになります。 「結論から ...

続きを見る

・・・というのは、あまりに素っ気ないですね。

本書には、104の濃い技術が詰まっております。
1つひとつがプラクティカルかつコミカルで、読み応え抜群です。

しかし、一番印象に残った技術を1つあえて選ぶとすると「議事録進化論」のところ。
この議事録進化論には、本書で語られている「たかが構造化vsされど構造化」「TASKバカより論点バカ」などの技術が凝縮されております。
104個の技術のなかで、議事録進化論の記載が一番長いので、それくらい筆者も気にしているテーマなのでしょう。

議事録を制すものが、仕事を制す。
まずは、議事録のページを開いてみてください。
あまりの解像度の高さにビックリするはずです。

Amazonで見る

『転職の思考法』

この本では、自分にとって「一生食える」会社や仕事を確保するための判断基準が、4つのSTEPに分けて紹介されています。

  • STEP1:自分の「マーケットバリュー」を測る
  • STEP2:今の仕事の「寿命」を知る
  • STEP3:強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットする
  • STEP4:伸びる市場の中で、ベストな会社を見極める

この1つひとつのSTEPについて、深い深い、本質的な議論を展開しています。

例えば、STEP1にて、筆者は「マーケットバリュー=技術資産×人的資産×業界の生産性」という、非常にシンプルな方程式を提唱しています。
「技術資産」「人的資産」「業界の生産性」、この1つひとつに深い意味が込められています。
しかも、これらの議論を「物語形式」で展開しているのも、本書ならではの付加価値といえるでしょう。

ちなみに、私もこの本を読んで、転職しました。
それくらい、人を動かすパワーと説得力を秘めた本がこちらです。

Amazonで見る

『苦しかったときの話をしようか』

本書の内容をかいつまむと、以下のようなことが書かれています。

  • 学校では教えてくれないが、実は人間は、みんな違って、極めて不平等である。そんな我々は、「欲」を本質とし、「競争」を構造とする「資本主義」の世界の中で生きている。だからこそ、「周りとの違い=ユニークな特徴=強み」にいち早く気付き、強みを「稼げる職能」にまで育て上げることが大事。
    自分がナスビかキュウリなのかに早く気付き、ナスビならナスビとして育っていくことに集中すべし。

  • 強みに気付くには、自分が「Thinking型」「Communication型」「Leadership型」のどれに当てはまるのかを分析してみるとよい。

  • 強みがわかったら、その強みを集中的に使って生きていけるよう、普段から「自分をマーケティング」しておくとよい。マーケティングのフレームワークに沿って、周囲の関係者に、自分のキャラクターを徹底的に認知させる。

  • それでも苦しくなるときがある。そんなときは、「ナスビはキュウリにはなれない。ナスビとして育つしかないんだ」と原点に立ち返ってほしい。

つまり、「自分がナスビであることに気づき、ナスビとして育つことにこだわれ。無理してキュウリになろうとするな」という一言に集約されるかと。

よく「向き不向きより前向き」とか「弱みを克服しなさい」という言葉がありますが、あんなものは愚論でしかなくて。
弱みに集中投資しても、他人より優れた強みになることなんて、まずない。
であれば、強みを徹底して磨くべきである。

そんなシンプルな原理原則で、私たちの背中を押してくれる本。
それが、本書の魅力の一つでしょう。

そして、この本のもう1つの魅力。
それは、心にグサグサと突き刺さってくる浸透力です。
本書は、元々、筆者の娘さんに向けて書かれた手紙だったそうです。
その手紙が、ビジネス書になったのがこの本。
しかし、まるで自分に向けて書かれたかの如く、心にしみわたってくる。
これもまた、本書が持っている大きな大きな魅力であります。

Amazonで見る

『リーダーシップに出会う瞬間』

「リーダーになんて、〇んでもなりたくない」と思う人(つまり私)に一番オススメしたいのが、この本。

本書はストーリー形式で書かれていますが、とにかく現場感が緻密に描写されています。
ストーリーの主人公である青木さんは、ある日、係長への昇進を打診されます。
青木さんの反応はというと「ありがとうございます。喜んで」ではなく「困ったな」でした。
管理職になれば責任も重くなるし、目上の人にも指示を出すシーンも出てくる。重大な意思決定ばかり求められ、社内調整に追われて部門間や上下間で板挟みになる。
誰もが抱くであろう「リーダーになることへの不安」を非常にリアルに表現しています。

だからこそ、100%感情移入できること間違いなしの一冊。

そんな本書の概要をかいつまむと、以下のとおり、

  • リーダーシップとは「影響力」のことで、4つの段階が存在する。
  • 第一段階は「エゴリーダー」。まず、他者のことは、自己の欲求を満たすための道具・手段としか思っていない。また、弱肉強食の価値観の持ち主である。このリーダーを経て、「自分の思いを押し通す推進力」「はっきりと発言する力」「譲らない強い意志」を養うことができる。(第一段階から第二段階に進むためには、「他者から見た自分の姿を認識できる」「自分の行動の起点が"保身"からなのか"願い"からなのかに気づく」などの変化を経る必要がある。)
  • 第二段階は「八方美人」。他者のことを、自己イメージを形成するために必要なものと捉えている。言い換えれば、周囲に依存して、自己イメージを形成させているともいえる。この段階は、コミュニティを重視する価値観である。このリーダーを経て、「他者の気持ち・思考パターン推察する力」「空気を読む力」「角が立たない言動」を養うことができる。(第二段階から第三段階に進むためには、「事実と解釈を分けて思い込みを無くす」「他者の気持ちを考慮しつつ、それらに呑み込まれないよう自分の気持ちを大切にできる」といった意識へと変容する必要がある。)
  • 第三段階は「コアリーダー」。このリーダーは、他者のことを、協力者、同僚・仲間だと捉えている。この段階に到達すると、「独自の価値体系=理念」「考えを言語化する力」「全体最適の視点」「巻き込み力」「向上心」「自己信頼」を養うことができる。(第三段階から第四段階に進むためには、「"損してもいい、嫌われてもいい、無価値でいい"と思えるようになる(自愛から慈愛へ)」といったマインドセットに変える必要がある)
  • 第四段階は「超コアリーダー」。この段階まで来ると、他者のことを、自己の変容に貢献するものと捉えるようになる。価値観としては、「人間性・慈悲心」といった精神を持っている。このリーダーになると、「個と全体の双方の可能性を最大限に引き出す力」「その瞬間瞬間と共にいる力」「常に目の前の人と出会い直す力」「新しい自己への好奇心」を養うことができる

中でも一番の見どころは、主人公が「八方美人」から「コアリーダー」に進化する場面。
これまで衝突を避けていた苦手な同僚と真正面からぶつかる。その過程で、自分の殻を破っていく主人公の姿は感動ものです。

周りに振り回されている。
そんな中、管理職になんてなりたくない。
・・・そう思っている方に一番オススメのリーダーシップ本です。

Amazonで見る

『「仕事ができるやつ」になる最短の道』

本書は、次のような章立てで書かれています。

第1章:今日からできること…決意する

第2章:1週間程度でできること…小さな変化を起こす

第3章:1か月以上しっかりと取り組むべき事…信頼を積み上げる

第4章:1年程度かけてじっくりと取り組むこと…努力を結果につなげる習慣

第5章:3年は取り組むべき大きなテーマ…リーダーシップとマネジメント

第6章:一生かけてやる価値のあること…仕事で良い人生をつくる

一見すると、時系列で書かれている、ベーシックでわかりやすい本。そんな印象でしょうか。
しかし、ページを開いてみると、深みのある話が凝縮されており、驚きっぱなしで本書を読み進めることになるでしょう。

例えば、次の言葉は、20代前半の私に深く突き刺さりました。

「やってみたい」は迷信、「やってみた」は科学。

やったことのない人は、単なる思い込みや推測でしか動けない。
やってみれば、データが取れる。それをもとに、もっとうまいやり方を考えることができる。

このシンプルな原理原則に、20代前半の私は何度も助けられました。
ちょうど社会人2年目の後半に、最先端のマーケティングのツールを使ったプロジェクトを任せていただいたときの話。
お客様が、とあるシステム会社からツールを購入したものの、使い方がわからず、2年ほど放置していたそうで、「〇〇さん、これ、使い方教えてよ。」と声をかけてくれました。

ところが困ったことに、お客様はもちろん、グローバルファームとやらの自社にも、そのツールに詳しい人が誰もいませんでした。
ググっても、出てこない…。

そんなときに、「やってみた」は科学という言葉を思い出し、とりあえずツールに表示されているコマンドやボタンを全部押してみました。
そして、押してみた結果を、そのまま資料化して、お客様に説明したら、すごく喜んでもらいました。

ちょっとしたエピソードですが、本書で学んだことを1つひとつ実践したら、少しずつ目の前の状況を変えることができたのです。
このように「理解するのは簡単だけど、奥が深いノウハウ」がギュッと詰まっているのが、本書の魅力です。

20代に出会っておいてよかったと、胸を張って言える一冊です。

Amazonで見る

『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』

この本はいい意味でも悪い意味でも、「現実」を思い知らされた一冊です。
こんなにも「綺麗ごとが一切書かれていない本」は初めて見ました。
我々が見て見ぬフリをしてきた「ある物事」を浮き彫りにさせた一冊といってもいいでしょう。

その「ある物事」とは、「錯覚資産」のことです。

錯覚資産とは、自分の得になるような、他人の勘違いのことです。

決して「実力がある」から上のポジションを獲得できるのではない。「実力があると周囲が錯覚」するから、上のポジションを獲得することができる。
「実力以上に評価されちゃう問題」は、この錯覚資産を中心に引き起こされています。

別に「錯覚資産」を否定しているわけでも、肯定しているわけでもないのですが、「錯覚資産を知らずに生きていくこと」は避けた方がいいと思います。
組織で生きていくうえで知っておくべきキーワード「錯覚資産」。
このキーワードを最もわかりやすく、最も生々しく教えてくれるのは、私が知る限り本書だけです。

Amazonで見る

『ストーリーとしての競争戦略』

会社の方針や戦略を理解するベースが手に入るおすすめ本がこちら。

優れた戦略は「何をやるか」ではなく「どんな順番でやるか」にあらわれる。
そんなシンプルな原理原則を教えてくれます。

例えば、筆者の楠木氏は「どの順番でやるか」の具体例として、マクドナルドを建て直した原田泳幸氏の例を挙げていました。
簡単に要約しますと、次の内容です。

  • まずはとにかくQCS(品質、サービス、清潔さ)の改善だけを徹底し、作り置きするシステムから「オーダーが入ってから商品を作るシステム」に変える
  • その後、「100円マック」をはじめて、顧客に「あ、おいしくなってる」と思わせる
  • 客足が回復してきたら、ガッツリした高単価のメニューを強化する
  • 不採算店舗を閉店させ、一気に業績を回復させる

いきなり価格を変えるのでもなく、不採算店舗を閉じるのでもなく、まずは品質・サービス・清潔さから手を付ける。この順番にセンスが宿ります。

この考え方を知っておくと、イケている企業はどんな戦略を取っているのか?自分の会社と何が違うのか?そんな視点で、日ごろ目にするニュースをより一段深く観察できるようになります。
昨日見えなかったことが、今日の自分には見えるようになっている。
そんな「戦略を見る眼」を授けてくれる、脳汁わき出る一冊です。

Amazonで見る

以上、気づけば1万字にわたって「20代に絶対に読んでおくべき12冊」について語ってきました。
ちなみに30代でも40代でも、どんな年代の方が読んでも、大いに学べることが多い本を選べたかなと。
ただあくまで、私自身が「20代で本当に本当に出会っておいてよかった」と思える本を、純粋に選抜してみました。

もしかすると今後めちゃくちゃ良い本と出会って、「やっぱりこの1冊に差し替えよ」とか「しれっと13冊にしとくか」とか、そんなズルをするかもしれませんが、お許しください。
「あ、もっといい本が見つかったんやね」と温かく見守っていただければと。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

-おすすめ, スキルセット, ナレッジセット, マインドセット, 書評, 独断MVP

© 2024 BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで